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2021年03月22日02:22

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詩人と春、嵯峨天皇

詩人と春
【嵯峨天皇は、曲水流觴の宴を催した】青春が半ばを過ぎた頃、何がせき立てるのか、柔らかな風がしきりに吹いて、花がせかされるように咲く。芳しい花の香りは失せようとして、止めることはできない。わたしは、文雄に呼びかけて、詩人たちは花を愛でるこの宴にやって来た。「神泉苑花宴賦落花篇」【神泉苑花宴賦落花篇】嵯峨天皇「凌雲集」より

【嵯峨天皇の花の宴、神泉苑にて】花(桜)を賞翫しながら漢詩を作って遊ぶ典雅な催し、その始まりが嵯峨天皇の神泉苑の詩宴。神泉苑の詩宴は『日本後紀』弘仁三年(812)二月一二日の記事「神泉苑に幸(いでま)す。花樹を覧(みそな)はし文人に命じて詩を賦せしむ」
【嵯峨天皇】漢詩文を好み、神泉苑その他でしばしば詩宴を催し、勅撰させた『凌雲集』弘仁5(814年)『文華秀麗集』弘仁9(818年)(譲位後の『経国集』天長4(827年))。9世紀前半における唐風文化興隆の中心人物。書をよくし空海、橘逸勢と共に三筆、「光定戒牒」
【空海と嵯峨天皇】大同4年(809)4月3日神野親王が践祚、13日に即位式を挙げ嵯峨天皇となる。7月16日、空海は、太政官符により高雄山寺に入住勅許。弘仁7年(816)嵯峨天皇から高野山を修行の地、金剛峯寺を開創。弘仁14年(823)嵯峨天皇より東寺を賜る。
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【大伴家持 春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ乙女】春の園の紅色に咲く桃の花、その下に輝いている道に佇む乙女よ。『万葉集』巻十九、4139 大伴家持、天平勝宝二(750)年三月一日(4月15日)の暮(ゆふべ)に、春の苑の桃李の花を眺矚めて作る二首

【怨霊の歌集『万葉集』759年(天平宝字3年)】巻1から巻16。元正天皇、市原王、大伴家持、大伴坂上郎女らが関与。残巻増補『20巻本万葉集』延暦2年(783年)頃に大伴家持の手により完成。非業の死を遂げる歌人たち。非業の死を遂げた人の霊は崇りをなす。
石ばしる垂水たるみの上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも 岩をほとばしる瀧のほとりのさ蕨が萌え出でる春になった。『万葉集』巻八、1418 志貴皇子。壬申の乱を経て、皇統が天武天皇の系統に移ったことから、天智天皇系皇族であったために皇位継承とは無縁。
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【春夜桃李園に宴するの序 李白】それ天地は萬物の逆旅にして 光陰は百代の過客なり 而して浮生は夢の若し 歡を爲すこと幾何ぞ 古人燭を秉りて夜遊ぶ まことに以(ゆえ)
【新古今歌人、西行(佐藤義清)】鳥羽院の北面武士であったが、鳥羽院の女に手をだし、23歳で出家。「高貴な上臈女房と逢瀬をもった」『源平盛衰記』。女は、待賢門院璋子、璋子は、鳥羽上皇の中宮にして白河法皇の愛妾。
西行は、願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ『山家集』(続古今1527)。歌に詠んだ通り、1190年3月31日、陰暦2月16日、釈尊涅槃の日に入寂。73歳。
【醍醐の花見】豊臣秀吉がその最晩年に京都の醍醐寺三宝院裏の山麓において催した花見の宴。秀吉は畿内から700本の桜を植え、三宝院の建物と庭園を造り、盛大な宴を開いた。息子・秀頼、正室・北政所、側室の淀、三の丸など女房衆1300人余りが参加。秀吉61歳。慶長3年
【曲水流觴】王羲之、李白、嵯峨天皇、空海、大伴家持、藤原俊成、藤原定家、秀吉。春の兆し、桜を愛で、桃を愛し、神泉苑で、花の宴を催した文人たち。儚い花、儚い香り、儚い夢、儚い愛、怨憎会苦、愛別離苦の悲しみを歌った詩人たち。この世の苦しみを、花盛り、花を愛で、宴を催し、心を癒した。
【天下布武】「武とは戈を止めることである(止戈)」「禁暴・戢兵・保大・定功・安民・和衆・豊財(武力行使を禁じ、武器をおさめ、大国を保全し、君主の功業を固め、人民の生活を安定させ、大衆を仲良くさせ、経済を繁栄させる)七徳を備えるべき」『春秋左氏伝』
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【空海と守敏、神泉苑にて、祈雨修法の争い】天長元年(824年)の大干魃の時、祈雨の修法を東寺の弘法大師(空海)に命じて、神泉苑で執り行われた。西寺の守敏僧都が現れ、自からが先に修法を行うと申出る。祈雨の法を争い、空海が勝利した。『今昔物語集』巻十四、『贈大僧正空海和上伝記』
【藤原定家19歳。世上乱逆追討耳に満つと雖も之を注せず。紅旗征戎は吾事に非ず。だが政治中枢に翻弄されていく】定家34歳、健久7年の政変1196。39歳、新古今和歌集選者1201、元久2年(1205)成立。1221年、承久の乱、後鳥羽上皇隠岐追放。
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【春夜桃李園に宴するの序 李白】それ天地は萬物の逆旅にして 光陰は百代の過客なり 而して浮生は夢の若し 歡を爲すこと幾何ぞ 古人燭を秉りて夜遊ぶ まことに以(ゆえ)有る也 況んや陽春我を召くに煙景を以てし、大塊の我に仮すに文章を以てするをや。桃李の芳園に会して、天倫の楽事を序す。群季の俊秀は、皆恵連たり。
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旅する思想家、孔子、王羲之、空海と嵯峨天皇
https://bit.ly/2zsD05T
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