ある日、スーパーの休憩所のベンチに、おぢいさんと、おばあさんが、座ってをりました。
…………………………
5分前には、離れて座っていた二人は、半人分のあいだを空けて、寄り添っていました。
すると、あなたは奪われたと思っているんですね。
ずうっと、奪われたと思い続けていた。
それじゃ、あなたは幸せにはなれない。
足立区の型落ちの山村聰が、標準語で言った。
奪われたと思っていちゃ駄目ですかね。
萎んで縮んだみたいな高砂人形のおばあさんは、東北訛りのアクセントで訊いた。
…………………………
5分後。
それじゃあ、今まで誰も注意して呉れなかったんですね。
じゃあ、わたしが助言しましょう。
あなたは考え方を変えなきゃ駄目だ。
はあ、そうですかねえ。
…………………………
また、5分後、ベンチのまえを通ると、おぢいさんも、おばあさんも、いなくなってをりました。
わたくしは、その後、しばらく、話の前後にいろいろ付け足して楽しんでをりました。
ログインしてコメントを確認・投稿する