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2019年09月08日01:02

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寂しさと思い出と期待を携えて … 白野熊子さん(舞台「空室」 8月31日@下北沢)

個人的な話で恐縮ですが、当日記でも時折“借景”のようにちらっと登場させておりました、職場の同僚女子くんが、つい先日、退職の運びとなってしまいました…(ノ_<)
筆者とは、歳はだいぶん離れていますし、部署が別々になってからの方がもう長くなっていましたが、それでもこういうひとは貴重だなぁと常々思っていた…いや、“想っていたぴかぴか(新しい)”のほうが近いかも…という存在のひとが、これからは姿が見えなくなるわけで、やはりそこには一抹の寂しさがあります涙。せめてもの想いとして、次なる道でもいいことがありますように、はるかに見守っていこうと思います。


そのようなある種節目のタイミングであった、8月31日。
少々時間が経ってしまいましたが、久々の都内で、こちらの舞台を昼の部、夜の部と通しで観覧。

フォト


当日記では、5月の上井草以来の”しろくまさん”こと白野熊子さんご出演の舞台。観てみれば、”節目”に合わせてきたのか?と思うくらい、ずばり筆者の心情を見透かされた感がありました…。


いくつもの物語が同時進行していく舞台。市営団地に住んでいる兄と妹が主人公。兄の賛(たすく)は、妹想いではあるけれど、長年カラオケボックスの店員として、給料がほとんど上がらない…という境遇で働いているせいか、どうしても発想が現実路線に手(パー)。後述するように医学部を目指す妹に対しても、そのように臨んでしまいます。
しかし、”現実路線”とはいうものの、賛にも想い人ぴかぴか(新しい)、白鳥一美がいます。唄が上手な一美さん。賛が働くカラオケボックスに通っていたはずですが、直接の接点はないまま、想いは徐々に思い出と化していきます。

一方で、一美の妹である次美が、そのカラオケボックスの一室に、歌うでもなくずっと引きこもっています。一見キラキラとした遍歴を誇るお姉さんに反発をみせる次美。店員である賛は、それを知ってか知らずか、引きこもる次美をずっといさせてあげています…。
時折、姉である一美といとこが様子を見に来るのですが、とにかく2人とそりが合いませんむかっ(怒り)。そうしているうちに、一見夢いっぱいなはずの一美も、歳を重ねていくうちに、その夢にブレを生じることになります。それもまた、そりが合わない原因に…。なかなか事態は進んで行きません。


そして、賛の妹である好(このみ)。仲良しだった同級生が事故で植物状態になってしまったことを受け入れようとするために、一途に医学部を目指して勉強する…という環境えんぴつ。しかも、そのタイミングは、高校を卒業するころ。よって、好はその状況下であえて浪人生となって勉強に打ち込んで、周りの環境との折り合いをつけていこうとします。この、好の役を、熊子さんが演じています。2月のMagnumOpus(新宿)あたりを除くと、結構一途な役柄多い印象がある熊子さんですが、今回の好の役は、その中でも特にがついて一途…という感じです。かつ、恋愛ものではないせいか、そういった印象が一段と目立つようです。



それぞれ、悩みを抱えながらも、時は止まってくれませんから、なんとかして前に進んで行かなくてはいけません。その結果が、たとえ前向きではなかったとしても…。「空室」とは、その“前に進んでいった証”であり、あるいは“やがて次の思い出で埋められるもの”でもあるのかなと。


まずは、好のまわりの大人たち。

好に直接影響を与えるのは、タイプが違う2人の塾の先生。一人は大変に穏やか指でOK。そしてもう一人はちょこっとアウトローっぽい風貌をしつつ、人生経験がより豊かと思われるお方ウインク
そして、財政的、精神的に支える、同級生のお母さん。

それぞれのひとから、何度も繰り返されるフレーズ…

「ひとは失ってから豊かになれることもある」
「未来はわからないから、ひとは挑戦できる」
「ひとは変わっていくものですよ」

ひとつひとつのフレーズは、それぞれにはよく聞くものではありますが、何度も重なると、まわりの状況との葛藤を重ねつつ、勉強することで折り合いをつけようとしている好がいる情景が、より現実のものとして見えてきます。

何かを失うことは、確かにぽっかりと穴が開いたような感覚に陥りがちですから、これはストレートに”空室”と言えるでしょう。
一方で、ひとは、そのぽっかりと開いてしまった”空室”の埋め合わせをしようとする生き物でもあります。そして、その埋め合わせにめどがつくころ、変わっていったもとの所が”空室”になっていく…。


絶えずどこかしらにある”空室”という名の満たされないものに、折り合いをつけながら進んでいく姿が、関わるひとすべての仕草や台詞からにじみ出ているようです。

そして、そんな光景は、日常至る所で起きていることだと教えてくれるのは、この塾以外のところで展開される光景。

次美が引きこもっていたカラオケボックスでは、ずっといさせてくれていた賛が、妹の好のためを思いながら転職を決めたことで、次美もこの部屋を出ていくことを決心。お姉さんの一美もまた、いろいろな経験を経た結果、最初の夢であった歌手への道を改めて目指すことになります。ブレも消えていますね手(チョキ)


Breakfast編では、病院の待合室でのシチュエーションが、第3のシーン。突然にか、あるいは徐々にかはともかく、家族がなんらかの病気を抱えて揺らぐ“順調”だった生活。それを元どおりに取り戻すのではなく、その状況を受け入れていくための何気ない光景が展開されています。エンディングでは、事故にあった同級生は、自宅療養ということになりますが、事故前の生活の一部が「空室」として失われたとしても、その「空室」を埋めていくしなやかさが見えてきますグッド(上向き矢印)

Dinner編では、引っ越し直前の学生さんの部屋が第3のシーン。勉強を続けるために実家に戻っていく学生と、バンド活動に明け暮れる、もともとは社長令嬢という恋人との、変化していく直前の様子が描かれます。かたや勉強、かたや芸術…という、結構コントラストが激しい場所ですが、そこに、好の先生のうちのアウトローっぽいひとのほうが出入りしています。実際の人生やら生活やらでどちらも…というのは結構大変だとは思うのですが、どちらも知る象徴としての先生がいることで、それぞれの選択がきちんと肯定されているものとして扱われています指でOK


時間の経過とともにその形も在処も変わっていく“空室”は、終わり方もふわっとしています。いつの間にかいなくなり、舞台上には「空室」と書かれた札が…。塾の入り口には「休講」の札もあります。そう、関わるひと全てが、次の場面へと進んでいった結果ということですね。


さて、(歳が離れすぎ…っていうツッコミは受け付けません(笑))
想いびとさんがいなくなった職場で、筆者はその“空室”をどうやって埋めていくことになるでしょうか。

仕事そのものなのか、
こういった“おと”や“ぶたい”の中に映し出すのか、
旅先での出会いなのか、
あるいは、ごくごく日常のなかに隠されているのか。。。


寂しくもあり、楽しみでもありますねぴかぴか(新しい)

皆さんありがとうございましたぁウインク
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