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2024年01月10日23:18

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アラスカ戦線

を読んだ。ハンス・オットー・マイスナー著/松屋健二訳
 1944年、2年前に日本軍が占領したものの、両軍から注意を向けられていなかったアッツ島だったが、そこからアラスカへの空爆作戦が立案され、状況は一変する。
爆撃機を飛ばすためには極めて悪天候が多いアラスカの気象情報がどうしても必要で、かくしてオリンピック10種競技の銀メダリストでもある日高遠三大尉を隊長にすえた特殊潜入チームが編成された。
潜入は成功し、チームはアッツへ向けて気象情報を送り始める。
その通信を傍受したアメリカは正体がつかめずに困惑するも、それが敵性なのは間違いないと悟り、スカウトのプロ達と軍人による偵察チームを編成する。
そのチームのリーダーは自然保護局のアラン・マックルイアといい、まさに自然の中で生きるために生まれてきたような男だった。
かくして日米の精鋭チームが極寒のアラスカで対決することになるが、それは予想外の展開を見せ・・・。

 結論から言うと、とてつもなく面白かった。
タイトルから戦記物だと思って読み始めたのだが、まあ戦争中の軍部の争いには間違いないので戦記物と言えなくもないのだが、読み始めてすぐにこれは冒険小説なのだとはっきりと認識させられた。
というのも上記の日米のリーダーの紹介部分が非常にかっこよく魅力的に描かれているからで、いやが上にもその後の対決へのワクワク感を盛り上げてくるのだ。
そしてとうとう両者がアラスカに降り立ち、それぞれが相手から身を隠しつつ相手を探すというまさに探り合いの展開が盛り上がった期待を全然損なわずにむしろ更に盛り上げる。
それからどんな激しい対決が繰り広げられるのかと思ったら、あまりにも意外すぎる展開にひっくり返る。
途中まで原題(ALATNA)の意味が分からなかったのだが、まさかそっちだったとは(笑)
そしてラスト近くの最後の対決がこれまたものすごい意外な展開が用意されており、マジでページを繰る手が止まらない。
 また日本軍や日本人の描き方も完璧と言えるもので、これは著者が日本にも住んでいたことのあるドイツ人というのが大きいだろう。
ただ一つ気になったのは、川魚を生で食べた描写くらい(笑)
 ちうわけで新装版が何度も出ているのが納得の超名作だった。
ちうか内容の割には無名すぎると思う。
「読まずに死ねるか!」とか「冒険・スパイ小説ハンドブック」とかでも一切触れられていないのが変すぎる。
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