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2023年11月29日09:23

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「シス 不死身の男」

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しみにしていた北野武監督作品「首」が期待とはかなりかけ離れたものだったので、どうもすっきりしない。すでに一日一回限り、レイトショーのみの上映になっている話題作「シス 不死身の男」を観て来た。実に面白い、痛快なバイオレンスアクション映画で、「首」で味わったモヤモヤが一遍に吹き飛ばされた。マカロニウェスタン仕様の戦争アクションでエピソードが章立てになっているのは、「イングロリアス・バスターズ」に倣っているのだろう。ただし、「怒らせてはいけない相手がとんでもない奴だった」という物語は「Mr.ノーボディ」だなと感じた。寡黙で眼光鋭い、髭面の初老の男が主人公、正に、「Mr.ノーボディ」だ。

 舞台は1944年のフィンランド。それまで枢軸側として、ソヴィエトと戦っていたフィンランドは「自国領土からドイツ軍を駆逐すること」を条件に単独講和を結ぶ。同盟軍フィンランドの裏切りに怒ったドイツはノルウェーまでの撤退路上の街、道路、橋梁を全て破壊して行く焦土作戦を決行する。戦車一輌を中心としたブルーノ・ヘルドルフSS中尉が率いる小隊は、撤退の途中で家屋を焼き、フィンランド人を殺戮、若い女性を拉致。国防軍兵士を「逃亡兵」と決めつけて縛り首にしながらノルウェーを目指していた。そこへ、金を掘り当てた老人アアタミ・コルピが愛犬ウッコを伴い、馬に乗って通りかかる。遭遇したSS兵士達は何の理由もなく、嘲笑しながら彼を殺そうとするのだったが・・・。

 正直に言えば、主人公のフィンランド人金鉱掘りが戦う相手がドイツ軍(武装親衛隊)だと知った時から、一抹の不安があった。私は戦争シミュレーションゲームのほぼ全てをドイツ軍側でプレイしている。大好きな戦車戦SLGの「PANZER FRONT」ではプレイヤーがドイツ軍、連合軍(米英軍)を選択できるのだが、私はドイツ軍でしかプレイしない。連合軍の戦車に搭乗し、ドイツ軍戦車を撃つなど「たとえ、ゲームであっても」心情的に到底できないからだ。悪逆非道のドイツ軍が反撃されて皆殺しにされる映画は数多い。仕方のないことだと思う。しかし、ただドイツ軍の軍服を着ているからという理由だけで兵士が残虐に殺されるのを観るのは、映画でもツラいものがある。タランティーノの戦争アクション映画「イングロリアス・バスターズ」を傑作と認めても、拍手喝さいできないのはそうした理由だ。「シス 不死身の男」はそうした不安とは無縁だった。主人公コルピ(SISU=不屈の魂をもつ男)が戦うのはドイツ軍(武装親衛隊)だからではない。恨みでも復讐でもなく、単純に彼の持ち物を奪ったからに過ぎない。そこに私は救われた。


 予告編(↓)は面白いが、ネタバレシーンが多いので閲覧注意!!



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