まだ怒りがおさまらんよ、パレスチナ・キャラバン。
なんつーかね、来日した俳優陣や招聘団体や日本人キャストの意図とは背反して、
あの芝居はむしろパレスチナへの「侵略」といった方が、ずっと正確だろうと。
本多勝一によると、「放浪」という言葉が流行したのはとても最近のことで
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つまり高度経済成長により家計に余裕ができてきた頃から
「満州浪人」「上海ゴロ」へのノスタルジーとして流行ったのであり、
最近よくいわれるように「日本の芸能はもともと『放浪芸』」であった、
という場合に出てくるような「放浪」の使用法は、昔からあったわけではないという。
つまり60年代の経済力がアメリカかぶれに直結していった現象の裏面として
アジアへの憧憬、という、プチブル的現象は起きてきたのだな。
で、唐十郎は状況劇場成立当初（68年頃）、ひつこく満州について語っていて、
それが以後のアングラのひとつの主要モチーフとなっていったという経緯がある。
だからちょっとバランス感覚を崩せば、どんなに真摯な自己表現を主張しようと
「アジア好きがそのまま侵略主義である」ということにすぐ、なり得るわけさ。
翠羅臼のパレスチナへのあこがれみたいなもんは、
おそらく遡れば状況劇場の「風の又三郎」パレスチナ公演に行きつくんだろうし
だからこそ、そのとき遠征隊に加わっていた大久保鷹が主演なんだろう（浅っ
でもさ。なにやってくれたっていいけどさ。
やっぱいちばんの問題は、
日本の経済力に乗っかって好き勝手な芝居を打つことを表現ととらえ
あまつさえ正義とすら考えているフシのある座長のために
6名の役者・楽師がパレスチナから来てるってことで。
おそらく彼らにとってほとんど得るもののないであろうこの企画、
結局は「彼の地は焦土の地」なんて美学にとどまるだけの俗悪で独りよがりな芝居、
こんなもののために費やされた彼らの労苦に対して、
座長が「ありがとう、ｵﾚの芝居に出てくれて」としか言えないのなら
これが侵略以外の何物であろうか！
――と、思うわけです。
オナニーはうちでやれ。人を巻きこむな。
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