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2024年06月10日14:22

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【日常】映画『関心領域』

 
6月8日、大和郡山で鑑賞。公開3週目でも観客39人。特典の絵葉書セットももらえた。


https://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=1833905&id=5713194


A24らしい、とても不気味な作品。
特にオーバーチュアとエンドロールの現代曲はとても不快な響きで、ずっと聴いていたら精神を蝕まれそうだった。

今年のアカデミー賞は、『オッペンハイマー』といい『哀れなるものたち』といい、どういうわけか鑑賞者に激しい困惑と不快感を突きつける作品ばかり大人気だったな…と、改めて感じた。


冒頭、鳥のさえずりしか聞こえない長閑な川辺で遊ぶヘス一家が描写される。ルドルフ・ヘスは子煩悩で穏やかな父親だった。一家が引き上げてきた自宅は、立派な邸宅だが、「鉄条網の壁1枚で」アウシュビッツ強制収容所と接していた。
かすかに聞こえてくる銃声や悲鳴。遺体を焼く煙も見える。なぜこんな所で子育てを…と絶句した。
(自宅とヘスの執務室が隠し通路で結ばれていたのを見て、だからかと納得した)

ルドルフ・ヘスよりも、彼の妻の方がよっぽど恐ろしい!と、私は感じた。
囚人が運んできた袋から、ユダヤ人女性達から剥ぎ取った絹の下着は下女たち(現地のポーランド人)に与え、豪華なミンクコートは自室へ持って行く。平気で身に纏い、ポケットにあった高級口紅を躊躇いもなく唇に塗る様子にはゾッとした。
彼女は部下の妻達?に「ユダヤ女が歯磨き粉に隠していたダイヤを見つけた。それで歯磨き粉は全部取り上げた」と誇らかに笑いながら自慢していた。

これが大昔から「略奪の歴史」を繰り返してきた民族の感覚なのだな!と痛感した。正直、私はついていけなかった。

ドイツ人が集う所の壁面には鹿の角がたくさん飾られていた。「命を奪って得た戦利品」はトロフィー。ヘス家の男児は寝床でユダヤ人の金歯を弄んでいた。酷薄な感覚はそうして培われる。

繊細そうな娘は夢遊病だった。周囲が静まり返る夜中は、収容所の悲鳴がとてもよく聞こえる。庭のプールサイドに佇み、ぼんやりタバコを吸いながらルドルフ・ヘスは悲鳴を聞き、やがて屋敷に入ると娘を優しくベッドに連れて行った。
これが、ここの「日常」だ。


ユダヤ人の遺体を効率的に処理するシステムをプレゼンしていたのは、シーメンス社だった。うっかり「500体」と口を滑らす場面もあったが、彼らは隠語を使っていた。別の場面でも、ヘスは部下に「ラベンダーの枝を折らないように」とユダヤ人を無闇に傷つけないよう指示していた。軍人の方が繊細?

他方、美しい庭と邸宅を支配するヘスの妻は、惨忍さが剥き出しだった。気に入らないことがあると下女に思い切り八つ当たり。「お前など夫に言って灰にしてもらうから!」と凄む件の後、夜中に下男がこっそり庭に灰を撒いていた。これは殺した下女の遺灰?どこで焼いた? 収容所は500人まとめて焼くんだが…。

(あの下女は、こっそり囚人達にりんごを与えようとしていた子ではなかったか)

【以下、追記】

「下男が夜中にこっそり灰を撒く」エピソードには首を傾げた。
複数のレビューで「あれは下女を殺して焼いた灰に違いない」と推測していた。
だが、ヘス家の使用人たちは「近所の人 = ポーランド人」だと冒頭に説明があった。
だから、殺して処分するなら遺体1人分を焼くことになるが、野焼きは目立つし、
その燃焼温度では黒焦げになる程度で、細かく綺麗な灰にはならないはずだ。
こんなことを書いてると吐きそうだが(爆)いったい、あれは何の灰だったのか…。


【2024.8.23.さらに追記】

ハウプマンさんの感想日記コメントで、貴重な指摘をいただいたのでシェアします。

ーーー(以下、引用)ーーー
レジスタンス活動をしていたメイドさんは収容所外の作業場で楽譜を拾って来て、ピアノで弾いていましたよね?
夜中に庭に撒かれていた灰は「彼女を殺害して焼いたものではない」と思います。あの場面は超高感度映像でしたから、メイドさんのレジスタンス活動(食料を潜ませる)と同様、あれもレジスタンス活動の一環だったのではないかと解釈しました。つまり、収容者の灰を庭に撒いて肥料とすることが目的だった。
妻ヘートヴィヒが丹精込めて育てている草花を豊かにしているのは、ドイツ人達が忌避しているユダヤ人の骨灰だというレジスタンス。川の色を染めながら骨灰が流れて来た時のルドルフの慌てようと、子ども達をバスルームで懸命に水をかけ、灰を洗い流すルートヴィヒの姿を見ると、レジスタンス活動だったと解釈するのが合理的と思います。
ーーー(引用ここまで)ーーーー




泊まりに来た妻の母親は、当初こそ綺麗な屋敷を楽しんでいた。
が、ある晩、薄く開けた窓から「死体を焼く臭い」が入ってきたのだろう。
仰天して窓を閉め、夜干しの洗濯物を取り込み、朝を待たず慌てて逃げ帰っていった。
母の置き手紙を読んだ妻は不快そうに顔を歪め、無言で手紙を火に放り込んだ。

【以下、追記】

ヘスの邸宅は、おそらく普段は収容所の風下にならない場所に建てたと推測する。
が、まれに風向きが変わって風下になることもあっただろうと私は思った。

あの近距離で、「死体焼き場の悪臭を全く浴びない」ことはありえない。
私がそう思うのは、大和郡山の映画館付近に、かつて膠工場があったからだ。
あの辺りに行くと、日によっては酷く嫌な臭いがしたものだ。強烈で吐き気がした。
「獣の皮・骨などを水で煮沸し、その溶液からコラーゲンやゼラチンなどを抽出する」臭いは「死体を処理する臭い」と似ているのでは。どちらも動物性タンパク質だから。

ずっとその環境で暮らしていたら鼻が慣れるかも知れないが、「赤ん坊に庭の花の匂いをかがせて楽しむ奥さん」が、死体の臭いが平気なことには著しい異様さを感じる。

死体を焼く臭いや悲鳴や銃声は、ヘスの妻の「関心領域」外だったのかも。




ヘスの妻は「自分の思い通りに完成した城」に居続けるため、夫を単身赴任させた。どうやら、ヘスの尻を叩いて昇進させてきたのは彼女らしかった。欲しいものを全て手に入れた彼女は、どこまでも貪欲だった。

ヘスは妻を愛していたが、妻にあしらわれていることも感じていたのでは。深夜の執務室に娼婦を呼んでいた。それでも、良き父・良き夫をやっていて偉いと思った。また、彼は非常に有能で、部下にも慕われていた。強いストレスのせいか胃腸が悪いようだった。(診察を受けたり、吐き気があったり)
余談だが、冒頭で彼のセミヌードを見たので、ドイツ軍の軍服は体型を良く見せる効果が素晴らしいな!と感心した。

ラスト、突然アウシュビッツ記念館の早朝シーンが提示される。ガス室や焼き場などを清掃する職員達。殺された人々の靴の量には度肝を抜かれた。



【追記】

tamaさんが紹介してくださった「ヘスの娘」のインタビュー記事(2015年)。
劇中に登場する「夢遊病のインゲ」は、取材当時81歳で米国在住だった。
彼女は兄弟の中で唯一、成人後に「まともな人生」を送れた人だったらしい。

■父はアウシュヴィッツ強制収容所の所長でした それでも父を愛している!
 独女性衝撃の告白(前後編)
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/eb58fdb3d9e9f889f238ddec1630c1dd3d22cfca
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/49f6fc24a102cb2ab4b6602d74b2a87afe2eb9d4



【マイミクさんの感想日記】

hayamiさん 2024年05月24日
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ケスさん  2024年06月03日
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二度と、このような歴史が繰り返されないために 
アウシュビッツ博物館ガイド、中谷剛さんインタビュー
 https://d4p.world/6349/

【ネタバレ考察】『関心領域』ラストの意味は?知るとホラー映画より怖い
 https://tabi-cinema.com/thezoneofinterest/



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