夏休み最後の日、パスポートの受領ついでに末娘と出かけ、『レミーのおいしいレストラン』を観た。予想をはるかに超えた完成度の高さに驚く。この10年の間に観た3DCGアニメ映画で最も良い出来だと思う。大いに笑って、クライマックスにちょっぴりホロリ。なんともハッピーな気分になれる良い映画だ。その割りに、評判になっていないのは不思議だ・・・。
レミーは田舎のねずみだ。生まれつき鋭い嗅覚と味覚をもった彼は仲間達のように残飯をあさることに満足せず、素材の味を活かすため、人間のキッチンできちんとした材料や調味料を使って料理しようと志す。彼に影響を与えたフランス料理界きっての天才シェフ、グストーは5つ星レストランを経営する売れっ子。レミーはグストーの料理本と料理番組を見て、料理人としての心得を学んだ。しかし、グストーが出版した「誰でも名シェフ」を目の仇にする超大物料理評論家イーゴの酷評によって、グストーの店は4つ星に降格され、それを悲観したグストーは半年後に急死。慣例によって、グストー亡き後の店はさらに星をひとつ減らされてしまう。
ある日、いつものように人間のキッチンで料理をしていたレミーが家の主人に発見され、大騒動。レミーの一族は家を逃げ出すことになってしまうのだが、グストーの料理本を取りに戻ったレミーは大混乱の中で一人だけ仲間達とはぐれてしまうのだった。レミーだけに見える「空想の中のグストー」に励まされた彼は、孤高の精神で前向きに生きることを決意。グストーに導かれるようにして、パリのグストーの店に辿りつく。ちょうど、その時、リングイニという青年が母親からの紹介状をもって、雑役係として採用されるところだった。空想の中のグストーとレミーが調理場の様子を伺っていると、リングイニは誤ってスープの鍋を落としてしまい、あわててお湯を足し、でたらめな調味料を放り込んで誤魔化そうとするのを目撃する。このままでは、大変なことになる。レミーが心配そうに見守っていると、空想の中のグストーは「君は料理人だ。君なら、あのスープの味をなんとか戻せる」と勧めるのだが・・・。
とにかく、CGのクオリティとカメラワークが凄い。ぶらしや省略で逃げず、ねずみの視点で人間の世界を猛烈なスピードで見せてくれるので、素晴らしい臨場感を生み出している。まるで、自分がねずみになったような錯覚に陥る。これは、ぜひとも劇場の大きなスクリーンで鑑賞すべき映画だ。そして、子供だましになっていないストーリーが良い。子供は素早い展開に大笑いできるし、大人はさらにぐっと深いところで感心したり、感動することができる。DVD発売が待ち遠しい。
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