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2015年02月10日10:14

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モテるぜ人世録・44・男女分裂

 さて、山部の一件は落着着いたクラスだが、あいかわらず「親分風」吹かせているのにはかわりなかった。小柄な男の子や小さな派閥の男の子は陰で袋だたきにあっていた。
 女の子はそろそろ色気が出てくる頃なので、ハンサムで成績の良い(でもよく見ると弱い者いじめの、ひどい差別主義者)「山辺・ルール」に順い始めた。みんな「りぼん」とか「フレンド」読んで、「曲がり角でドシンとぶつかって始まる転校生(イケメン)とのラブストーリー」を夢見ているのだ。
「現実の『女子を偏見差別する男の子社会』の男子弱い者いじめや派閥争い」を見ないで、「いつか訪れる王子様」に片想いしているのだ。

もう、男女は完全に別グループだった。

お互いが、お互いをきちんと見ようとしていない、一番悪い形での「分裂」だった。

 そんな中、いやな事件が起こった。6年生の生徒会選挙である。一部の共産党系の先生が
「スギウラを当校初の『女子生徒会長』にぜひ!」
と押しているのを知って、ゾッとした。
私は5年の終りに
「ウチの学校へいらっしゃい。ただしコネは効かないので実力で入りなさい。」と養母に命令されて、必死なのだ。
「共産党系の先生が押す」というのも、薄気味悪かった。
生徒は「大人の先生の支持政党に縛られない」ものです、違いますか?「江青」を筆頭とする「四人組」支配下の中国を「良し」とする共産党なんてまっぴらだわよ。
 で、私は策を練った。
「私は1年間受験勉強があるので、生徒会長は努められません。だだし応援演説をします。みなさん、この忠四から、「初の女子生徒会長を出してみませんか?わたしは大坂さんを推薦します。」
このテの演説は、私は6年間ぶっ通しクラス委員はやってるは、芝居の脚本書いているはで、全員をノセるのが上手いんである。
大坂さんは、どこにいても目立つ、背の高い美人。
おっとりして、成績は中ぐらいだが、彼女がニコニコしていると、出した刀も引っ込んじゃうタイプである。
「いい?立候補演説でこういうの『私は、皆さんの声に良く耳を傾けます。お互いに意見を交換し、よく考えつくしたところで、挙手を求めます。私がやろうとしているのは、時の勢いで物を決めるのでもない、男子の意見が多いから決めるのでもない、『平等な民主主義』です。これだけ、壇上で、女神のような微笑みで、ゆっくり語れればOKでよ!」
応援演説、これは私が舞台脇で「ハモニカ漫談」をやった。
「キューティーハニー」のオープニングから「ロンドンデリー」まで、短くサビをチョッ・チョッと入れながら「大坂さんに入れよう、大坂さんに入れよう、女子が生徒会長になるのは初めてだけれど、きっとこんなイイことあるよ〜。」と超短時間で呪文を掛けちゃうの。
結果、大勝ち。
生徒会は、もめもせず、大坂さんの笑顔に支えられて、無事前期を終了したのであった。
余波で、もう一度「ちょっと小柄でボーイッシュな波口さん」を推薦したらまた大勝ちしちゃって、我らが6年1組は学校創立以来2期連続、女子生徒会長を出す、という「不思議な学年伝説」を持つクラスとなった。
(ああ、私は「女ゲッペルス」だなあ)
ただ、おもしろく思っていない連中がいた。山部と、そのおとりまきである。
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