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2024年04月09日12:57

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多元宇宙SOS

を読んだ。キース・ローマー著/矢野徹訳
 多元宇宙にまたがる帝国を統治するゼロ・ゼロ世界の情報部のブライオン・ベイヤード大佐は、突然情報部長官リヒトホーフェン男爵に呼び出され、執拗な尋問を受ける。
その内容はベイヤードのことを偽物だと疑っているようなものだった。
なんとか開放されたベイヤードだったが、その帰りに同じ建物の中で、不気味で巨大な何者かがなにかをしているのを目撃する。
正体を突き止めようと何者かの後をつけるが、それが誰かを殺したらしいと知って襲いかかり、反撃を受けて意識を失ってしまう。
目が覚めるとそこは誰もいない世界だった。人間だけではなく、生物全てが消滅しているらしい。
ところがそこで物音を聞き・・・。

 ちうわけでこのあとベイヤードはパラレルワールドを股にかけた陰謀と対決することになるわけだが、密度の濃い内容でなかなか面白かった。
古いこともあり(書かれたのは1965年あたり)、新たな発明品で状況を覆すなど、少々ご都合主義なところも散見されるが、ハイテンポで投入される様々な展開から先の予測がつかずに退屈する暇がない。
途中からはパラレルワールドに加えて時間SF的要素が強くなるのだが、このへんの様々な理屈はさておき、その結果生じる様々な「状態」の描写が視界、重力、速度、圧力、エントロピーの変化として畳み掛けられるのがものすごく、正直言ってなにがなにやらさっぱりわからないが(汗)、とにかくすごかった(笑)
 気になったところの1つは、一人称の主人公が自分のことを「ぼく」と言うところ。
元アメリカの外交官で今はゼロ・ゼロ世界の情報部大佐が「ぼく」というのは今だとかなり違和感があるが、翻訳当時の「ぼく」と現在の「ぼく」はニュアンスが違ったのだろう。
 もう1つは情報部の長官がマンフレット・リヒトホーフェンで、同僚にヘルマン・ゲーリング(なぜか最後に登場したときにはハーマン・ゲーリングになっていたが)がいることで、特に理由も説明されないので戸惑ったが、本作は「多元宇宙の帝国」という作品の続編に当たるらしい。多分そっちでそのへんは説明されているのだろう。
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