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2015年12月01日07:07

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シチリア史(13)

ローマ軍とカルタゴ軍の違いはこうだ。カルタゴは海洋国家であり、各地の植民都市から
なる国家だ。兵は各地で傭兵として使っていた現地人が中心。いっぽうローマはローマの
市民による兵である。

言わば寄せ集めの雇われ兵と、国家のために戦う市民兵である。だから戦いが長引くほど
差が出てくる。ローマ兵は堅忍不抜、カルタゴ兵は辛くなるとすぐに逃げ出す。アグリジ
ェントの戦いでもその差が出た。結局ローマはカルタゴ軍を蹴散らし、アグリジェントを
占領する。

ローマ軍はシチリアを西へと進む。カルタゴ軍も逆襲に出る。そもそも陸戦では確かに、
ローマ優位かもしれないが、ローマは陸軍国家。逆に海軍は弱体、というよりもポエニ戦
争が始まるまでは海軍なんてものは無かった。いや、軍船など一隻も持っていなかった。

なので、海ではカルタゴだ。メッシーナの北方、エオリア諸島付近でローマの執政官アシ
ナを破り捕虜とする。陸では勝てても海では敵わないローマ。ローマはギリシャからの教
えもあって、船そのものはそれなりのものを作るのだが、操船技術というのはそう簡単に
身につくものではない。

軍艦の歴史でもやったけど、この時代の海戦はガレー船によるもので、その戦術はラムア
タック、つまり衝角攻撃である。船首の喫水線の下に槍の穂先のような突起がついていて
これを衝角(ラム)と呼んだ。これを敵船のどてっぱらに突き刺し、穴を開けて沈没に追
い込むという戦術だ。いわば、船そのものを武器にするわけで、高度な操船技術が必要と
なる。なので衝角戦術で戦う限り、ローマの劣勢は覆うべくもない。

そこでローマは新しい海戦術を編み出した。それが「カラス戦法」である。

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