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2012年08月12日08:58

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死ぬかと思った・8日目

 ヨルダン北部のジェラシュ観光。
 ここは8世紀に地震で倒壊して以来、1925年まで完全に放って置かれたので、「世界で最も綺麗に残っているローマ遺跡」とも言われる場所。実際、それほど大きくないながらも円形劇場には全く欠損がなく、今でも屋外音楽フェスに使われているほどです。
フォト_フォト

 ‥‥が、残念ながら私のカメラには、入り口からすぐの凱旋門(ハドリアヌス門。テルマエ・ロマエのあの皇帝の来訪記念に作られた)、戦車競技場、南門、南劇場、フォルム広場までしか写っていません。
 南劇場の上から全体を眺めて、ふむふむ、フォルムから列柱通りを抜けて大聖堂へ向かえばいい訳だな?と見当をつけて、劇場から降りてきて、さて、と踏み出して。

 滑って、転んで、落ちて、頭打った。

 ‥‥久しぶりに経験しましたね。あの、自分が大転倒している瞬間のスローモーション。なすすべもなく、あーやべ岩がとがってるよこのままだと後頭部に激突だよ手でカバーするか?いや間に合わないなせめて首まげよう手足は力抜いとこう。と0.01秒くらいで冷静に判断している、あの感覚。
 次の瞬間にはガツッと音がして(ぶつかった)、ドサッと音がして(落ちた)、ゴロゴロッと転がって。ちょっと頭はやめてよねー頭は、と相変わらず冷静な自分が、そのまま転がっている事を厳命。下手に動いて、脳内出血してたらシャレならん。

 ビックリさせてしまったのが周囲の各国観光客ですよ。ハタ目には、いきなり人が落ちて転がって動かなくなり、その頭から血が流れている状態。一気に騒然となりました。
 私にとってラッキーだったのは、一番近くにオーストラリアから来た冷静で体格のいい壮年男性が居た事でしょうか。私の意識を確認すると、極力揺らさないように日陰まで移動させてくれ、携帯でツーリストポリスに連絡を取ってくれ、駆け付けた警察官に事情を説明してくれ。全部英語なので非常にスムーズでした。本当にありがとうございました。
(ジャパニーズ・ガールが落ちた、ジャパニーズ・ガールが怪我してる!と連呼するのに、イヤイヤイヤ「ガール」って誰、と訂正したくて仕方なかったアラフォー女です)

 意識も視界も体の関係各所も問題なし、吐き気なし、呂律OK。とセルフ指さし確認してから、打った頭にショールを当てて圧迫止血。首から上って、脳への血流確保&保温保冷の問題で、ちょっとの怪我でもすげー出血するんですよね。過酷なヨルダンの日差しからよく私を守ってくれたアルメニア産のショールは、ここでお陀仏になりました。お疲れ様。

 もう、ほんっと何でもない所で滑ったんですが、とにかく連日の疲労と夏バテと、数日前の全身擦り傷と日焼けと、当日の暑さと生理と風邪と、蓄積しまくってたとしか言い訳のしようもなく。
 歳もあるか。ははははorz

 で、救急車がピーポーピーポーとやってきて。担架で運ばれて、ジェラシュ公立病院へ。←ハシミテ王家の紋章があったから、多分。
 えっ今日金曜だよ、やってんの?と思いましたが、病院は開いてました。患者さんが少なかったので、夜間休日診療みたいなもんだろうか。
 そこでまず、レントゲンを撮りまして。お医者さんが「これ英語でなんて言うんだっけ」と迷っているので思わず「エックスレイっすね」と答えてしまい、調子が狂ったのか彼は私の頭の下にフィルムを入れ忘れるという無茶苦茶なポカをかまし(笑)2回分の放射線を浴びて、撮影された頭蓋骨には異状なし。
 ‥‥いや、そこまでクラッシュしてたら流石に意識ないかと‥‥
 とりあえず外傷だけだね、局所麻酔して二針縫って抗生物質の注射ね。吐き気や眩暈がしたらすぐにまた病院行ってね。と、ここいらへんはまぁ、多少単語が分からなくても医療関係者同士なのでツーカーで。薬アレルギーを聞かれないから、勝手にアンプル確認する私。危っねーなー、他の観光客にはちゃんと聞いて下さいよ。
 麻酔した後、お医者さんが何やら私の頭の上で力仕事してる?と思ったら、最後にベッドの後ろを振り返って理由が判明しました。巨大タンコブになっていた皮下出血を絞り出したんスね、壁にスプラッタ映画のような血飛沫が‥‥(あれ誰が洗うんだろう)

 しかし、ただの怪我だと分かってからの警官・救急隊員・医師の皆様の気の緩みっぷりは、ちょーっと日本だったら許されない感じでしたね。なにせ丁度終盤に差し掛かっていた日本VSヨルダン戦を、いちいち「いま0-5だよ!」「0-6になったよ!」と教えに来てくれるんだから。どーでもえーわ(笑)
 警察の人は何やら書類を書きながら「落ちた時、周囲に人はいたか」「突き落とされたのではないか」と、私に質問する時だけは真面目でしたが、後はサッカーの話してただろうオイ。いくらアラビア語だって、間に「フォワード」とか「シュート」とかの単語が入ってりゃ分かるっての。

 そして驚いたのが医療費でした。
 病院に連れてこられた時点で「5JDある?」と言われたので、ああ救急車の代金かな?と思って渡しました(救急車が有料な国は結構ある)。その後は治療を受けながら、
「ヤバいなー、今ディナールの現金ほとんど持ってないんだよなー。ATM行かせてもらえるかなー」
「海外保険の申請に、書類書いてもらわないといけないかなー」
 とソワソワしていたんですが。最後になって、お医者さんが一言。
「4.5JD‥‥っと、最初に払ってるのか。はい、じゃあ帰っていいです」
 ーーえ?
 ーーーーええええ!?

 4.5ヨルダンディナール。495円。
 (0.5JDどこ行った?って話ですが)

 ええと、都会の中流階級向けのレストランで肉食ったよ(一人前)くらいの金額です。
 外務省のHPでは「医療費は高い」と書いてあるし、実際に住んでる人のブログでも「安くしてもらって20JD(乾き目で)」とかなのに‥‥?
 英語の報告書まで読んでやっと、「先進国との相対比としては安い。アメリカの約1/10」というのを見付けました。うん、アメリカで4950円ってんなら納得できる。つまり、外務省の調査とか眼科の日本人の方とかは、高級な私立病院でボられてる可能性あり?
 確かに、公立病院は30年前の日本の地方医院みたいな感じでしたが。そしてボったくろうという考えが浮かばないほど、血みどろな私の姿は凄惨でしたが。

 そして「一週間後に糸を抜いてね」「自分でですか!?」の結末は、2週間後まで引きずりました。だって鏡で見えない場所だから人にやってもらうしかないんだけど、こんな事情、英語で説明できないもん。んでトルコの田舎では、だ〜れにも日本人に会わなかったんだもん‥‥
 巨大なカサブタがボロッと落ちてきて、以後何の支障もありません。1cmほどのハゲはできましたが、本当に皮膚を切っただけでした。セ〜〜フ。

****

 こうして、最初から最後まで「やっべやっちまった」な感じで、ヨルダン旅行は終了です。私のセルフポカばっかりが目立ち‥‥ますね‥‥‥
 多少のボラれ・痴漢はありましたが、概ね皆さん大層親切で優しくて、旅行しやすい国だと思います。ちょいレートが高いのが難ですが、暑いの大丈夫な人には、オススメです。

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