西山女流四冠は、編入資格を得た時点ですぐには返事をせず、じっくり考えたうえで、10月末の期限ぎりぎりになって編入を希望した。そして、2027年4月から棋士として活動することになった。そこまではよい。
問題は、その決定に対して西山女流四冠への誹謗中傷が出たことである。これを受けて、日本将棋連盟が声明を出し、個人への誹謗中傷をやめるよう求めた。
いったい誰が文句を言うのか。制度に異論があるなら、制度を決めた日本将棋連盟に言えばよい。棋士総会で決まった制度なのだから、批判するなら制度そのものを批判すべきである。制度に従って資格を得た本人を攻撃するのは筋違いである。それもネット上で匿名の誹謗中傷という形で行う。いったい何様のつもりなのか。
文句を言う資格があるとすれば、これまで奨励会で勝ち抜けず、年齢制限によってプロになれなかった人たちくらいかもしれない。しかし、現在はアマチュア棋戦で実績を上げ、プロ棋士に勝つことで編入試験を受ける道もある。プロになる道は一つではなくなっている。
そうなると、今回騒いでいるのは、将棋界とは直接関係のない野次馬的なファンなのだろうか。いや、こんな行為をする人たちをファンと呼ぶのもおこがましい。
昨日、西山女流四冠が体調不良で不戦敗になった。王座戦予選の宮田敦史七段との対局である。体調不良の原因が何なのかは分からない。誹謗中傷と結びつけることはできないが、こうした攻撃が本人に精神的な負担を与えることは十分に考えられる。棋士になるという新しい道を選び、これから男性棋士との対局に挑もうとしている人に、なぜ周囲が余計な負担を負わせなければならないのか。
将棋は盤上で勝負するものである。実力が足りないと思うなら、対局の結果を見て判断すればよい。勝てば評価し、負ければ批判する。それが勝負の世界である。
将棋界は、藤井聡太の活躍もあって、かつてないほど多くの人に注目されている。将棋を知らなかった人までが対局を見るようになった。こうした人気を一過性のものにせず、さらに広げていくことが大切である。それなのに、新しい挑戦者を誹謗中傷によって追い詰めるようなことをしてどうするのか。
将棋界の未来を狭めているのは、棋士になる新しい道ではない。それを認めようとしない人たちの狭い了見である。
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