■山部赤人(万葉集)
天地の、
分かれし時ゆ神さびて、
高く貴き
駿河なる、
富士の高嶺を
天の原、
ふりさけ見れば
渡る日の、
影も隠らひ
照る月の、
光も見えず
白雲の、
い行きはばかり
時じくぞ、
雪は降りけり
語り継ぎ、
言い継ぎ行かむ、
富士の高嶺は
■藤原角行 (鈴木昭英「富士・御嶽と中部霊山」)
三国の、
光りの元をたづぬれば、
朝日に夕日、
不二の極楽
■マツダ・ハル (『宗教研究 87巻 別冊』)
「まがりたる、
心のままを導かれ、
曲がりしなりを、
ままにせられて」
「聞いたとて、
へりもせざれば、
ふえもせず、
ありのまんままが、
この身このまま」
「留守つかい、
煩悩おらぬと
戸をしめて、
かくれていたに、
見つけられたり」
■平田篤胤 (アーネスト・サトウ「神道論」
万物を動かしている理法は
分析することは不可能であり、
うわべだけの理屈に基づく言説は
信用できない。
考えて知りうるものは、
およそ
目の及ぶ限り、
心の及ぶ限り、
測算の及ぶ限りのことであり、
その及ぶ限りの範囲を超えるものは、
いかに考えたところで理解することはできない」
■ユング (渡辺学「ユングにおける心と体験世界」)
「いま神を信じているか、
とのお尋ねにはお答えしにくいですね。
私は知っているのです。
私には信じる必要はありません。
私は知っているのですから」
■松本皓一「日本の近代と宗教的人格」
「極端な言い方をすれば、
人間は、
獣性と
霊性から
交織されている。
汎神論の人間観は、
とくに内在する
この霊性の普遍を
強調するものである」
「究極的な聖なる価値は、
人間が対象に
究極的な関わり方をするところに
生じると言える。
原則としていかなるものの中にも
開現することができる。
路傍の石、
草木、虫魚、
山川、日月にいたるまで」
■ユング (湯浅泰雄「宗教経験と深層心理」)
「現代人の多くの神経症は、
まず何よりも、
内心の宗教的要求が、
子供じみた啓蒙思想の結果、
もはや自覚されない
という点にもとづいている」
■ダン・ザハヴィ「フッサールの現象学」
「何かが私の脳の中で生じているということは、
例えば
枯れていくオークの木を見る私の
「経験」の一部ではない」
■湯浅泰雄「宗教経験と深層心理」
「現代は
神話や伝説を
荒唐無稽なものとして否定する
「非神話化」の時代であるが、
それはまた
人間の本性の底にある、
たましいの深層の秘密を
しいて無視しようとする
現代人の
「故郷喪失」の現れでもある」
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