mixiユーザー(id:6866201)

2018年11月29日23:06

931 view

11月29日 大島産業パワハラ・未払残業手当判決から運送業界の今後考える事

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。


11月29日 大島産業パワハラ・未払残業手当判決から運送業界の今後考える事


11月29日木曜日。先日、約2か月前パワハラ判決でネットで炎上騒ぎとなった運送会社において、未払い残業手当支払い判決がありました。



※読売新聞より引用

運送会社に賃金未払い、制裁金合わせ1億2000万円支払い命令…福岡地裁

読売新聞2018年11月17日
 福岡県宗像市の運送会社に勤務していた運転手の男性5人が、同社と、同じグループ会社の2社に未払い賃金などの支払いを求めた訴訟で、福岡地裁(岡田健裁判長)は16日、請求額とほぼ同じ計約1億2000万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 5人(33〜53歳)は2002〜15年、2社で長距離トラックの運転手として勤務。原告側は毎月少なくとも100〜200時間程度の時間外労働があったと主張し、同社側は、運転手の給与は運行実績に基づく出来高払い制で、時間外労働の賃金はその給与に含まれると反論していた。

 判決は、同社の就業規則は原則、労働時間が定められた日給月給制を採用すると定めており、運転手にも適用されると判断。原告の主張通り時間外労働があったと認定し、未払い賃金など約7000万円に加え、労働基準法違反の程度が大きいとして付加金(制裁金)約5000万円の支払いも命じた。



※引用終わり。



記事の運送会社・大島産業に関しては、今年9月14日にパワハラ訴訟で会社側に対し、1541万円の損害賠償請求の判決が出ました。判決後、会社側は控訴中です。今回は、さらに他の従業員5人の未払い残業手当等に関する判決です。これで大島産業1社で、約1億3500万円の損害賠償請求判決が出たことになります。



9月14日の判決時は全国紙・テレビで報道され、ネットでも炎上状態でしたが、今回の記事は全国紙・NHK等で報道されたものの、前回ほど多く報道されなかったと思われます。ネットでも炎上までは無かったように思えます。しかし名前は、「全国レベル」で広まってしまったと思われます。



今回の判決で会社側は、記事を読んだだけでも、個人的には、法的に無茶な反論をしていると思います。

・ドライバーの賃金は出来高払制で、残業手当は含んでいる。

→最高裁平成28年(受)第222号 地位確認等請求事件 平成29年7月7日 第二小法廷判決より、「残業代と基本給を区別できない場合は残業代が支払われたとは言えない」として無効と判断された事もあり、会社側は不利。



・就業規則は原則、労働時間が定められた日給月給制を採用すると定めており→労働契約法第12条(就業規則違反の労働契約)により、仮に歩合給等に関する個別の労働契約を労使間で交わしたとしても、就業規則を上回る労働条件の労働契約でなければ無効であり、無効となった部分は、就業規則で定める基準によるので、会社側は不利。



以上の点だけでも、裁判するまでに話し合いによる和解は出来なかったのか?と社労士の立場として思います。また悪質と判断されたせいか、付加金約5000万円上乗せされたうえでの約1億2千万円の請求です。



労働トラブルの場合、訴訟→判決→マスコミ・新聞・ネットで報道と言いう流れは、取引先への影響等本業だけでなく、採用・求人にも大きく影響を受けると思います。実際、求人を検索してみると、ハローワークインターネットサービスでの求人は、建設業の現場管理(土木)のみ求人がありますが、ドライバーの求人は募集終了状態です。なお現在、大島産業のホームページ・ブログ等は閉鎖されたままです。



今回の判決は、会社側の仕事が多い社労士において、反面教師になる事例だと痛感します。慢性的な人手不足で苦しんでいる運送業界においては、大島産業の判決のような「悪いイメージ」を改善すべく、業界レベルで行動する必要があると改めて実感します。



慢性的な人手不足の現在、荷主の要請に伴う長時間労働も積み重なり、労働条件悪化→求人しても来ない→ドライバーの高齢化と悪循環であるのは、私自身、運送業の顧問先を持っているため、非常に実感しています。



しかし働き方改革関連法が成立した現在、現状を悔やむのではなく、「出来る点」から労務管理改善を出来るか否か?が、運送会社が生き残る方法であると私は思います。そのためにも、私を含む運送業の労務管理を理解している社会保険労務士に相談して頂ければ幸いです。



今後、裁判沙汰になる前に、過去の判例・労働トラブル事例により建設的かつ会社として被害最小限の労使間円満解決を助言できる点で、私を含む社会保険労務士に早めに相談して頂ければ幸いです。





※写真は先日の夕食で、野菜炒飯・麻婆豆腐等です。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する