「このところ何かにつけて『力』(りょく、ちから)という言葉を目にします。たとえば、言語力、思考力、文化力、対話力、コミュニケーション力、というように。そのように使われる『力』は、多く『能力』という意味に用いられています」 しかし、そうではな
日本の医療提供体制が危機的な状況にある最大の要因は、2004年に始まった新しい臨床研修制度かもしれない。それ以前の新人医師の多くは、診療科間の仕事内容の違いもわからないまま、いきなり大学の医局に入り研修を行った。大学医局で滅私奉公的な初期教育
習近平政権は経済成長よりも国家安全保障と政治統制を重視する考えだ。若年層との対話を試みようにも、実態をあまり理解していない様子がうかがえる。 希望をもてない若者に「苦労を耐えろ」と言っても響かないのは当然だ。苦境の中にいるからこそ国の一人ひ
米ソの冷戦時代と異なり、現在の米中間では、経済の相互依存度が大きい。米国でデザインされ、日本やドイツが基幹部品を供給し、中国で組み立てられるスマートフォンがその典型例である。しかし、この米中間の経済活動の相互依存性は、中国企業が、労働集約
「物事はすべてそんなに容易に掴めるものでも言えるものでもありません。ともすれば世人はそのように思い込ませたがるものですけれども。たいていの出来事は口に出して言えないものです、全然言葉などの踏み込んだことのない領域で行われるものです。それにま
資本主義の常識からみれば中国経済や一部企業の破綻は避けられない状況に陥りつつある。それでも中国共産党は西側とは違うルールで銀行や国有企業を動員し、急激な破綻は回避する可能性は高い。だが、それは問題の先送りにすぎない。 病巣の根源をわかって
ロシアの前身であるソ連は米ソ冷戦中、社会主義陣営を束ねる帝国だった。ところが1979年にアフガニスタンに侵攻し、約10年間の戦いに敗れる。国力をすり減らした末、ソ連は1991年12月に瓦解してしまった。 プーチン氏はいま、似たような道を突き進んでいる
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エルドアン政権のもとでトルコは大きく変わった。建国エリートの理念であった世俗主義を支持する層と、イスラム教を尊重する層との間で進む政治的分極化である。 世俗派と宗教重視派との溝が越えがたいものになればなるほど、AKP支持層である宗教重視の有
日本政府は、なぜ「デフレ脱却」に腰が引けているのだろうか。政治的に居心地が良いからに違いない。デフレ脱却により経済は「平時」に戻るが、そうすれば補正予算、際限のない財政拡張は錦の御旗を失う。 デフレこそはアベノミクスの一丁目一番地だった。
時の試練を耐え抜いた学説だけが科学の巨人の骨肉たりうるが、1歩裏道に入れば死屍累々の世界が広がっている。そのこと自体は科学の逃れられぬ宿命として致し方ないが、問題は、科学者どうしの評価なしには成立しない近年の予算配分のしくみだ。アルツハイマ
ゼロからイチを生み出すスタートアップの場合、起業家自らのアイデアが実現可能なのかを知る概念実証(プルーフ・オブ・コンセプト)が第一の目的。結果がイエスであれノーであれ、「恐れずにその事実に向き合うことが大事で、ノーだとしても、それはいわゆる
損害保険のもとをたどると、12〜13世紀に盛んだった「冒険貸借」にたどりつく。海上交易が活発になるのに伴い、イタリアやフランスの地中海沿岸でかわされた契約だ。船主などに金融業者が高利で貸し、海賊や風浪で船や積み荷が失われたら、借金をチャラにした
中国の習近平国家主席は、折に触れ3つの罠に警戒せよと言ってきた。先進国になれずに成長が滞る「中所得国の罠」、政権が信用を失う「タキトゥスの罠」、覇権国と台頭する新興国が戦火を交える「トゥキディデスの罠」だ。中国の今年の大学卒業者は1100万人を