表題作の海の見える理髪店をはじめとした関連性の無い6つの短編集。基本的には悲劇的な出だしから始まるけれども、完全なハッピーエンドではないけれどほっこりとした結末になる物語集。
6つの物語の中で心に残ったのは2つ。
一つ目は、海の見える理髪店。
老理容師がお客である若者に散髪をしながら自らの人生を語るのだけれど、何故こんなにまで語るのかと思いながら読んでいたが、最後にその理由が分かった時には納得するとともに感動した。
二つ目は、成人式。
娘を15歳で亡くすまでの夫婦の話は読んでいて涙を禁じえなく、もう読むのを止めようかと思った。しかし、何とか読み進める内に、母親が娘に成り代わって成人式に参列するという奇想天外な展開となり、興味深く楽しく読むことができた。最後に、夫婦が精神的に救われるであろうことが想像できたのも良かった。
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