<ストーリー>
人気作家エリー・コンウェイのスパイ小説「アーガイル」は佳境を迎えていたが、終章で続きが思い浮かばない。そこでエリーは気分転換にシカゴに住む母親の元に向かおうと列車に乗るが、そこで殺し屋たちの襲撃と実在のアーガイルだと名乗る男に会う・・・
<コメント>
見る前は「2時間17分か、アクションコメディにしては長いなあ、だれたらいやだなあ」などと思っていたが終わると「え、もう終わったの?こんな短いのに!」と驚いてしまった。
まず、この映画はかなりひねくれた伏線だらけの映画なので、内容に関しては一切触れません。なにか言うと、それ自体がネタバレになる可能性があるので。
ただ、映画自体はバカっぽいスパイ映画のパロディ的なのに、脚本がメチャクチャ頭の良いものなので一筋縄ではいかない。一例をあげると、主人公たちが組織の兵士たちの追われて容疑者の部屋から屋上に逃げ出すと、相棒がドアを固定する鉄棒を見つけてハメこみ、「都合よすぎるな」と呟くと「見て、これが脱出路よ、容疑者の逃走用の道だったのよ」とすぐにそれをひっくり返す。
そして全編にわたって同様の仕掛けが施されていて、いわゆるダレ場であっても後からそれが伏線であったことに気づくのである。
マシュー・ヴォーンは『キングスマン』がそうであったようにとにかくスパイ映画が大好きだ。それも痛快でエンタメ色の強いかつての『007』シリーズのような作品が。しかし、もはや現代ではそういった作品が成立しないことを本家の『007』でさえ分かっているから、ピアース・ブロスナンからダニエル・クレイグに代わった時点でいわゆるバカっぽい痛快さが失われてしまったのだ。
それを現代に復活させるべくまさに「ひねくれた才能」を」駆使して製作されたのが本作であると言える。
とにかく、メチャクチャ面白く、痛快で現代的なエスピオナージ作品となっている。
ARGYLLE/アーガイル
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