MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が開催されました。東京オリンピックの日本代表選手選考レースとして、代表を決めるものです。代表の枠は男女とも3人となっていて、男女とも1位と2位になった選手が代表に決定します。
3位になった選手はあくまでも暫定で、今後の3大会において、設定タイムを上回る選手が出ないと、3位の人が代表に決定します。設定タイムを上回る選手がいた場合は、その選手が3人目の代表に決定するのです。
このような形にしたのは過去に瀬古選手が選ばれた時に人生を狂わすような事案があったからです。代表を選考する、という過程は、たびたび話題になります。本番で結果を出す選手は誰か、実力を発揮できる選手は誰か、考えれば考えるほど難しい命題だからです。
マラソン一発勝負で決めてしまうと同じタイプ選手が集まってしまう。また体調が悪く出られない選手が発生するかもしれない。さらに一発屋が現れる。一発屋とは過去に何の成績を残していないのに優勝してしまう。
一発屋の選手はオリンピックに出場していい成績を残せない。また、大会が一つだとスポンサーからお金が入らないとかの問題もあるのです。さらに、いいタイムを持っていても、それはたまたまで、涼しい季節でのタイムかもしれない。
真夏のレースでは難しいかも、とか、タイムは今一つだけれど、実力はこんなものではないだろう、粘り強い走りで、夏のレースにも強そう、とか、いわゆる、総合的な判断というものが成果を最大化するために必要なのかもしれません。
ちなみに日露戦争のとき、当時の海軍大臣は、編成された連合艦隊の司令長官に、常備艦隊の司令長官ではなく、閑職にいた東郷平八郎を推挙しました。明治天皇から理由を問われた際に、「東郷は運のいい男です」と奏上したとか。これも総合的な判断といえるかもしれません。
今の時代は、みんなが納得する選び方、というものが重視されているのでしょう。分かり易さ、と言ってもよいかもしれません。このレースで勝った人が代表です、と明確な方法になります。また、この一戦のためにどれだけ準備できたか、これはオリンピック本番にも通ずるものがあります。
事前に選考方法さえ合意できていれば、誰から見ても代表の決定は明らかです。一発勝負のような決め方は、観戦するほうも楽しめます。有力選手が一堂に会し、日本一速い人を決めよう、というレースなので、選手たちの必死さと緊迫感が違います。また、何より日本のマラソン界の底上げになっているのです。
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