他にも数多くのクリスマス・ソングが作られてきました。 ポピュラーなものは大部分がアメリカ製で、ポピュラー歌手もジャズメンもよく録音しています。 クリスマス音楽には讃美歌やクラシック音楽、それに古い民謡も加わって多彩ですが、過去のアルバムには本来クリスマスに無縁の唄も登場しています。 歌手の中の歌手と評されるジャズ・シンガー、メル・トーメ自身が作曲した “The Christmas Song” の評価も高く、色々なジャズメンやポピュラー・シンガーがレコーディングしています。 スタンダードを好む人に限らず、このような古くから知られるクリスマス・メロディは、いつの時代でも好まれる傾向にありますが、海外では宗教と切り離すことは出来ないのです。
1、 Doris Day - The Doris Day Christmas Album
人気ポピュラー歌手ドリス・デイの心温まるヴォーカルがとても素敵なバラッド集。 明るくて楽しい、家庭で子供と一緒に聴ける親しみやすいポピュラー・ソングだけで構成され、バックも弦楽器に色々な楽器が彩りを添えたカラフルな演奏。 CD化されロングセラーとなっている。 あまり聴かれない “Snowfall” は実にムードたっぷりで、日本の名歌 “ペチカ” を思わせる作風。 編曲はピート・キング他。 1963年の録音で、米Columbia原盤。
-White Christmas、Silver Bells、I’ll Be Home For Christmas、The Christmas Waltz、Toyland、Let It Snow、The Christmas Song 他12曲。
人気歌手トニー・ベネットがジャズ風な歌も交えて作ったスケールの大きなアルバムのCD盤。 冒頭が “私の好きなもの(My Favorite Things)“ でアレッ?と思わせるが、その後に優れたクリスマス・ソングが並ぶ構成。 声質を生かしジャジーな演奏をバックにスウィングする一方、バラッドで弦をバックにしっとりとした安らぎを与えてくれる。 メドレーが2つあり、その1つの末尾はイギリス生まれの名歌 “Where Is Love?” を持ってくる素晴らしい演出。 もうひとつにはジャジーな “I’ve Got My Love To Keep Me Warm” という直接関係のない歌を混ぜたがムードはぴったりだ。 編曲はイギリスの名アレンジャー、ロバート・ファーノン。 英国での1960年頃の録音。米 Columbia原盤。
-White Christmas、I’ll Be Home For Christmas、The Christmas Song、Jingle Bells、Santa Clause Is Comin’ To Town、Winter Wonderland、Silent Night、Have Yourself A Merry Little Christmas、Snowfall他全16曲。
1950年代後期からずっと活躍を続けるバーブラ・ストライザンドの、讃美歌を交えたCDソング集。 声に張りがあり、彼女らしいしっとりした歌い回し、大変ドラマティックでさすがに巧い。 冒頭の “Jingle Bells” はものすごい速さで歌い始め、途中ワルツへ変わるなどの面白い編曲。 以下、讃美歌を含めた感動的な唄が続く。 編曲は有名なマーティ・ペイチとレイ・エリスの2人。 1965年頃の米 Columbia原盤。
-White Christmas、The Christmas Song、Jingle Bells、Silent Night、O Little Town Of Bethlehem、I Wander As I Wonder等、全11曲。
著名なジャズ・ギタリスト、トニー・モッタラのギター演奏によるポピュラーと讃美歌集CD。 暖炉の横でくつろいで聴ける、美しく奏でられるソロは室内にもふさわしい。 古いイギリス民謡 “Greensleeves” などはこの時期のギター演奏の定番と言える。 録音年代他、不詳。
-White Christmas、Let It Snow、The Christmas Song、Santa Clause Is Comin’ To Town、O Holy Night、Silent Night、God Rest Ye Merry Gentlemen、The First Noel、Winter Wonderland、It Came Upon A Midnight Clear他、全16曲。
アメリカで大変人気のあったジャッキー・グリースン・オーケストラのアルバムでCD化された。 彼の大編成ストリングズ・オーケストラは、ジャズマンのソロをフィ−チュアするという特徴がある。 ここでも単なるムード音楽では済まさず、いつもながら愛らしくてロマンティック、かつ色気のあるクールな大人の音楽を展開している。 1956年の録音で米Capitol原盤。
-White Christmas、I’ll Be Home For Christmas、The Christmas Song、Jingle Bells、Santa Clause Is Comin’ To Town、Happy Holiday、Winter Wonderland、Snowfall他、全14曲。
9、 Van Craven - A Christmas Celebration: Carols For Cocktail Piano
美しいピアノ・ソロで奏でるポピュラーと讃美歌。 温かく上品なタッチで聴く者をうっとりさせ、あたかもラウンジかバーで聴いているかのように寛げる。 綺麗な装飾音を駆使するヴァン・クレイヴンは、アメリカを代表するカクテル・ピアニスト。 普段はホテルなどで演奏し、スタンダード・ミュージックCDも数多く出している達人。 米Compendia Media Group、1998年。
-The Christmas Song、The First Noel、It Came Upon A Midnight Clear、Away In A Manger、Greensleeves、O Tannenbaum、The Christmas Waltz、Good King Wenceslas、The Little Drummer Boy他、全14曲。