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2024年01月05日04:48

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本当に公立学校教員の勤務状況を改善したいなら…給特法の理不尽に思う

 本当に公立学校教員の勤務状況を改善する気が有るのなら「俗に言われている話は本当なのか」という点から再度検討を行う必要があると思うのですが。

 公立学校の教員は幾ら働いても残業代が出ない「定額働かせ放題」であるということが,近年よく知られるようになりました。正確に言うと「教職員給与特別措置法」(給特法)という法律で公立学校教師には原則として超過勤務を命じず(正確には災害等等の特殊な例外あり),代わりに「教職調整額」といって給料の4%が一律に支給されています。しかし教員の時間外勤務は事務作業や部活指導等で現状それをはるかに上回わるようになっており,それはさすがに酷過ぎるということで休日の部活指導には1回あたり数千円の手当が支給されるようになったものの全然働きに見合っていないということが指摘されています。この「給特法」を廃止して公立学校教員にも通常の残業手当を支払うようにという意見は根強いのですが,これに対して文部科学省は「授業研究をする教員の勤務時間について、どこまでが業務で、どこからが自主的な勉強かを線引きして管理するのは難しい」という慎重意見を取っており,代案として「教職調整額」の増額を提案しています。

 たしかに学校の先生は生徒たちに勉強を教える以上,自らもその内容をしっかりと理解していなければなりません。これは学校の先生に限ったことではありませんが教科書には書かれていないような事柄についても知っておかないと的確な指導教育は困難ですし,中には教科書の範囲を超える質問をしてくる生徒なども居ますから勉強の手は抜けません。ではそれが業務なのかというと,たとえば理科の先生が最先端の科学論文を読んだり美術の先生がコンテンポラリーアートについて知識を深めるなどというのは,教育指導に有益ではあっても学校で教える内容とは直結していないので,たしかに文部科学省の言うことにも一理あるように思われないでもありませんね。
 しかし,それは「時間外勤務手当を支給しない」理由になるのか。実は「教職員給与特別措置法」(給特法)が適用されるのは都道府県・市区町村立の学校だけです。私立学校の教員にはもともと適用が無いし,かつては適用があった国立学校(大学付属の小中学校など)も国立大学法人化に伴って公務員ではなくなったので適用されなくなりました。彼らは勤務時間外に仕事をすれば時間外勤務手当がきちんと支給されます。では私立・国立の先生方は授業研究として自主的な勉強をしないのか。そんなことは全くありません。そもそもしなければ勉強を教えられなくなってしまうのは公立学校教員と同じですし,実際に私立中学出身の僕は先生方がより良い授業のために様々な勉強をなさっていたのをこの目で見ています。つまり学校の先生は全く同じ仕事をしていても,たまたま雇い主が違うだけで残業代を貰えたり貰えなかったりという理不尽が発生しているわけです。

 現に公立学校教員と同じ仕事をしているのに私立・国立学校の教員には時間外勤務手当が支給されている以上「どこまでが業務で、どこからが自主的な勉強かを線引きして管理するのは難しい」という主張の妥当性にも大きな疑問符が付くことは言うまでもありませんね。或いは「難しい」のは本当だとしても,出来ないわけではないというのは明らかです。「私立・国立学校の教員たちは業務とは到底言えない私的な勉強で不当な残業代を貰っている」といった,人を愚弄するようなことを主張するのでなければ。

 教員の「定額働かせ放題」を本当に改善したいのなら,文部科学省には「本当に教員の仕事において,業務と自主的な勉強とが線引き困難というのは本当なのか」「仮に困難だとしても,私立・国立の学校では現に線引きしているではないか。公立校で同じことは不可能なのか」といったことを是非検討して頂きたい。また文部科学省内部で誰もそういった声を上げないのなら,外部から同様の指摘を同省に向けて発信する必要もあるのではないか。
 かく言う僕自身も,その「発信」の一環としてこの文章を書かせて頂きました。これをお読みの皆様は,どのようにお考えになりますか。



教員の「残業代」増額検討 長時間労働対策―文科省
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023122900512
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