前聖戦終結後…生き残った耶人とユズリハは!?
★ハクレイ譲りの厳しさです。
聖戦後、チベット。
ユズリハと耶人は川で魚釣りをしていた。エサのミミズを手にしたユズリハが呆れたように言う。
「耶人…お前まさか…、虫が触れないのか…?」
「は…?」
ミミズから身を引きながら耶人が言う。
「いやいや!そんな事ねェし!クワガタとかカブトは全然平気だし!足が無いのと多いのがダメなだけだって!」
「お前、よくそれであの聖戦生き残れたな」
「やめろ!ユズリハ!近付けんな!」
「近付けるな?」
ユズリハは耶人の顔に足蹴りを食らわせた。
「甘えるなよ、小僧が…!釣り餌もつけられんでは聖戦は生き残れても、このチベットの大地では絶ッッッ対に生き残るのは不可能!」
ハクレイの鬼の教えである。
「まずは三匹、一人で釣って貰おう」
『とは言ってもなァ…』
小さな壺に入ったエサの虫を恐る恐る見つめる耶人。
『前、三人で旅した時もテンマにつけて貰ってたし』
「え!?お前、虫触れねェの!?」
「悪いかよ、バーカ、バーカ」
テンマのことを思い出す耶人。
『懐かしいな…。あいつ変に器用だったっけ…』
二人で魚を釣りながら耶人はテンマに言った。
「おい、テンマ。よくそんなにサクサク虫つけられるなァ」
「んー?そうかー?昔よくやらされてたからかな」
「アテナ様にか?いいなァ」
「いや…。まあサーシャにもだけど…。孤児院では小っこい奴らばかりで俺が一番年上だったからさ。あれやってーとかこれ取ってーとか、全部おれの仕事なの。アローンもこういうのは苦手だしな」
「そうなのかァ。おれは逆に上に姉ちゃん二人だったから色々世話焼かれた方が…」
『…じゃなくて…!せっ…世話なんか焼かれてねェし!』
「わー耶人。お前、糸引っかかってんじゃん…!」
耶人は糸を岩に引っ掛けて切ってしまった。
「切れた…」
「ほれ、次の竿。次はちゃんと釣れよな!」
竿を渡しながらテンマが笑う。
耶人は魚を釣り上げた。
「どうだ!釣れた!五匹目!俺だってやればできるんだぜ、ユズリハー!」
『…だな!耶人!』
テンマの声が耳元によみがえる。肩に手を置かれたような気がした。
「…!」
はっと耶人が振り向く。
「不意に出て来んなよな…、馬鹿テンマ…」
『懐かしい…』
テンマとユズリハとともに三人で旅をした記憶を思い出す耶人。
★それは束の間の別れ。絆は永遠に!
作者コメント:なかなかできないことが沢山できました。楽しかったです!
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