日本は消滅する？

世界一の大金持ちで、ツイッター社の買収でも話題になっているマスク氏が発した「日本はいずれ消滅するだろう」という一語。それを見聞きして苦笑した日本人も多いのではなかろうか。確かに現代の日本は急速な人口減社会に突入している。年金をはじめ、それが経済に与える影響が大きいことは確かだ。でも、マスク氏の指摘が当たっているとも思えない。

日本の歴史を振り返れば、大まかに人口は奈良時代が４００万人、鎌倉時代が７００万人、江戸時代が１２００万人、明治維新が３３００万人、終戦時が７２００万人、そして現在が１億２０００万人くらい。戦後のベビーブームでバランスが崩れ、団塊の世代の高齢化で逆ピラミッドができたのが日本の転換点になったことに疑いの余地はない。出生率は５年前から１．３くらいで、２．０以上に戻る見通しはないから、人口減が１００年ほど続く可能性は高いだろう。

しかし、奈良時代の人口に戻ったところで国が消滅するわけでもないし、むしろ子育て環境が向上して反転する可能性だってある。もちろん、それ以前に多くの自治体が消滅するはずだが、それがイコール国の消滅にはならない。いや、１００歩譲って国が消滅しても、１００年以上先の世界地図がどうなっているかなんて誰にもわからないはずだ。日本がどこかの国の一部になっていることだってあり得るわけで、それが必ずしも不幸なこととは断言できない。それにしてもマスク氏の言葉の真意は何なのか、正確に読み取れる人は少ないと思われる。