妻の幼なじみの友人が遊びに来た。外でランチをするより、家で話した方が落ち着いてゆっくり話せるという。自分は昔から、人が我が家に来ることが嬉しい。これは母親の影響だろうと思う。古い借家に住んでいた頃も、よく人が遊びに来ていた。
その間、自分はピアノ室で歌っていたが、どうも調子が悪い。結局、Netflixのドラマを見たりして、ダラダラと過ごした。友人が帰ったあと、妻がいろいろと話し始めた。
「俺は言いたくないけど、お前が言わせるんや」
友人の夫がそう言うのだという。
「それ、DVやぜ」
「ええ? そうなの」
「お前のためを思って言っている、という言い方で責任を転嫁して、相手に罪悪感を持たせる典型的なものやぞ。お湯の中のカエルと一緒や。だんだん熱くなっても、気がつかんようになる」
どうも、いまひとつピンと来なかったようなので、自分がAIに聞いて、その回答を見せた。
「これ、送ったら? コピペして」
まあ、実際に妻が友人に伝えることはないだろうが。
もう一つ。
「俺が食わしてやってるんやって言うんだって、昭和の男やね」
「昭和だって、みんながそんなわけじゃないやろ。その人がおかしいんや。65にもなって」
夫が家計を支えていることを理由に、妻より上の立場に立とうとする。生活費を出しているのだから、自分の言うことを聞くのが当然だという発想なのだろう。しかし、夫婦は主従関係ではない。稼いでいる方が偉いわけでもない。
「俺は言いたくないけど、お前が言わせるんや」という言葉も同じである。自分の発言の責任を相手に押しつけている。これを繰り返されれば、言われた側は、自分が悪いから夫を怒らせるのだと思い込んでしまうかもしれない。
もちろん、一度の発言だけでDVと断定できるわけではない。しかし、こうした言葉で相手を責め、萎縮させ、自分の思いどおりにしようとするなら、心理的な支配である。
妻は続けて言った。
「そういう風に言われたくなかったから、私は仕事したの」
自分で働いて収入を得ることは、経済的な自立だけではない。夫に養ってもらっているという理由で、対等な立場を失いたくなかったのだろう。
夫婦のあり方はそれぞれだが、稼いでいる方が偉いわけではない。まあ当然のことだ。
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