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2024年05月02日02:19

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『劇画の神様〜さいとうたかをと小池一夫の時代』コミック

<ストーリー>
 『涙弾』『哀国戦争』『レイザー』など小池一夫と名作を描いた伊賀和洋。彼が1970年に高校卒業後にさいとうプロダクションに入社してから3年後に小池一夫のスタジオシップに移籍し、その後の劇画生活を送る・・・
<コメント>
 手塚治虫の生涯や仕事ぶりを描いたマンガは山ほどあるのに、最大のライバルであったはずの劇画家さいとうたかをを描いた作品はほとんどない。
 なんでかと考えたら、天才芸術家でもあった手塚治虫に対してプロダクションの社長であり、堅実に作品を発表しつづけたある種職人でもあったさいとうたかをはマンガとして描きにくい題材であったかもしれない。
 そんなさいとうたかをの元で修業し、やがて小池一夫に師事する伊賀和洋は二人の関係性であったり、作品への姿勢を漫画化するのに、ぴったりの存在かもしれない。
 しかしさすがに内部のものしか知りえない、あるいはそこにいたものでしか語れない様々なエピソードが怖いくらいに描かれていて、ちょっとハラハラしてしまう。
 例えばさいとうたかをが『無用ノ介』を人気絶頂であるにも関わらず辞めてしまった原因やだからこそ『ゴルゴ13』が生まれた理由。さらに短期連載のつもりだった『ゴルゴ13』の最終話でゴルゴがチンピラに刺されて死ぬというエピソードがとある事情で描けなくなってしまったなどの話。
 中でもさいとうプロを辞めて小池一夫のスタジオシップに入ってからは師事する相手が小池一夫になったことで小池一夫のエピソードとなっていくところなどはこの人だからこそ、という気がする。
 それにしても『子連れ狼』で『ゴルゴ13』と同じエピソードを書いてさいとうたかをが怒るという話があり、今度はそのことを小池一夫になぜかと尋ねたらこれまた予想外のとんでもない、しかし法学部出身の小池一夫だからこその返答に仰天するのだが、これなど読んでいるこちらも仰天した。「(さいとうプロの)反応がないからもう一話やったんだ」すごいぞ、小池一夫。

 そして時代は流れ、数々の作品を描き続けた作者がさいとうたかをの葬儀に出席するところで終わる。
 さいとうプロとスタジオシップがいかに素晴らしい人材を輩出したのかを改めて貴重な資料として教えてくれる作品。


劇画の神様〜さいとう・たかをと小池一夫の時代〜
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