最近の僕は口を開く度に何かを失っていくただ、それを恐れて何も語らなくなるつもりはない今まで、自分のまわりにあったものが下がって背景の中に消えていくにしたがって自分というものがますます浮き彫りになってくるのを感じるから
海を見に行った初冬の晴れた良い天気の日にやわらかで暖かい日差し僕の目は知らずと半開きになっていた凝視するのが恥ずかしいかのようにしばらく見ているとそこにはちょっと疲れて、ちょっとやつれてでも、目が綺麗で輝いている僕自身が立っていたそして、僕
海を目の前にすると人々は嘘などつけはしないいや、海だけでなくその他様々な自然についてもそうだろう自然に対して嘘などは通用しないし、又聞いてさえもいない自然はただ、静かに優しく微笑んだり目を吊り上げて叫び声を上げて怒ったりその感情を偽り無く表
人類は一人のドイツ人によって自ら作った檻から解放されたしかし、人類は檻から出た開放感でめいめい勝手な方向に散って行った自由の喜びでうちふるえながら彼が行き先を告げる前に僕は彼が手順前後をおかしたとは思わない何故なら、人類がその住処としている
人類は巨大な戦車に乗って驀進している乗れないものを踏みつぶしながらもはや、それを制御しているのは人間ではなくコンピュータを含むシステムだその戦車はロボットの手を持っているその手は絶えず外のガラクタをかき集めますます自身を巨大化させるブレーキ
会社に奉仕するには精神は必要ないただ肉体とマニュアルがあればいい家庭に奉仕するには精神は必要ないただゴムと明細書があればいい社会に奉仕するには精神は必要ないただ規則を守ればいい自分に奉仕するには精神は必要ないただ誤楽(娯楽)と朽息(休息)が
会社に見も心も捧げているだって ふざけるないい加減にしろよこの大嘘つきめなんだったら今の仕事をボランティアでやってみるんだなそうすればすぐにわかる
女や酒で一生を棒に振る方が仕事でそうなるよりよほど良いに決まっている前者は同情もするし小説で扱っても良い題材になる後者は見ただけで吐き気がするし家族からも見放されているんだからどうしようもない