を読んだ。草上仁著。
生物兵器
20世紀に住む男が、拉致されて27世紀へ。
その時代には人類は、あらゆるものを生体で構成する恐るべき敵と戦い、敗北を目前にしていた・・・。
敵の描写がやたらに面白いが、短編としてのオチは少々弱い。
なにかもう一段ほしかった。
強制輪廻
連絡の取れなくなったペンザのことを調べるためにビ・ロック8に派遣されてきた「僕」。
すぐにペンザは見つかったが、なぜか素っ裸でまともに話が通じない。しかし目の前に飛んできた蝿のような虫を叩き潰すと、悲鳴を上げて逃げ出し・・・。
いろいろと突っ込みどころは多いがそれはまあいいとして、オチがまたちょっと弱いと感じた。
なんだか「生物兵器」と似たようなオチでもある。
眼鏡探し
核戦争後の世界で、旧文明の産物で唯一使用を禁じられていない眼鏡を探すバロ。
ものがよければ莫大な金になるのはもちろん、最近狩人である彼女の視力が衰えつつあるのも理由の一つだった。
彼はナイフ投げの名手のウェラーと共に苦労の末に都市の廃墟にたどり着くが・・・。
世界の描写や雰囲気はいいのだが、キーアイテムに気づいてしまうとオチがオチにならないのが残念。
くらげの日
マーナが72回目の離婚をして、やっと「おれ」の順番が回ってきた。
結婚式に間に合うように急いで帰らなければならなかったが、港長のカンジは今日はくらげが出ているのでシャトルは出せないという。
なんのことかと思えば空に巨大で透明なくらげのような生物が大量に浮遊しており・・・。
これは化夢宇留仁の大好きな作品で、この著者の持ち味が十全に味わえると思う。
物語も面白いが、なによりどこかとぼけた異星環境とそこに住む人、それに異星生物そのものがとても面白い。
読み直して気になったのは、ポリフスキー教授の部屋にあったプラスチックのシャンデリアで、これは安物という表現に見えたのだが、「機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST」で目から鱗が落ちた宇宙でのプラスチックの希少性からすれば、ガラスやクリスタルなんかよりもよほど高価なものかもしれないということだった。
まあプラスチックと一言で言っても今ではそれが化石燃料からできているとは限らないが、この作品が書かれた当時はそうだったのでは・・・。
サルガッソーの虫
超光速航行中にファイ次元からはじき出され、無数の難破船が漂流する空域に来てしまった「僕」。
長い間この空域に閉じ込められている「僕」から見れば未来人であるタキオと共に、脱出の手段を探るが、この空域には奇妙な擬態生物が生息しており・・・。
このオチは、その前に提示された「彼」も「それ」であるという方を掘り下げたほうが面白くなったように思う。
サクラ、サクラ
役者を導入して該当でゲリラライブを行い、売出し中のファッションが注目されていると着用者や通りすがりの人々にも思い込ませ、実際の流行を作り出すという仕事のトッププロであるヴィッキー。
彼女は友人の相談を受け、彼女の娘を元気づけるために無料ライブを行うが・・・。
オチは予想通りだがこのオチはそれでいい。
むしろそれを予測させることでラストの切なさが強まっていると思う。
奥付のメモからすると、1989年4月9日に読んでいる。
読んだという記憶はあったが内容は全然覚えていなかった(汗)。
全体的に不満があるような感想になったが、それは無理やり粗探しをしたような感じで、実際読んでいる間は普通に楽しんで読んでいた。
なんというかこの著者独特の雰囲気が心地よい。
ログインしてコメントを確認・投稿する