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2024年01月07日21:33

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茨城県境町で開催中の現代展覧展,是非鑑賞に行きたいと感じます

 これは興味深い。現在,東京・六本木の森美術館で開催されている企画展と通じる問題意識に貫かれた,是非観賞したい展覧会です。

 常々申し上げていることですが,僕は美術鑑賞を行う際に絵画・彫刻・工芸などの特定のジャンルに偏らぬよう,あらゆる種類の美術を鑑賞するようにということを常に心掛けています。これは中学生時代の僕が音楽に関心を抱いた際に「調性のあるクラシック音楽だけを鑑賞対象にする」などという妙な限定を勝手に設定してしまったせいで未だにジャズやポピュラーといったそれ以外の音楽について親しむことが出来ないままになってしまったという大失敗をしてしまったので,その失策を繰り返さぬようと自らに課している戒めです。

 一方で僕は,現代美術については僕は「積極的に鑑賞しよう」と意識的に努めています。「特定のジャンルに偏らぬ鑑賞」という僕の目標とはやや矛盾しますが,これもまた中学時代の苦い失敗を繰り返さぬための心掛けです。上述のとおりかつての僕は鑑賞対象を「『調性のある』クラシック音楽」に限定してしまいました。このため,同じクラシック音楽でも調性を持たない現代音楽についてはほぼ全くといって良いほど鑑賞の経験が無く,今もそうした音楽には全く親しむことが出来ないままです。これは単純に勿体無いことであるのは当然ですが,それのみならず「芸術と社会との関わり」という問題についても鑑賞の対象外にしてしまっているという大問題をも孕んでいます。芸術は時に社会の悪や矛盾を鋭く表現するということがありますが,今現在制作され続けている芸術を鑑賞しなければそれらの表現には触れることも出来ない。無論,現代においてもいわゆるコンテンポラリーアートではなく古典的な技法・様式で制作される芸術作品も無いではありませんが,そうした例外的な存在のみに頼っているのでは「現代社会の悪や矛盾を追求した」作品に触れる機会は殆ど持ち得ないでしょう。
 そのような理由で,僕は現代美術についてはなるべく鑑賞の機会を持とうと常に努めています。幸いにして都内には六本木の森美術館・外苑前のワタリウム美術館・木場の東京都現代美術館などの現代美術を積極的に取上げる複数の美術館が存在しますが,その中でも僕は特に交通の便も良く展示も充実している森美術館には積極的にお邪魔しております。つい先日も「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」という展覧会に鑑賞に訪れたばかりです。「環境危機に現代アートはどう向き合うのか?」という副題のとおり,環境破壊やそれに伴って特定の地域に住む人々,特に先住民の暮らしが脅かされるさまなどを鋭く取り上げた諸作品の中には必ずしも外見的に美しいとは言えないものもありましたが,それでも充実した芸術体験が出来たという思いで興奮気味に会場を後にした思いは今も新鮮です。

 そんな中で今回,僕は「シエの歌 未来の地球像に向けて」という展覧会が茨城県境町で開催されていることを知りました。森美術館で展示を観てきたばかりの僕にとって気になる展覧会名だったので詳しく見てみたところ,この展覧会を企画したアートディレクターの藤原敏雄氏によると「南米は日本からは離れているが、同じように環境問題に直面している。多くの人が環境を考えるきっかけとなればいい」と仰っており,やはりこちらの展覧会が森美術館の「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」と同じような問題意識に基づくものであることが判ります。具体的にはこちらのtん卵会では自然環境が危ぶまれているコロンビアの現状を取り上げた展覧会で,ゴンサロ・ピニリャ(版画)・パトリシア・レオン(写真)・ナタリア・エスピネル(身体表現)・セバスチャン・ゴンサレス・ディクソン(インスタレーション)各氏による約70点の作品が展示されています。会場は境町坂花町の「S−ギャラリー粛粲寶美術館」。高輪ゲートウェイ駅でも注目を浴びた隈研吾・東京大学特別教授による設計で,2020(令和2)年にオープンしたばかりの新しい美術館です。

 現代美術に興味を持ち,かつ上述の森美術館における企画展に感銘を受けた僕にとって,是非観賞したいと感じさせられる展覧会です。そして僕と同じようなお考えの方,或いは現代美術を愛好する方,また環境問題に関心をお持ちの方にとっても必見の展覧会と言えるのではないでしょうか。会期は2024(令和6)年1月20日まで。境町には鉄道はありませんが交通の便は比較的良く,東京からですと自動車で圏央道境古河インターチェンジからも便利ですし,また東武動物公園駅からでも境車庫行きのバスに乗り坂花町バス停下車でアクセスも可能です。隈研吾氏設計の美術館そのものの鑑賞を併せ,境町に出向く価値は充分にある展覧会ではないか。僕はそのように思います。



南米の環境危機を表現 境で企画展 写真や版画など70点
https://www.tokyo-np.co.jp/article/300962
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