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Standard Jazz Songコミュの【特別寄稿】アメリカン・ポピュラー・ミュージック(1)"ロマンティックじゃない?”

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宮崎市の医師会員向け雑誌『醫友しののめ』(年3回発行)にアメリカン・ポピュラー・ミュージックと題しましてスタンダード・ジャズ・ソングに大きく関連するすばらしい内容の記事が連載されています。

このたび、筆者でいらっしゃるwrasse田中宏幸さんにこのコミュニティに転載する事にご快諾をいただきまして、【特別寄稿】として連載することになりました。

wrasse田中宏幸さんは神宮医院の院長を務めるかたわら、宮崎市郡医師会の理事でいらっしゃり、夜間急病センターの内科所長などを務められていらっしゃり、非常にご多忙でいらっしゃるので代理投稿させていただくことになりました。
また、音楽全般にわたって非常に深い造詣をお持ちでいらっしゃり、もちろんこのコミュニティの参加者でいらっしゃいます。

記事はかなりの長さで、画像データもたくさんありますので何回かに分けて連載することになります。

また、現在まで7回掲載されているとのことなので、できれば1回分を一つのトピックとして転載させていただこうと考えております。

第一回分はわたしマイルス・ネイスミスが手掛けさせていただきますが、ご覧いただきました参加者の中で手をお貸しいただける方がいらっしゃいましたら、私信でもご連絡いただけましたら幸甚です。


『醫友しののめ』はこのような雑誌です。
http://www.miyazaki.med.or.jp/miyazaki/sinoiyu.html

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前奏
世の中はポピュラー音楽で溢れています。 好きな音楽が聴こえてくると耳を傾けたくなります。 ホテルのロビーや洒落た喫茶店では軽音楽が流されていますし、亜熱帯植物園ではボサ・ノヴァやハワイアンが、クリスマス・シーズンには “ホワイト・クリスマス” が至る所で聴かれます。 ある特定の場所や時期の雰囲気作りに音楽は欠かせない存在で、一般にムード音楽と呼ばれるものです。 同じ音楽であっても演奏形態によってムード音楽にもジャズにも変身しますし、人の声が加わるといっそう深みが増すものです。

20数年前だったでしょうか、父がよく口ずさんでいた歌について、私に尋ねました。
“エーデルワイス はどこの誰が作った?”
“アメリカの作曲家だよ”。 そう答えると驚いていました。

“リチャード・ロジャースという有名なアメリカの作曲家が、ミュージカル ‘サウンド・オブ・ミュージック’ のために書いた“ と教えたのです。 いかにもヨーロッパ風なこの歌を、地元生まれだと信じていたのでしょう。 なお、エーデルワイス(本来ドイツ語でエーデルヴァイス)は”セイヨウウスユキソウ“を指します。

♪ エーデルヴァイス エーデルヴァイス

イェーデン モルゲン ミッヒ グリューセン
クライン ウント ヴァイス  ライン ウント ヴァイス・・・・・
   (ドイツ語歌詞。もちろん原曲には英語の歌詞が付いた)

合衆国では数多くのポピュラー名曲が生まれ育ったのですが、この歌はほんの1例に過ぎません。 このミュージカルは1959年に作られ1400回も上演されました。 その後1965年に映画化された際、主演の歌手ジュリー・アンドリュースは一躍人気者になりました。 伸びのある透き通る青空のような天性の歌声は、まさに天使のそれだったのです。 “マリア“、“ドレミの歌” の他、感動的な “全ての山に登れ”や、愛らしい “もうすぐ17歳” などの優れたポピュラー名歌がありました。 さらに今のジャズメンにとって ‘常識’ とも言える “私のお気に入り” (My Favorite Things)も大ヒットしました。 この歌はポピュラー・シンガーもムード・オーケストラもよく採り上げています。 

古いレコード盤は捨てることが出来ないというファンも多い
左: 名花ダイナ・ショアの奏でる美しいバラッドの数々
中: ジャズ・シンガー界の大御所エラ・フィッツジェラルドのスロー・バラッド集(CD)
右:若き日の女優ジュディ・ガーランドの歌うバラッド集(CD)


スタンダードとは
副題の “ロマンティックじゃない?”(Isn’t It Romantic ?)。これもリチャード・ロジャースが作曲しました。 1932年のことです。 かなり古いとは言え、音楽を知る人には馴染み深い歌で、80年近く経った現在でも多くのポピュラー・シンガーや楽団、特にジャズ演奏家やジャズ歌手が歌い演奏し続けています。 そして新たな若い世代のハートを掴み、これからも永遠に語り継がれていくことでしょう。

この様な時代を超えて演奏され続けている歌(曲)をスタンダード・ミュージック(単にスタンダード)と呼んでいます。 ジャズの解説書によく出てくる ‘1003’ はスタンダードの曲数と言われるほど数が多いのですが、これから先がスタンダードだ、という紋切り型の定義などはありません。 実際、評論家の間や書籍でもスタンダードとは何か、という問いへの答えに違いが見られます。 かつてアメリカには ‘ポピュラー’=‘ジャズ’ だった時代もありましたし、スタンダードのほとんどがアメリカ生まれと言っても過言ではありません。 ミュージカルの中の歌や映画音楽、そして当時の流行歌のうちいくつかが生き残り、今でも盛んに演奏されているのです。 ポピュラー音楽に栄枯盛衰はありますが、スタンダードに限って言えばこの言葉は通用しませんし、懐かしのメロディーでもありません。 時に人々に感動を与え、永遠に好まれる要素を持つ、今を生きる音楽だからなのです。 心に残っているから ‘なんとなく懐かしい’ と人は言うのです。 ではスタンダードはいつ頃生まれたのでしょうか?

大部分は1920年代から1950年代にかけて生まれました。 そのまた多くは各映画会社の作る映画、ミュージカルの舞台などとタイアップして出来たものです。 特に1930〜1940年代には優秀な作曲家たちが素晴らしい曲を数多く遺しました。 先のリチャード・ロジャース(代表作:ブルー・ムーン)はもちろん、アーヴィング・バーリン(チーク・トゥ・チーク)、コール・ポーター(ビギン・ザ・ビギン)、ジェローム・カーン(煙が目にしみる)、ジョージ・ガーシュィン(サマータイム)、アーサー・シュワルツ(あなたと夜と音楽と)、ハロルド・アーレン(虹の彼方に)、ジュール・スタイン(ジャスト・イン・タイム)、ハリー・ウォーレン(知らないでしょう)、ジミー・マクヒュー(明るい表通りで)、ヴァーノン・デューク(ニューヨークの秋)、デューク・エリントン(キャラバン)他、数えきれないほど輩出しました。 それより少し前では1900年初頭を中心にヴィクター・ハーバート(インディアン・サマー)、シグモンド・ロンバーグ(朝陽のようにさわやかに)などがロマンティックな作風の音楽を提供し、比較的最近ではジミー・ヴァン・ヒューゼン(オール・ザ・ウェイ)、その後もヘンリー・マンシーニ(酒とバラの日々)などが大いに貢献しました。 その後も優れた作曲家は数多く出てはいるものの、”偉大なるスタンダード作曲家” と呼ばれるには至っていません。 

受け取り方の問題ですが、冒頭に出てきた “エーデル・ワイス” がスタンダードと言えるかどうか微妙で、大変ポピュラーな存在ではあるけれどジャズメンがこぞって採り上げることはないので、まずジャズ評論家は “スタンダードとは呼べない” と言うに相違ありません。 この歌はリチャード・ロジャースが作曲し、オスカー・ハマースタイン?世が作詞しました。 一般に “作詞・作曲” の順番でそれぞれ作った人の名前が出てきます。 これは恐らく詞の方が先に生まれ、曲が後から付けられる例が多かったので習慣となったのではないかと思われます。 大部分の場合、コンビを組んで作詞・作曲がなされましたが、これを一人でこなした人として前出のアーヴィング・バーリンとコール・ポーターの二人が特に秀でていました。

歌手やピアニスト、アレンジャー自身の作った歌にも良いスタンダードが残されています。 米キャピトル・レコード創設者の一人であるジョニー・マーサーという作曲家が、あるたばこ会社の宣伝用として1944年に作った “ドリーム” (Dream)が大ヒットしたなんて、今では考えられない話です。 よく知られた誰もが好きな唄と言えば ”スター・ダスト” (Star Dust) が筆頭に挙がりますが、これも俳優兼歌手であるホーギー・カーマイケルが1927年に作曲したものです。 この様な歌はこれから先、新たに生まれる可能性はほとんど考えられず、大袈裟に言えば人類の財産と申せましょう。
(画像は、ムード音楽の雄、ジャッキー・グリースン楽団の代表作 2枚)


編曲家(アレンジャー)の役割
そこで忘れてはならないのが優れた編曲家(アレンジャー)の存在で、編曲次第で歌の持つ本来のムードをガラリと変えることが出来るのです。 彼らの仕事は、与えられた曲を演者に合わせて、あるいは雰囲気を醸し出す為に工夫を凝らし、小さな ‘作曲’ を施すことにあります。 それ以上に重要な仕事はハーモニーを生み出すことにある筈です。 つまり異なった旋律を、主旋律に歌に重ねることで、音楽全体に厚みを与えるのです。 その上テンポを速くする、ボサ・ノヴァやワルツ調にする、本来速い曲を遅いバラッド風にする、あるいは前奏部分を自ら作曲まで行って、聴き手の耳に新鮮な響きを持たせることにあります。 

人気編曲家たちは様々な歌手にアレンジを依頼されてきました。 同じ曲に対して、彼らは2度と同じ編曲はしないものです。 “あの編曲家がそう来るのなら、私だったらこうする” と、その手腕を発揮しメロディーを活き活きと甦らせます。 雰囲気を出すのはもちろん、演奏者の人数や楽器に合わせたり、歌手の持ち味を引き出すために1曲ごとに編曲を考える必要があります。 スタンダードは色んな人に演奏されているので、過去に出された、似たような編曲を避けるために創意工夫し、新鮮に聴こえる様に努力してきたのです。 

もちろん小編成によるグループ演奏でも、またムード音楽でもアレンジは必須です。 このムード音楽の演奏に欠かせないのがストリングズ(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなど)で、聴き手をうっとりさせ、時間が過ぎるのを忘れさせるほど素敵なハーモニーを作り上げる編曲家の存在は大きいものです。 ロマンティックで甘い音楽が選ばれることが多く、その点ジャズの場合とは選曲がかなり異なってきます。 アメリカでは1940年代後半から1965年頃まで優れたムード・アルバムが盛んに出されました。 アレンジャーは指揮も兼ねたり、自身で楽団を率いることが多かったので、レコード会社や歌手からアレンジを依頼されたり、自身のオーケストラで録音、あるいはラジオやTVに出演したりと多忙を極めたのです。 

 一方、ジャズのアレンジも大切で、楽器の種類が増えれば増えるほど煩雑な作業となり得ます。 アレンジャー自身が楽団を率いている場合は彼自身が、いわば身内のアレンジを負うことになります。 ゲストとして参加したソロイストは彼自身のアドリブが披露されるでしょうし、アレンジャーは主に大もとの旋律を考えれば良いことになりますが、調和を図るために細かなアレンジが求められます。 ジャズは自由奔放に聴こえますが、演奏家が各人バラバラでは音楽になりません。 間(ま)を取ったり、ゲストやソロの時間を大事にしたりと、ジャズならではの緻密な工夫があってこそ初めて音楽になるのです。 

ジャズ・ヴォーカルと言えば小編成の、例えばピアノ・トリオが演奏しヴォーカリストがソロで歌う形式を思い浮かべるかも知れません。 しかし海外ではソロ・シンガーが20人以上のビッグ・バンドを従えたレコードも少なくありませんし、昔のビッグ・バンドの専属歌手がソロを歌うシーンはDVDでもよく見かけます。 またトランペットやテナー・サックスなどの奏者をソロイストとして迎え、あるいは伴奏をピアノあるいはギターのソロに絞った形式もまた数多く見られます。 その際、アレンジを手掛けるのは編曲家、歌手自身、あるいは演奏者であったりします。 小グループのリーダー自身が曲をアレンジするのはよくあるパターンです。 
素晴らしいですわーい(嬉しい顔) ご紹介されるの(入力)が大変だと思いますが、続きを楽しみにしていますクローバー お医者さんはJAZZ好きな方結構いらっしゃいますよね。まあ、筆者の田中先生のように奥深く探究されてる方はまれでしょうけれど。 nanamo
左と中: 有能なアレンジャー、パーシー・フェイス(米)。彼の1958年のLP(左)と次々に復刻されるCD
右: 現在N響の指揮を担当しているアンドレ・プレヴィンのジャズ・ソロ・ピアノ集(CD)


ビッグ・バンドとムード楽団
映画 ‘グレン・ミラー物語’ をご覧になった方も多いことでしょう。 アメリカにはその昔、有名な楽団がたくさんありました。 ビッグ・バンドと称されるこのグレン・ミラーをはじめ、カウント・ベイシー、デューク・エリントン、トミー・ドーシー、ジミー・ドーシー等の率いる楽団がひしめき合い、それぞれバンド・ヴォーカリストを擁して、きらびやかな演奏を繰り広げていたのです。 威勢が良く弾むような音楽は聴いていて楽しくなります。 一方、レイ・アンソニー楽団、ローレンス・ウェルク楽団、ガイ・ロンバード楽団等のダンス音楽を中心にしたスウィート・ミュージックを得意とするオーケストラもありましたし、20人編成のストリングズ・オーケストラにジャズマンを一人ずつ招いて美しいアンサンブルを奏でたジャッキー・グリースン楽団等も含め、1940〜1950年代はまさに百花繚乱の時代でした。 1950年中盤にはLPが出現し、さらにステレオ時代の幕開けで、レコード会社はこぞって録音様式を変えました。 一般家庭へのステレオ装置の普及率を見ながら、1960年初頭までは同じLPでモノラルとステレオの2種類を作っていました。 また古いモノラル録音をステレオ風に焼き直した疑似ステレオ(いわゆる ‘ニセステ’ :Enhanced Stereo)として盛んに再発売したのもこの頃です。

1950年代はムード・オーケストラが数多く世に出て、最も活躍した時代ではないかと思われます。 演奏形態が自然とストリングズ(弦楽器)主体になり、静かでスムーズな演奏が中心となって、曲も甘くロマンティックで聴衆を幸せな気分にさせてくれるのは、今の時代でも変わりありません。 アメリカでは大代表的な存在にパーシー・フェイス楽団がありました。 この楽団は1980年代も健在ぶりを見せましたが、ロマンティシズムの点で1950年代に作ったレコードとは比べ物になりません。 彼らもまたロックの影響をもろに受けたのですが、フェイスはかろうじてロック・リズムを取り入れ1970年以降も成功を収めたのです。 ほか、作曲家としても大活躍したヴィクター・ヤング(代表曲はラヴ・レターズ)やアンドレ・コステラネッツ、ポール・ウェストン、デヴィッド・ローズ、トゥッティ・カマラタなど大勢居ました。

スウィングしなけりゃ意味がない・・・?

“スウィングしなけりゃ意味がない” はデューク・エリントン作の有名な曲ですが、ジャズは何も激しくスウィング(本来 ‘揺れる’ という意味)する、あるいは大声でシャウトする歌や曲ばかりではありません。 スウィング唱法とは歌のテンポを上げて歌うだけではなく、自分の思い通りに音符を散らし、主旋律から外す歌い方で、いわゆるアドリブと呼ばれものです。 歌に生命力と迫力を与え、明るく楽しく、また調子に乗った聴き手さえも思わずスウィングするのです。 ただ、あまり音符が大きく外れると原曲の美しさが失せてしまうことがあります。 ポップス・シンガーのみならず、ジャズ歌手も原曲の美しさを大事にするのでしょう。 スウィングだと崩し易いのですが、バラッド唱法ではメロディーをあまり大きく崩しませんし、スロー・バラッドだと意外にストレートに歌うジャズ歌手も多いのです。 

日本のジャズ・ファンの中には “ストリングズ(弦楽器)が入ると甘くなりすぎる” と言う人も居ます。 せいぜい数名のジャズメンをバックに歌う(これを評論家は4畳半的ヴォーカルと称する)のがホンモノだ、と思っている傾向があるようですが、果たしてそれが正しいかどうかは各自の好みにもよりましょう。 本場アメリカでは大方そういう受け止め方はされていないようで、例えばフランク・シナトラがビッグ・バンドをバックに、スウィンギーに歌った立派なジャズ・アルバムもありますし、ビリー・ホリデイにもストリングズをバックに歌ったバラッド集が出され、いずれも評論家から高い評価を得ているのです。 シナトラは一般にポピュラー・シンガーで通っていますが、こういう “甘い” アルバムに対し煩いことを言う一部の人達は “コマーシャリズムに流された” と嘆くのです。 しかし私は、むしろその歌手が一般の人にも聴いて欲しいと願う意欲作だ、と捉えています。

一方、純粋なポピュラー・シンガーの歌でも伴奏や歌い方によって ‘本物の’ ジャズに聴こえることがあります。 歌手のバックにストリングズ楽団が付いても、そこに有名なジャズマンが吹くアルト・サックスが一本あれば、いかにもジャズ風に聴こえるものです。 大部分の歌手(大雑把に言えばジャズとポピュラーの中間派)がジャズメンを迎えた設定で歌うのは、ジャズ評論家やジャズ好きにとって好都合と言えるのではないか、とつい思ってしまいます。

さて、ドリス・デイと訊かれれば思い出すのが “ケ・セラ・セラ”、フランク・シナトラだと “マイ・ウェイ”、アンディ・ウィリアムスでは “ムーン・リヴァー” でしょう。 歌手にはそれぞれ大ヒットさせた、あるいは好きな ‘持ち歌’ というものがあるものです。 海外では基本的に他の誰がどの歌を演奏しても歌っても良いので、尚のこと ‘編曲家が重宝される’ という話が真実味を増すのです。 少々古い話ですが、日本のある新人歌手が ”江差追分” を歌おうとしたら、ある有名人気歌手にこう言われたそうです。 “私の歌だから歌ってはいけない”。 これでは日本に “良い” 編曲家が生まれ育つ筈がありませんし、スタンダードさえ生まれないでしょう。 誰でも好きに選曲出来ること、これはスタンダードが育つ必須の条件なのです。

美しいスロー・バラッドに欠かせないのが、ヴァイオリンを中心とするストリングズ編成によるオーケストラ演奏です。 ムードの演出には欠かせないアイテムで、きめ細かなアレンジで歌に陰翳を与えながら声を引き立たせ、音楽に美しく彩を添え、優しく包み込むものです。 1950年代には数々の有名アレンジャーが誕生し、さまざまな場面でその時々に応じた編曲を施したものでした。 同じ編曲家でも違う歌い手には異なった編曲を行う、その聴き比べは、これまた楽しいものです。 優れたアレンジャーとして活躍した人は枚挙に暇がありませんが、敢えて言えばネルソン・リドル、ビリー・メイ、ヴィクター・ヤング、ゴードン・ジェンキンス、ドン・コスタ、マーティ・ペイチ、ジョニー・ウィリアムス、クィンシー・ジョーンズ、アンドレ・プレヴィン、パーシー・フェイス(みなアメリカ人)他が居ましたが、まだまだ多数存在し腕を競い合いましたし、彼らはそれぞれ自身の楽団を率いていました。 

アメリカはまさにスタンダードの宝庫であると同時に、それが育つ環境に恵まれていたのです。 今から10数年前にある日本の作曲家が言いました。 ‘我が国でも優れたストリングズ・オーケストラを育てねばならない’。 正論です。 しかしながら環境がそうさせなかったのは大変残念なことです。 仮に生まれていたとしても、スタンダード・ミュージックのアレンジャーにとって活躍の場が無かったかも知れません。
左: 歌手の中の歌手トニー・ベネット(左)と、最高峰フランク・シナトラのスタンダード・バラッド名盤
右: 愛称フランキーの歌うイギリス生まれのしっとりバラッド集

ヴォーカリスト

スタンダードの語り手として演奏家や歌手が存在します。 有名な歌手の多くはアメリカ生まれで、稀に歌をジャズとして、またはポピュラーとしてしか歌わない人も居るものの、実はほとんどの歌手はポピュラー形式でもジャズ形式でも歌えます。 また同じ歌であっても、大きなオーケストラをバックにしたり、あるいはスモール・コンボと呼ばれる小人数の編成を従えたりして、演奏形態次第で歌い方を変えることが出来るのです。 そこに、歌手は勿論、編曲家の腕の見せどころがあります。

良い演奏家やアレンジャーは数多く出ましたが、かつては歌手もまた星の数ほど居ました。 一概に言えば彼らの声にはみな個性があって、しかも美しかったのです。 マイクなど無かった時代には声を張り上げて歌っていたのですが、これの出現と同時に歌い易くなりました。 しかしマイクにかぶり付いて歌う歌手はまず見つかりません。 みな声量があったのです。 ジャズ・シンガーの中には、ルイ・アームストロングの様に声が幾分しわがれた人も居ましたが、大部分は美声歌手でした。 男性ではテナー歌手よりも、低い声で歌う、より男性的なバリトン歌手が多かった点も今では魅力に感じられるのです。 

アメリカの歌手といってもすべてアメリカ生まれではなく、海外からの移民の子も多く、例えば世界的な名歌手フランク・シナトラはイタリア系ですし、他にも優れた歌手が多く居ました。 シナトラはポピュラー歌手なのですが、当初バンド・シンガーだった彼は、ジャズメンやビッグ・バンドをバックに、時に波に乗ってスウィングしました。 このようなジャズ風な歌い方を評論家は ‘ジャジーな唱法’ と呼んでいます。 ジャズ歌手だと何をどう歌ってもジャズと評されますが、ポピュラー・シンガーの場合は大抵の場合、いくらジャズっぽく歌っても ‘ジャジー’ あるいは “スウィンギー” な歌い方という捉え方なのです。 聴き手によって受け取り方は様々ですし、”純粋な” ジャズ歌手でもポピュラー歌手でもない、いわば中間派と呼ばれる歌手が数多く見られますが、私は特にこだわりません。 要は音を楽しめれば良いのです。

かつてはビング・クロスビーやペリー・コモのように、ソフトに歌う歌手を ‘クルーナー’ (そっと囁く様に歌う人)と呼んでいました。 一方シャウトする歌手として有名なのがトニー・ベネットで、元々声量に恵まれた人なのでバラッドでも大きな声が響きますし、スウィングすると尚のこと響き渡ります。 フランク・シナトラが熱狂的なアイドル歌手としてデビューしたことはあまり知られていませんが、没するまでに100枚以上のLPを遺し、幅を利かせる業界の重鎮となったのでした。 彼はいくつかの映画にも出演し、今もその人気は不動です。 ‘シナトラ一家’ の一員で、黒人の偉大な人気歌手サミー・デイヴィスJr.もたくさんのレコードを遺し、来日してはステージで得意なタップダンスや何人もの歌手の声帯模写を披露し、大いに客を沸かせたものです。 同じく一員だったディーン・マーティンはノンシャラな歌い方で人気を博し、また西部劇映画 ‘リオ・ブラボー’ 等にも出演しました。 歌って踊れる人と言えば、映画スターでもあったフレッド・アステアが有名ですが、今なお彼らのレコードはCDとして復活し続けています。 主に1960年代に活躍したアンディ・ウィリアムスは自身のショーを持ち長い間NHKで放映されたものです。 彼らに共通するのは、まず大変良い喉の持ち主であったという点ですし、ショーマンシップに溢れた彼らの才能は歌に留まらず、TVなどでのおしゃべりにも発揮されました。 バディ・グレコやスティーヴ・ローレンスなどは、今でもスタンダードを好んで録音しCD盤を出す人気バリトン歌手で、2人ともジャズも歌え、シナトラの後継者として既に高い名声を博しています。
左: 様々なバラッド歌手に影響を与えた Mr. Song Man トニー・マーティン
中: ピアノが巧く男性的なヴォーカルで人気の歌手バディ・グレコのバラッド集
右: チョコレート・ヴォイスと評されたジャズ・バラッド・シンガー、ビリー・エクスタイン(CD)


バラッド・シンガー(バラッディア)とジャズ・シンガー
バラッド(バラード)には温かみのある美しい曲が多く、くつろいだ気分で聴ける魅力があります。 アメリカを代表するバラッド・シンガーは1950年代から1965 年頃に活躍した男性歌手たちが主でした。 もちろんバラッドだけを歌っていた訳ではありませんが、類まれな美しい声を武器に、ロマンティックな歌を専門に歌っていた人たちです。 中でもトニー・マーティンはポピュラー界で最もロマンティックなシンガーと評された甘い歌声を持つ、実力のあるバリトン人気歌手でした。 ただ甘いだけでは通用しませんが、トニーには豊かな声量が備わり、その情感たっぷりの歌い回しが1930年代後半あたりから大変な人気を博したものです。 彼の良き後継者としてヴィック・ダモンが今なお健在です。 

他にも数多く出ましたが、中でもディック・ヘイムス、ジェリー・ヴェイル、ロバート・グーレ、ゴードン・マクレエ、ジャック・ジョーンズなどは本国や海外での実力・人気ともに抜群でした。 しかしアンディ・ウィリアムス以外は何故か日本では熱狂的なファンは居ても、LPが良く売れた形跡が無いのは不思議です。 但し、黒人歌手ナット・キング・コールは別格で多数のヒット曲にも恵まれ、ポピュラー・ファンにもジャズ・ファンにも大いに受け入れられた存在でした。 パット・ブーンにもヒットが多く、その甘い声で特に女性にファンが多く、当時エルヴィス・プレスリーとは人気を二分しました。 

 同じくバラッディアに位置付けられる黒人ジャズ・シンガー、ビリー・エクスタインは初期から我が国でも高い評価を得、アルバムもよく売れました。 1960年初期からロックの影響を真正面から受けた彼らの前途は多難を極めました。 多くの歌手が消え去りましたが、CDの復活はノスタルジアを求める人々に歓迎されていますし、ヴィック・ダモンは精力的に新作CDを出し続けています。 ジャズ歌手と呼ばれる人は最近でもかなり生まれていますが、1960年代以降現在に至るまで ‘ロマンティック・シンガー’ の新たな出現はありません。
左: 人気歌手ドリス・デイの温かなポピュラー・スタンダード集
中: ジャズ・シンガーと呼ばれるリナ・ホーンの傑作集(CD)
右: スティーヴ・ローレンスの素敵なワルツ集。未だCD化されず



 この時代は同時に多くの優れた女性ポピュラー・シンガーが大いに活躍したものです。ジュディ・ガーランド、ドリス・デイ、ダイナ・ショア、ペギー・リー、ローズマリー・クルーニー、ジョー・スタッフォード、ジュリー・ロンドン等々、この時代はポピュラーもジャズも同等に歌えるシンガーが目白押しでした。 彼らの声は一貫して声量豊かで、しかもそれぞれ個性のある甘く響き渡る彼女たちの透明な声色は、いつの時代でも聴く者を魅了させずにいられません。 しかし1960年代にロック音楽が台頭してくると、彼らの活動の場は次第に奪われ自ら姿を消し、‘彼らだけは永遠に続く’ という例外は無かったのです。 しかし現在CDとして幾つもの録音が甦り、往年のファンを大いに喜ばせ、新たな若いファンを生み出しているのも事実です。 

 最近米のTVショーで受賞した有名なスティーヴ・ローレンス&イーディ・ゴーメ夫妻の人気ぶりも健在ですし、ナット・キング・コールの娘で歌手のナタリー・コールは、亡き父のヒット・ソングを重ねた多重録音で名曲 “アンフォゲッタブル” を発表し、話題をさらったのも最近の出来事でした。 生き残った歌手たちはスタジオよりも、ラス・ヴェガスなどのステージに移して活躍を続けています。 美しい声は永遠に好まれますが、ここでも生き残りをかけた競争が繰り広げられているのです。

 アメリカでは女性ジャズ・シンガーも数多く輩出しましたが、ジャズだけ歌う人を探すのに苦労するほどポピュラーも盛んに歌ったものです。 演奏形態、あるいは歌い方でどうにでもなる話は先にしました。 ビリー・ホリデイ、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレエ、エラ・フィッツジェラルドは、有名な ‘4大黒人女性ジャズ・シンガー’ ですが、彼女たちもポピュラーな歌い方での録音を数多く遺しました。 リナ・ホーン、エセル・エニス、アニタ・オデイ、ジューン・クリスティ、ヘレン・メリルなどのジャズ歌手も多くのポップスを録音しています。 逆にポピュラー・シンガーと呼ばれる人気女性歌手もいくつかジャズ・シンギングのレコードを作っているのです。 そもそもポピュラー・ソングとジャズ・ソングの間に境界を引くこと自体無理な話で、むしろ無いと言って差し支えないでしょう。 同じくジャズ・シンガーかポピュラー・シンガーか区別するのは意味が無い、とさえ思うのです。 

 繰り返しますが、スタンダードは大部分の人に知られている訳ではありません。 逆にごくポピュラーな音楽がスタンダードとは言えないのです。 ジャズがポピュラーとほぼ決別した1960年代後半以降、現在のジャズメンに採り上げられない “エデンの東” や “エーデル・ワイス” はスタンダードとは呼べない代わりに、映画音楽の世界では偉大なるスタンダードと言えるでしょう。 逆に “夜も昼も” はジャズメンで知らぬ人は居ない大スタンダードであっても、音楽に携わることのない一般人で、聴いたことはあっても、曲名や作曲家名まで知る人はそう多くないでしょう。 
左からドリス・デイ、ペリー・コモ、ヴィック・ダモン(以上歌手)、及びジャズのジョージ・シアリング・クィンテットの、各ボサ・ノヴァ・アルバム(すべてLP盤)



ロマンティックな演奏の終焉とボサ・ノヴァの出現
 時代は移り変わり、従来のロマンティックな歌と演奏指向では売れないと判断された大多数のポピュラー歌手は、1960年代にロック・リズムで歌ったレコードを出さざるを得ず、大抵のアレンジャーやポピュラー歌手は実行しました。 時代や大衆のニーズと言えばそうかも知れません。 しかしそれを嫌う演奏家たちはビジネス界を去ったか、方針を曲げずにファンのために “水準を落とさぬ” レコードを少しずつでも作っていったのです(いわゆるコレクターズ・アイテム盤)。 またいくらジャズとして質の良いアルバムでも、売れなければレコード会社も黙っていませんが、ジャズ・シンガーは領域を守った(ロックを取り入れなかった)歌手が多かった様です。 従来のジャズに飽き足らない若い聴衆は、台頭してきた若手中心のフュージョン(ジャズ+ロック)を育て、1970年代に彼らの時代が始まりました。 この前後からジャズとポピュラー(現代のポップス)との間に深い溝が出来てしまったかの様です。 ですから、ポピュラー音楽は1960年を境にして、大雑把に2つの大きな範疇に分かれた、と言って差し支えないでしょう。 

 アメリカのポピュラー音楽界で大きな変革が起こりつつあった1960年代初期に、ブラジルで新しい旋風が巻き起こりました。 ボサ・ノヴァ(ジャズ+サンバ)の出現です。 地元生まれの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビム(代表作:イパネマの娘、静かな夜、他)らが中心となって、ブラジル政府の援助の下、多くの優れたポピュラー・ソングを手掛け自ら演奏し、それが全米、いや全世界を瞬く間に席捲したのです。 ボサ・ノヴァ時代の幕開けと同時に、1962年頃からフランク・シナトラなどのポピュラー歌手は元より、ムード楽団やジャズメンまでがこぞって歌い演奏し始めました。 伴奏にロック・リズムなど無用だったのは幸いだったと言えましょう。 急速に衰退したロマンティックな演奏や歌に代わって彗星の如く現れたボサ・ノヴァには、今までのアメリカ生まれの名曲の作風とはまるっきり異なった、しかしとてもロマンティックなメロディーが数多く作られたので、演奏家や歌手にとってまさに大きな救世主となったのでした。 ジャズのスタン・ゲッツ(有名なテナー・サックス奏者)は見事に蘇った一人です。 このボサ・ノヴァ・ブームは未だ衰えを知らず、多くのスターが誕生しています。


 ・・・ イントロが長くなりましたが、今から50年以上前に作られたロマンティックで美しい音楽と、それを歌い演奏してきた人々を、エピソードを交えて綴っていく予定です。 資料を参考にしながらも、今後自分の好きな音楽や演奏者を選んだりで、自己中心的で偏った話が続くかも知れませんが、どうかご容赦願います。 

 さて今夜は久しぶりに、レコード棚から取り出したジャケットで古き良き時代に思いを馳せ、静かに針を落としてみませんか?
季節の音楽 クリスマス・アルバム(その1)

 12月ともなればクリスマスが近付き、街全体が慌ただしくなってきて、期待に胸を膨らませる子供たちの笑い声もいっそう弾んできます。 このコーナーでは季節に合わせた音楽を少しずつ採り上げていきます。 今回はクリスマスにちなんだアルバムやCDから数枚ご紹介します。 

 クリスマス・ソングと言えばだれでもビング・クロスビーの “ホワイト・クリスマス” を連想することでしょう。 この歌は1942年の米映画 “Holiday Inn” (邦題:スウィング・ホテル)の主題歌としてアーヴィング・バーリンが作詞作曲し、その年のアカデミー映画主題歌賞を受賞した名歌です。 映画の中でビングが歌い、1942年10月から大ヒットを飛ばし、1968年には彼のシングル・レコードが世界中で3000万枚売れ、その記録は未だに破られていません。 

 他にも数多くのクリスマス・ソングが作られてきました。 ポピュラーなものは大部分がアメリカ製で、ポピュラー歌手もジャズメンもよく録音しています。 クリスマス音楽には讃美歌やクラシック音楽、それに古い民謡も加わって多彩ですが、過去のアルバムには本来クリスマスに無縁の唄も登場しています。 歌手の中の歌手と評されるジャズ・シンガー、メル・トーメ自身が作曲した “The Christmas Song” の評価も高く、色々なジャズメンやポピュラー・シンガーがレコーディングしています。 スタンダードを好む人に限らず、このような古くから知られるクリスマス・メロディは、いつの時代でも好まれる傾向にありますが、海外では宗教と切り離すことは出来ないのです。 

1、 Doris Day - The Doris Day Christmas Album

 人気ポピュラー歌手ドリス・デイの心温まるヴォーカルがとても素敵なバラッド集。 明るくて楽しい、家庭で子供と一緒に聴ける親しみやすいポピュラー・ソングだけで構成され、バックも弦楽器に色々な楽器が彩りを添えたカラフルな演奏。 CD化されロングセラーとなっている。 あまり聴かれない “Snowfall” は実にムードたっぷりで、日本の名歌 “ペチカ” を思わせる作風。 編曲はピート・キング他。 1963年の録音で、米Columbia原盤。
-White Christmas、Silver Bells、I’ll Be Home For Christmas、The Christmas Waltz、Toyland、Let It Snow、The Christmas Song 他12曲。
左はオリジナルLP、右は再発のCD盤


2、 Peggy Lee - Christmas Carousel

 人気のペギー・リーの温かなCD盤では、元のアルバム(Christmas Carousel)に4曲加わった。 ジャズも歌える彼女に対しややジャズっぽい編曲も施されたが、全体にソフトなバラッドが多く安心して聴ける。 “Christmas Waltz” の編曲は特に見事で、冒頭に別曲 “First Noel” のさわりだけ配したにくい演出。 手練手管のビリー・メイの編曲で、1960年のアルバムについ最近の録音も加えた。 アルバムは米Capitol原盤。
-White Christmas、Jingle Bells、The Christmas Waltz、The Christmas Song、The Star Carol、Santa Clause Is Comin’ To Town、Happy Holiday 他。

  LP盤


3、 Tony Bennett - The Christmas Album

 人気歌手トニー・ベネットがジャズ風な歌も交えて作ったスケールの大きなアルバムのCD盤。 冒頭が “私の好きなもの(My Favorite Things)“ でアレッ?と思わせるが、その後に優れたクリスマス・ソングが並ぶ構成。 声質を生かしジャジーな演奏をバックにスウィングする一方、バラッドで弦をバックにしっとりとした安らぎを与えてくれる。 メドレーが2つあり、その1つの末尾はイギリス生まれの名歌 “Where Is Love?” を持ってくる素晴らしい演出。 もうひとつにはジャジーな “I’ve Got My Love To Keep Me Warm” という直接関係のない歌を混ぜたがムードはぴったりだ。 編曲はイギリスの名アレンジャー、ロバート・ファーノン。 英国での1960年頃の録音。米 Columbia原盤。
  -White Christmas、I’ll Be Home For Christmas、The Christmas Song、Jingle Bells、Santa Clause Is Comin’ To Town、Winter Wonderland、Silent Night、Have Yourself A Merry Little Christmas、Snowfall他全16曲。
 CD盤


4、 Vic Damone – Inspiration

 1940年代後期から活躍を続けるバラッド・シンガー、ヴィック・ダモンの初のクリスマス・アルバムCD盤。 声に張りがあるので心地よい。 人気バラッディアならではのロマンティックな唄い方、情感あふれる息づかいはさすがだ。 讃美歌が主だが、いずれもゆったりしたバラッドで1曲1曲が長め。 “Ave Maria” を2曲入れている(シューベルトとグノーの作品)。 全曲に弦とコーラスを配したノーマン・ゲラーの編曲がまた見事で、特にグノーの “Ave Maria” の出だしのコーラスのハーモニー編曲は日本人には真似出来なかろう。 1980年頃の録音。 米Rebecca原盤。
  -Joy To The World、Adeste Fideles、The Christmas Song、O Little Town Of Bethlehem、Ave Maria、The Lord’s Prayer、Silent Night、Silver Bells、O Holy Night、Ave Mariaの全10曲。
  CD盤


5、 Barbra Streisand - A Christmas Album


1950年代後期からずっと活躍を続けるバーブラ・ストライザンドの、讃美歌を交えたCDソング集。 声に張りがあり、彼女らしいしっとりした歌い回し、大変ドラマティックでさすがに巧い。 冒頭の “Jingle Bells” はものすごい速さで歌い始め、途中ワルツへ変わるなどの面白い編曲。 以下、讃美歌を含めた感動的な唄が続く。 編曲は有名なマーティ・ペイチとレイ・エリスの2人。 1965年頃の米 Columbia原盤。
  -White Christmas、The Christmas Song、Jingle Bells、Silent Night、O Little Town Of Bethlehem、I Wander As I Wonder等、全11曲。
  CD盤


6、 Tony Mottola - The Christmas Guitar


  著名なジャズ・ギタリスト、トニー・モッタラのギター演奏によるポピュラーと讃美歌集CD。 暖炉の横でくつろいで聴ける、美しく奏でられるソロは室内にもふさわしい。 古いイギリス民謡 “Greensleeves” などはこの時期のギター演奏の定番と言える。 録音年代他、不詳。
-White Christmas、Let It Snow、The Christmas Song、Santa Clause Is Comin’ To Town、O Holy Night、Silent Night、God Rest Ye Merry Gentlemen、The First Noel、Winter Wonderland、It Came Upon A Midnight Clear他、全16曲。
  CD盤

7、 Jackie Gleason - Merry Christmas


  アメリカで大変人気のあったジャッキー・グリースン・オーケストラのアルバムでCD化された。 彼の大編成ストリングズ・オーケストラは、ジャズマンのソロをフィ−チュアするという特徴がある。 ここでも単なるムード音楽では済まさず、いつもながら愛らしくてロマンティック、かつ色気のあるクールな大人の音楽を展開している。 1956年の録音で米Capitol原盤。
  -White Christmas、I’ll Be Home For Christmas、The Christmas Song、Jingle Bells、Santa Clause Is Comin’ To Town、Happy Holiday、Winter Wonderland、Snowfall他、全14曲。


  CD盤

9、 Van Craven - A Christmas Celebration: Carols For Cocktail Piano


  美しいピアノ・ソロで奏でるポピュラーと讃美歌。 温かく上品なタッチで聴く者をうっとりさせ、あたかもラウンジかバーで聴いているかのように寛げる。 綺麗な装飾音を駆使するヴァン・クレイヴンは、アメリカを代表するカクテル・ピアニスト。 普段はホテルなどで演奏し、スタンダード・ミュージックCDも数多く出している達人。 米Compendia Media Group、1998年。
-The Christmas Song、The First Noel、It Came Upon A Midnight Clear、Away In A Manger、Greensleeves、O Tannenbaum、The Christmas Waltz、Good King Wenceslas、The Little Drummer Boy他、全14曲。
以上が

『アメリカン・ポピュラー・ミュージック(1)"ロマンティックじゃない?”』

の記事です。

すばらしいエッセイですね。

特に

「スタンダード・ミュージックは(中略)大袈裟に言えば人類の財産と申せましょう。」 

のくだりに心を打たれました。

クリスマス・アルバムの紹介記事がちょうど時期的にピッタリの内容だったのですが、参加者のみなさんもクリスマス・アルバムのコレクションをお持の方もいらっしゃいましょう。
それらの中で、ここで案内するのにふさわしいと思われるアルバムがございましたら、以降のコメントでご紹介いただけませんでしょうか。

この様な拙なる記事を掲載下さいまして、誠に有難うございます。

ここは違うのでは?私はこう思うといったご指摘やご批判は、覚悟しております。
どうか色々とお聞かせ願えませんでしょうか。

なお、Sinatra Society of Japan 会長でいらっしゃる三具様には、お褒めのお言葉を頂戴いたしました。また他の友人にも誤りもご指摘いただき、大変恐縮しております。

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