<ストーリー>
複雑に絡み合った地下炭鉱の上にそびえたつ箱庭と呼ばれる街。常に採掘と自然崩壊で地下通路が書き換わる街で地下通路の地図を作り続ける少女カガリは幼馴染のユウヤがいつか街を出たがっていることを知る・・・
<コメント>
昨日の『クラユカバ』と同じ世界観を持ちながらも別の町の物語なので登場人物はほぼ全く(一部の登場種族だけは重複)重ならない全く別の話。
『クラユカバ』がどちらかというと観念的、幻想的な話であったのに比べて、こちらはヤクザの縄張り争いをベースにした中で少女が活躍する冒険活劇に近い構成。なんでこんなに違うんだろうと思ったらこちらは成田良悟(『デュララララ』『バッカーノ』などの作者)が脚本を書いている。なんでも『クラユカバ』のクラウドファンディングの協力者としてスピンオフ小説を書いたそうなので、それの映像化。
いや、同じ世界でも脚本家が違うとこんなに変わるんだ、という典型で、一般映画館ではこちらが先に上映されているのも分かる。だって起承転結がはっきりしているのでとっつきやすいもの。まさに絵にかいたようなサイバーパンク活劇で成田良悟お得意の集団抗争劇に巻き込まれた一般人という図式が見事に起承転結している。
パンフレットを読むと監督が苦労したことが書いてあるが、いやこういうものも撮れるということの方が大事。
塚原監督のクリエイターとしての才能を『クラユカバ』で見せ、テクニシャンとしての力量を『クラヤミカガリ』で見せたとしたら納得する。
特に『クラヤミカガリ』の中で冒頭で頭のいかれた車椅子の老人が登場して彼の側に右手が大きなロボットハンドの少女が登場する。ところが、後半で彼が武装するときに過去が描写されるのだが、自律型攻撃兵器の暴走を止められずに廃墟となった街で自殺しようとするのだが、ガレキで腕を潰された赤ん坊を見てその子を抱き上げるというシーンがある。サイレントで描かれるこのシーンの後で現代で悲しみと呪詛の声を上げながら武装するシーンは寺田農の声と共に重厚なすべてを絵で見せることが出来るというまさにアニメならではの名シーンとなっている。
登場人物は多いのだけれども、すべて正体がラストで分かるというところも成田良悟的で実にお話としてまとまっているので、1本の映画として見たらこちらの方かな。
ただ、『クラユカバ』の最後までタネンの正体がわからにというのも好きではあるけれども。
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