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2015年11月22日14:21

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お菓子ぃはなし その3、オペラ

 『オペラ』、なるチョコケーキが存在するのを知ったのは『夢色パティシエール』からだ。ヒロインの天野いちごの周りには「スィーツ王子」と呼ばれる三人のイケメン君たちがいる。その中のド本命である樫野くんが、この「オペラ」というスィーツに関連して物語られる。

 樫野くんは実は大病院を経営する医者一家の息子で、両親の反対を押し切ってパティシエを目指していた。しかしそのお姉さん(美人!)が、この樫野くんを途中でさらってしまうのだ。…で、このお姉さんに「自分の腕を見せる」ということになり、その時に作るのがこのオペラ。お姉さんは「あんたにオペラが作れるの? わたし、オペラにはちょっとうるさいのよ」と牽制する。
 
 この樫野くんはパティシエを目指すと同時に「ショコラテイエ」を目指す少年でもある。ショコラティエ、というのはチョコを扱う専門職人だ、というのもここで知ったこと。で、この樫野少年が、いつもやたらと「テンパリング」なるものの練習をしている。テンパリングって何?

 テンパリングとは、お好み焼きのときに使うヘラの巨大な感じの道具で、半生で液状のチョコレートを、すくい上げたりならしたりして、チョコの材質を均等化して品質を上げる作業のようだ。この描写を見て、「へー、チョコレート一つにも、こんな奥行きがあるのか」と感心したわけである。

 チョコレートというと、バレンタインの時に、得意先から義理チョコもらったりするわけだが、これが意外な高値のチョコだったりする。ゴディバのチョコとかである。その度に、「なんでチョコレートがそんなに高いの?」とか思ったのだが、言うなればそういう手間暇がかかってるなら、高値のチョコも致し方ない。

 …とか一人で納得していたのだが、さらにもう少しチョコレートの奥行きを知った。シャトレーゼのHPを見ていたのだが、そこで『クーベルチュール・チョコ』なるものを解説していたのである。それによると、国内基準で「純チョコ」と呼ばれるのは、カカオ成分が35%以上で、その内、カカオバターが18%以上、かつ代用油脂を使ってないものである(ちなみに純チョコの下に代用油脂を使ったチョコ、そしてチョコ成分15%以上という準チョコがある)。

 これに対し国際規格のクーベルチュール・チョコは、カカオ成分35%以上で代用油脂を使わず、かつカカオバターがなんと31%以上のものを差す。国内純チョコが18%、クーベルチュールは31%である。ちなみにシャトレーゼではベルギー産のクーベルチュール・チョコを使用しているというが、これは余談。

 まあ、そんなわけでチョコレー一つとっても品質や格の違いというものがあり、そこに値段とか美味しさとか関わってくるのだろうが、正直言うとゴディバのチョコにしても、そんなに美味いと思ったことはなかった(多分、最高品質なんだろうけど)。けど、ちょっと意識的にスィーツを口にするようになって、ふと『オペラ』のことを思い出したのである。あの美人のお姉さんがこだわった「オペラ」とは、いかなるチョコケーキなのか?

 オペラというのは多分、ザッハ・トルテと並んで有名なチョコレートケーキで、ザッハトルテの方はこの音の響きからも判るようにドイツ語の名前。ウィーンのフランツ・ザッハーというパティシエが考案したところから、ザッハ・トルテ(直訳するとザッハの菓子w)という。ザッハ・トルテの方はチョコを練りこんだケーキ生地の上に、チョコレートのフォンダン(糖衣)が乗ってるのが特徴だ。

 それに対し、オペラは簡単に言うと、コーヒーバタークリームが挟んであり、ブラックチョコのコーティングの上に、ちょろっと金箔を飾るのが特徴だ。1955年に、パリのオペラ座近くの老舗洋菓子店『ダロワイヨ』が売り出したスィーツで、オペラ座に来る華やかな人々をイメージして名付けられたという。

 …で、アニメを見て以降、オペラというケーキがあるのは知っていたが、食べる機会はなかった。しかし改めて調べてみると、八王子のプラザホテルロビーで売っているのが判明。奥さんに頼んで買ってきてもらった。念願かなって、オペラを口にできたのである。

 いや、なんとも優雅な味ですな。チョコとコーヒークリームとがこんなに合うものだとは思いもかけなかった。なんというか、大人のケーキという感じがまたいい。はっきり言って高価な一品だったけど、それに見合う味わいだった。しかし、ダロワイヨは日本にも店舗があり、そこでは当然、「本物の」オペラが売っている。ああ、いつか口にしてみたい。

 で、最初の話に戻ると、樫野くんの作ったオペラは及第点で、美人のお姉さんは弟がパティシエを本気で目指していることを悟り、それを応援する立場にまわることを約束する。このお姉さんが実は使用人と恋仲で、それを両親から反対されそうなことを予見しつつも、その恋を諦めるつもりはない、というのが余談として加わる。以来、なんか「オペラ」というと、僕のなかではあの気が強くて実はツンデレの美人のお姉さんのイメージが、一緒になってついてくるのである。

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