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2021年06月22日15:37

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十一面観音の歴史

「国宝 聖林寺十一面観音」・・・十一面観音、疫病退散の祈りを込めた秘仏
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第245回
六月の青天、ゆりの木の緑陰に、微風吹く日、東京国立博物館、に行く。
十一面観音は、怒りと争いの修羅を救う。美しい魂は、輝く天の仕事をなす。美しい女神が舞い下りる。美しい守護精霊が、美しい精神を救う。
大神神社、大神寺の十一面観音は、東京国立博物館の研究員によれば、奈良時代8世紀、東大寺仏師によって制作された。奈良時代、十一面観音が流行した。十一面観音は、疫病退散の祈りを込めた秘仏である。大神寺の十一面観音は、東大寺二月堂、秘仏十一面観音と関係があると考えられる。東大寺、修二会は、十一面観音に疫病退散の祈りをささげる火と水の行法である。
【東大寺、修二会、韃靼の行法】752年大仏開眼の年に天下泰安・疫病退散を願って始まって 以来、1270年一度も途絶えず続けられてきた。不退行法。二月堂、修二会、【練行衆、11人、和上、大導師、堂司、咒師、総衆之一、南座衆之一、北座衆之二、南座衆之二、中灯之一、権処世界。処世界】。しっちへん、走り。752年始まる。厨子の周りを周る。敦煌、莫高窟、韃靼の行法が淵源である。
【二月堂、秘仏、十一面観音】【天平の疫病、藤原四子の死】735年(天平7年)から738年(天平10年)。聖武天皇、光明子は、天平の疫病退散のため、東大寺を建立した。
永遠の 果てしない野に 夢みる 睡蓮よ 現在に めざめるな 宝石の限りない 眠りのように(西脇順三郎 宝石の眠り「宝石の眠り」)
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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聖林寺十一面観音は、薬師寺聖観音の姿形に相似する。薬師寺聖観音は、日光菩薩、月光菩薩、薬師如来と薬師三尊像の一群である。
【藤原京、薬師寺】奈良の西の京にある薬師寺の前身、本薬師寺は、天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒を祈願して藤原京に建立した薬師寺である。この後、持統天皇として 即位した鸕野讚良皇后が夫の意志を継ぎ建立を続け、持統11年(697)開眼仏会、そして着工からおよそ16年の月日を要して建立。【平城京、薬師寺】養老2年(718)平城京の西ノ京で薬師寺は建立を開始された。
【六道輪廻、衆生の運命】すべての衆生が生前の業因によって生死を繰り返す六道の世界。地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天人。衆生を救う六体の観世音菩薩。密教では、地獄に聖観音、餓鬼に千手観音、畜生に馬頭観音、修羅に十一面観音、人間に准胝または不空羂索観音、天人を如意輪観音が救う。六観音の思想
【六観音菩薩】聖観音菩薩は、地獄道を救う。千手観音菩薩、飢えと渇きの餓鬼道を救う。馬頭観音菩薩、動物の弱肉強食の畜生道を救う。十一面観音菩薩、怒りと争いの修羅道を救う。准胝観音菩薩(不空羂索観音)、四苦八苦の人道を救う。如意輪観音菩薩、神通力をもつ天人を救う。
【『日本書紀』崇神天皇5年条】〈国内に疾疫(えのやまい)多くして、民死亡(まか)れる者有りて、且大半(なかばにす)ぎなむとす。(国内に疫病が流行し、死ぬ者が多く、民の半分ほどだった)〉ハツクニシラススメラミコト(御肇国天皇)と称され、ヤマト王権の実質的初代天皇とされる第10代崇神は、磯城の瑞籬宮(みずがきのみや)に宮都を定めた。
次の年、崇神は天神地祇に祈ったが民の離反は止まらない。その後、夢やお告げの通り、太田田根子を探して(三輪山の)大物主神を、長尾市(ながおち)に倭大国魂神を祀らせたところ、崇神7年に疫病は収まり、五穀が実り国内は安定した。
■十一面観音
十一面観音は、その深い慈悲により衆生から一切の苦しみを抜き去る功徳を施す菩薩である。観音菩薩の変化身の一つ。
十一面観音(ekadaśamukha)の容姿は、通例、頭頂に仏面、頭上の正面に菩薩面(3面)、左側に瞋怒面(3面)、右側に狗牙上出面(3面)、背面に大笑面(1面)をもつ。右手を垂下し、左手には蓮華を生けた花瓶を持っている。(玄奘訳『十一面神咒心経』に基づく)。
■『十一面観自在菩薩心密言念誦儀軌経』によれば、
10種類の現世での利益(十種勝利)と4種類の来世での果報(四種功徳)をもたらすと言われる。病気にかからない、一切の怨敵から害を受けない、毒薬や虫の毒に当たらず、悪寒や発熱等の病にならない、一切の凶器によって害を受けない、不慮の事故で死なない。
【三界、無色界、色界、欲界】織田信長は、欲界第六天魔王と自称した。
【欲界、第六天。他化自在天。六道の天道(天上界)の最下部である、六欲天の第六天。欲界の天主大魔王である第六天魔王波旬(はじゅん、Pāpīyas)の住処。天人の身長は三里、寿命は1万6千歳という。ただし、その一尽夜は人間の1600年に相当するという。天人としての他化自在天は、弓を持った姿で描かれる】
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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【十一面観音菩薩立像、7世紀】大化改新で名を馳せた中臣(藤原)鎌足の長男・定恵(次男は不比等)が唐の留学から帰国した時に持ち帰った。【藤原氏長子出家の謎】中臣真人、定恵、飛鳥時代の学僧。653年(白雉4年)5月、遣唐使とともに唐へ渡る。長安懐徳坊にある慧日道場に住し、玄奘の弟子の神泰法師に師事した。(皇極天皇2年(643年)- 天智天皇4年12月23日666年2月2日)。唐時代、玄奘三蔵や王玄索が天竺から持ち帰ったことが契機でインド風の仏像が流行した。東京国立博物館
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展示作品の一部
国宝聖林寺十一面観音、奈良時代、8世紀
日光菩薩、正暦寺、平安時代、10~11世紀
月光菩薩、正暦寺、平安時代、10~11世紀
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参考文献
六観音菩薩「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」東京国立博物館、・・・純粋な美しい魂に舞い降りる
https://bit.ly/2C0ZL2f
法華寺「十一面観音」の美・・・純粋な魂に舞い降りる
https://bit.ly/2NKS5IP
「国宝 薬師寺展」・・・月光菩薩、日光菩薩、白鳳文化の美の香り
https://bit.ly/2Ovw4gs
図録「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」2021
「国宝 聖林寺十一面観音」・・・疫病退散の祈りを込めた秘仏
https://bit.ly/3d1h6Kh
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特別展「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」
『国宝 十一面観音菩薩立像 奈良時代・8世紀 奈良・聖林寺蔵』
本館 特別5室 :2021年6月22日(火) 〜 2021年9月12日(日)
仏教伝来以前の古い日本では、神は山、滝、岩や樹木等に宿ると信じられ、本殿などの建築や、神の像はつくらず、自然のままの依り代を拝んでいました。その形が現在まで続いているのが三輪山を御神体とする大神神社です。その後、国家的に仏教を興隆した奈良時代には神仏関係の接近が見られ、神に密接にかかわる寺がつくられました。三輪山にも大神寺(鎌倉時代以降は大御輪寺)が造られ、仏像が安置されました。幕末、新政府により神仏分離令が発せられると、廃仏毀釈の危機にさらされますが、大御輪寺の仏像は、同寺の住職や周辺の人々の手によって、近傍の寺院に移され、今日に至ります。
本展では、かつて大神寺にあった国宝 十一面観音菩薩立像(聖林寺蔵)、国宝 地蔵菩薩立像(法隆寺蔵)などの仏像と、仏教伝来以前の日本の自然信仰を示す三輪山禁足地の出土品などを展示します。国宝 十一面観音菩薩立像が奈良県から出るのは初めてのことです。その比類ない美しさをこの機会にぜひご覧ください。
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三輪山信仰
日本人は古来自然に畏敬の念を抱き、神が宿る依り代として、山や滝、岩、樹木などを信仰しました。三輪山はその代表的な例で、大神神社には神をまつる本殿はなく、三輪山を御神体として礼拝します。
『古事記』の神話に、大物主大神が大国主神に、国造りに協力するから「吾をば倭の青垣、東の山の上にいつきまつれ」(私を、大和を囲む青い垣根のように連なる山々の東の山にまつりなさい)と望み、三輪山にまつられたと語られています。三輪山には人々が入ることができない禁足地があり、そこから古代の祭祀を物語る子持勾玉や、造酒に用いる器具の小さな土製模型が出土しており、古くからの信仰の存在を確認できます。
大神神社の由緒には、三輪山の頂上の磐座(神の宿所)に大物主大神、中腹の磐座に大己貴神、麓の磐座には少彦名神(すくなひこなのかみ)が鎮まるとあります。三輪山を御神体とする大神神社拝殿とその奥の禁足地の間には結界として鳥居と瑞垣が設けられています。その鳥居は、一列に3つ組み合わせた独特の形式で「三ツ鳥居」といい、中央には扉が付けられています。拝殿がはじめてつくられたのは鎌倉時代のことで、現在の拝殿は寛文4年(1664)徳川家綱が再建したものです。国宝 聖林寺十一面観音菩薩立像をかつて安置していた大御輪寺は、大直禰子(おおたたねこ)神社(若宮)となっています。
「国宝聖林寺十一面観音」東京国立博物館
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2013
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「国宝聖林寺十一面観音」東京国立博物館6月22日(火)〜9月12日
2021年6月22日(火)〜9月12日(日)、東京国立博物館 本館特別5室
2022年2月5日(土)〜3月27日(日)、奈良国立博物館 東新館

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