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2015年11月22日21:45

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中島みゆき「組曲(Suite)」

毎年秋になると新譜を届けてくれる中島みゆきさん。
もうほとんど奇跡に近い存在ではないかと思います。
とっくに隠居して巨匠ぶってても誰も文句言わないくらいの実績があるのに、
あくまで現役として新しいものを作り続けてる。
その時点で頭が下がるのですが、それと作品の評価は別で、期待が大きいからこそ
甘い評価はできないわけで。閑話休題

1.36時間
異例に穏やかなオープニングです。囁くような柔らかい歌唱。
歌詞は哲学的でわかりにくいですがメロディは美しく、申し分のない一曲目かと。
2.愛と云わないラヴレター
なんだか、「おとぎばなし」のどこかに入っていそうな懐かさを感じます。
言ってしまえばどうということのない曲ですが、悪くはない。そんな感じですか。
3.ライカM4
最近のみゆきさんのお約束”変な歌”がこれにあたるでしょうか。
しかしメロディはキャッチーですし、”変”度は比較的低いのでは。
歌詞もそれほどは変じゃない気がします。私も急にフィルムカメラがまた欲しくなって
いろいろ検索を始めたのは笑い話。
4.氷中花
個人的には、アルバムのハイライトではないかと思います。
なんといっても歌唱が絶品。次第しだいに釣り込まれてそのうち涙があふれてくる感じ、
中島みゆきの真骨頂です。というかここまでの歌唱力はこれまでのみゆきさんにはなかったのでは?
歌詞は誰しもが身に染みるであろう恋の歌で壮大さには欠けますがそれがどうしたという感じです。
この曲が4曲目というのが、いろいろな意味でポイントなのかも。
5.霙の音
氷中花からの流れが非常に美しいです。
どこか昔のみゆきさんを思い起こす抒情あふれる掌編ですね。
6.空がある限り
のっけからアゼルバイジャンと女満別、なんじゃそれ、というインパクトある出だしですが、
決して奇をてらったわけではなくなるほど!と納得させられる歌詞。
名曲と言って過言ではないと思います。メロディーも秀逸。
7.もういちど雨が
これも言ってしまえば地味な曲です。ただところどころ刺さってくる歌詞がさすがです。
そういえばこの曲も「おとぎばなし」に入っていそうな感じですね。
8.Why&No
みゆきさん屈指のハードなロックナンバー。歌詞も非常に思わせぶりでありながら
「あるある」満載の痛快な一曲といえるでしょう。
9.休石
アルバムも一休み、といった感じの本当に穏やかな一曲。36時間にも通じます。
話は変わりますが”休石”といえばあの東日本大震災の大津波で辛くも難を逃れた
三陸鉄道の運転士さんの名前を思い出します。
10.LADY JANE
最初にこのアルバムを聴いたときは、正直ラストがこれでいいの?と思いました。
悪い曲ではないけれど、いかにも軽い、スケールが小さい。
中島みゆきのアルバムといえばそう、なんというか渾身の熱唱が入る大曲がラストにくるか、
あるいはラストの一曲前に来るのが鉄板でしたから。
しかし、繰り返し聴いてみるとこれはこれで悪くないなと思えてきました。
ラストに「India Goose」が入れば・・・などと思うのはやはり野暮の骨頂だったかも。

総評:間違いなく「ララバイSINGER」以来の名盤です!まあ「ララバイSINGER」よりは小粒な印象はやっぱり否めませんが。ただ歌唱は素晴らしい。還暦を過ぎて進化を続けられる歌手なんて世の中にどれだけ存在するものなんでしょうか?
”みゆきは70年代までだよ”とか訳知り顔で言う声もよく聞きますが、
そんな思いこみで今の中島みゆきを聴かないのはもったいなさ過ぎる。
そんなことを思わせる一枚です。 まあ、売れへんでしょうけど。


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