北狄（４）

大国家を築き上げた冒頓さん。次は漢を攻撃だー！と攻め込んでいく。漢は対匈奴用に現
在の山西省と内モンゴル自治区との境付近の馬邑というところに軍事拠点を置き、韓王信
という人物を太守として派遣していた。この韓王信と冒頓単于が何度か干戈を交えた

冒頓単于強し！と見た韓王信、長安の都の劉邦に対して戦うよりも金品を与えて和睦した
方がこちらの被害が少なく済んでお得だと進言。ところが劉邦はこれをサボタージュとと
らえて「テメエ！ふざけんな！殺すぞ！」とやったので、韓王信は寝返ってしまう

冒頓単于軍に合流し４０万の大軍となり南下。これに対し漢は劉邦自ら討伐軍３２万を率
いて迎え撃った。紀元前２００年のことであった。ところが劉邦の本隊は冒頓単于軍によ
る「釣り野伏せ」戦法にまんまと引っかかってしまうのである

釣り野伏せは日本では島津が得意としたとされる戦術で、戦いが始まるとまもなく敗走と
みせかけて退却する。相手は好機到来とばかりに追撃してくる。こうして敵を誘い込んで
孤立させて包囲殲滅するという作戦だ

これに見事に嵌った劉邦軍本隊、白登山というところで完全に敵に取り囲まれた。完全に
孤立無援、絶体絶命の大ピンチである。せっかく項羽を破って中華皇帝の座を手に入れた
ばかりの劉邦さん。ここであえない最期を遂げるのか？さあ！どうする？どうなる？

ここで劉邦軍の軍師である陳平が起死回生の策を打ち出す。その策とは？ひたすら「命乞
い」をするというものだった。冒頓単于の奥さんである閼氏に多額の金品を贈り、何とか
命だけは助けるように冒頓さんを説得してくだされーと懇願したのである