危険な空き家をなくす目的で施行された空き家特措法だが、まだこんなニュースが飛び交うくらいだから機能していないのがよくわかる。滋賀県野洲市で最近、同法に基づく築48年のマンションの解体工事が始まった。分譲マンションでは初めての事例だとか。9部屋ある建物の住民は10数年前にいなくなっており、いわゆる廃墟に近い状態。2年前に解体命令が出ていたが、実施されなかった。
ご存じの通り、マンションの解体は所有者全員の合意が必要だ。しかし、4部屋の所有者は書面を送っても反応がなかったという。このケースでは管理組合もなければ、修繕積立金もなく、老朽化は進む一方。アスベストの有害被害も想定されるため、いわゆる「特定空き家」に指定された。自治体は指導、勧告、命令ができるが、従わなかった場合は行政代執行で撤去できる。
じゃあその費用は誰が払うのか。もちろん、税金で賄うわけにはいかないので、所有者に請求が回ってくる。このマンションでは約1億円だとか。1部屋当たり1000万円ちょっという計算になる。ただ、所有者不明だと最終的には財産差し押さえしか方法がない。仮にそうなっても、全額回収の見込みは立っていないという。国交省のデータでは、平成18年度までに行政代執行が行われたのは41件だけ。これが空き家対策の実態だ。
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