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2024年03月17日23:18

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初の新国立劇場・・・新国立劇場2023−2024「トリスタンとイゾルデ」

正直なことを言ってしまうと、これで最初で最後にしてもいいかな、と。

東京(初台) 新国立劇場オペラハウス
2023/2024シーズン 「トリスタンとイゾルデ」
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」
大野和士指揮 東京都交響楽団/新国立劇場合唱団
【演 出】デイヴィッド・マクヴィカー
【美術・衣裳】ロバート・ジョーンズ
【照 明】ポール・コンスタブル
【振 付】アンドリュー・ジョージ
【再演演出】三浦安浩
【舞台監督】須藤清香
【トリスタン】ゾルターン・ニャリ
【マルケ王】ヴィルヘルム・シュヴィングハマー
【イゾルデ】リエネ・キンチャ
【クルヴェナール】エギルス・シリンス
【メロート】秋谷直之
【ブランゲーネ】藤村実穂子
【牧童】青地英幸
【舵取り】駒田敏章
【若い船乗りの声】村上公太

コンサートゴーアー20年のぐすたふくんといえど、オペラはまだ見初めて10年に満たない。それでも、沼尻さんのおかげで、ワーグナーのいわゆる「ワー10」のうち、残るはあと3つ。その内の一つが、この「トリスタン」。新国立で今シーズンかかるということは前から察知していて、かなり頑張って今日のチケットを確保、日帰りの新幹線の指定席も確保して、気合い充分で臨んだ演奏会。

そういうこともあって、ちょっと気持ちが入りすぎたかもしれません。

まず、新国立劇場の印象から。想像していたよりも、ずっと小さいのに驚きました。びわ湖ホールと印象があまり変わらない。下手したら、兵庫芸文より小さいかも、という印象。終わってから調べると、座席数1800と兵庫芸文の2000席を下回っていることを知る。確かに、ホワイエのゴージャスさ、そこで供される食事や飲物の内容の豊富さ、施設全体の充実度、という点でさすが東京、とは思ったけれど、劇場内部のフィール、舞台装置や演出から受ける印象は、びわ湖や兵庫芸文と比較して取り立てて傑出している、とは思えない。

公演内容、という点からすると、何をおいても歌手陣の豪華さ、ということになると思う。これはもう、否定のしようがありません。メインキャラ6人中4人が外国人、その中でも、トリスタンのニャリさんの声量と表現力は突出していて、こういった海外一流の歌手を揃えられる、というのがこの劇場の力であり、ここに聴きにくる意味なんだろうな、ということは素直に感じました。あの藤村さんが脇を固めてるんですもんねえ。

ただ、歌手のゴージャスさを求めるオペラ通ならいざ知らず、「オペラ」を鑑賞する、という点だけに絞るなら、わざわざ東京、この新国立劇場に、関西の倍以上のチケット代を払い、往復の新幹線代も使ってやってくる意味はないかな、というのが正直な感想です。逆にいうなら、関西に居ることの有り難さ、びわ湖ホールと兵庫藝文という二つのオペラハウスを要する関西の底力というものを改めて感じました。その意味で、今回の東京遠征は僕にとって意義のある経験だったかも。

公演内容について追記するなら、大野さんの棒の下、充実の限りを尽くしたと言っていい東京都交響楽団のサウンドの素晴らしさは特筆すべきと感じます。やはり、この作品、ストーリーの無理さ加減を音楽の力によって成立させてるようなところがあると思うので、その意味で、今日の都響の見事な演奏を聞けただけでも充分以上の価値はありました。

演出の点では、開始が白い月が昇るところから始まり、最後赤い月になって水平線に沈む、それを赤いドレスの長い裾を引いたイゾルデが見下ろすという意味深な展開が心に残りました。二幕における男根を思わせる柱とそれを包み込む女性器を思わせる輪といい、トリスタンを産み落とした母がそのまま亡くなったというセリフの件も考え合わせると、かなり際どい性的なイメージをメタファーしている印象でしたね。まあ、そこまで深読みしてる余裕はありませんでしたが。

終演後は、スタンディングも結構あったことを思えば、ほぼ満員の入りでもあり、興行としては大成功なんだろうな。初台の駅に向かいながら、次にここに来ることがあるとしたら、それはいつ、何を求めてになるのかな、とふと思ったりしました。
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