うたた寝をした
忘れていた過去の夢を見た
見ている情景は
時系列が乱れていて
異なった世代に
出会った人が
同時に現れていた
相手はそんなこと
どうでもよくて
その時々の自分と
関わり合ってくれていた
なぜこの人たちが
同じ空間にいるのか
初めは気づかなかった
夢が進むにつれて
その答えがわかった
伝えたいこと
思っていたことを
告げることができないまま
会わなくなってしまった
そんな人たちだった
あの時に言えなかった
謝罪や感謝や好意や哀惜
そんなものが共通していた
そんなことは
もうみんな
忘れてしまったろうか
あれから幸せな日々を
送っているだろうか
時には私のことを
思い出してくれて
いるだろうか
やがてみんなは
私の胸のあたりに
ぽっかりと開いた空間に
次々と吸い込まれ始めた
そこで胸が
苦しくなって
目が覚めた
夢で過ぎ去った時間は
長い人だと数年間なのに
うたた寝してたのは
小一時間
|邯鄲《かんたん》の夢というけれど
本当の最期に
振り返っても
人生はひと眠りの夢に
すぎないのかも
知れない
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