畑の帰り、車でFMを聴いていたが、ふとテレビのニュースが見たくなった。スイッチを入れると、剣道の全日本選手権のニュースをやっていた。
男子は中田選手が23歳で初優勝したと伝えたあと、女子は末永選手が4度目の優勝とアナウンサーが紹介した。
「おかしくないか。なんで女子の年齢はいわないんや」
「そう、私も思った」
「これって、女性の年齢は報道する価値がないと思っているんやろか」
家に帰って朝日新聞の記事を見た。やはり同じだった。記事の分量は中田選手が3分の2、末永選手が3分の1ほど。見出しも23歳での初優勝が中心である。末永選手については、15回目の出場で4度目の優勝と紹介されていた。
AIにも聞いてみた。回答は、報道の表記として統一性を欠いているというものだった。
実は末永選手は37歳10か月。女子史上最年長での優勝だったという。男子の23歳は紹介するのに、女子の37歳は紹介しない。しかも、女子の年齢こそ記録的な優勝を伝える重要な情報だったのである。
もちろん、男子は初優勝、女子は4度目の優勝という違いがあり、記事の切り口が異なること自体は不自然ではない。しかし、同じ全日本選手権の男女の優勝者を報じるのに、男子は年齢を取り上げ、女子は年齢に触れない。そこに報道する側の意識が表れているように思う。
読んでいて、ふと思い出したことがある。
高校の同級生に、長く剣道をやっていた友人がいる。彼が以前、「剣道と柔道は男のもので、女子はおまけなんや」と言ったことがある。そのときは、ふーん、そうなのかと思った程度で、特に気にも留めなかった。しかし、今回の報道を見ていると、意外に的を射た発言だったのかもしれないと思う。
剣道も柔道も、歴史的には男性を中心に発展してきた競技である。女子の競技人口が増え、全日本選手権も男女別に開催されるようになった。それでも、男子が本流で女子は付属的な存在という意識が、社会の中に残っているのではないか。
新聞記事の分量が男女で違うことだけをもって、差別だと決めつけるつもりはない。しかし、男子の23歳初優勝は大きく取り上げる一方、女子の37歳10か月という史上最年長の優勝には触れない。これでは、女子の快挙を十分に伝えたことにはならない。
スポーツ選手の年齢は、競技の実績を評価するうえで重要な情報である。女性だから年齢を伏せるというのもおかしな話だ。
「剣道と柔道は男のもので、女子はおまけなんや」
友人の言葉を思い出す。競技の世界では男女とも全日本の頂点を争っている。それなのに、報道する側には、男子が主役で女子は脇役という意識が、まだ残っているのではないか。
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