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2015年04月12日23:00

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経済談義シリーズ第9回:金融機関の国債保有について(1)

経済談義シリーズ第9回です。日本経済超悲観派の僕がその論拠を解説していきます。


前回第8回の中で、日本の民間金融機関が国債売却に消極的であることを書きました。それについて今回と次回で書きたいと思います。

日本に債務危機が起こりえない理由のひとつとして、大口の貸し手である民間金融機関が国債を売却する(=資金を回収する)ことがないから、という説明がよくなされます。
実際今までのところ、銀行などは大量の国債を保有し続けていて大量売却した例はありません。昨今では、日銀が黒田バズーカで国債を高値で買い取ろうとしても銀行などが手放さず、結果として市場価格が値上がりしすぎてマイナス金利になってしまうほどです。


この理由はひとつには、単純に扱いやすいということがあります。外国の金融商品よりも国内の金融商品のほうが売り買いしやすいということです。これをホームカントリーバイアスというそうです。


もうひとつには、帳簿上の資産評価ルールがあります。金融機関が保有する自国政府の国債についてはこれをリスクゼロとみなすことになっていて、資産目減りのおそれはないことになっています。なので資産の目減りを防ぎたい金融機関は、もっとも安全な資産として、一定割合を国債で保有することにしているわけです。


しかし、政府が借金を返せないということが将来現実に起こりえないと理論的に保証されているわけではありませんから、現実問題として(当面大きくはないかもしれませんが)一定のリスク、いわゆるソブリンリスクはあると考えるべきで、リスクゼロという想定は現実に合っていません。
現実にあわせたリスク分を算定して資産評価を減損すべきだという議論がいずれは出てくると思います。というより、出ているようです。下の記事によれば、国際的な委員会の場で国債価値の評価基準を見直そうという提案がなされているとのことです。

参考記事:日経新聞(全文を読むには契約が必要です)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC09H0I_Z00C15A3EE8000/


金融機関のなかでも大手金融機関については別の事情もあるのですが、それについては次回。



過去記事:
第1回:序論
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1932475007&owner_id=277042
第2回:序論その2
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1933137471&owner_id=277042
第3回:序論その3
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1936636679&owner_id=277042
第4回:国債の為替リスク
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1937321322&owner_id=277042
第5回:国債の価格と利率
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1937661952&owner_id=277042
第6回:国債価格下落リスク
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1938424255&owner_id=277042
第7回:政府資産の換金可能性
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1939210891&owner_id=277042
第8回:親子論
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1940265106&owner_id=277042
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