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2023年09月10日11:49

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(少し前に)話題の邦画ホラー3本「貞子DX」「カラダ探し」「それがいる森」

今月に入ってまだ何も映画を観ていないので、劇場公開時に話題になった邦画ホラーをwowowで観た感想を簡単に書いてみたいと思います。

ホラーじゃないけど面白い?「貞子DX」

「おい、あれ貞子じゃね?握手してもらおう」と親しみを感じるほどの国民的人気となったホラーアイコン「貞子」。
しかしもう、彼女で恐がる事は不可能ですよね。
そこを割り切ったのか、本作は恐い映画である事を早々に放棄しています。

なにしろ監督は「屍人荘の殺人」の木村ひさし。
なので、コメディー要素×ミステリー的展開の作品となっているのです。
最初にそういう映画と認識して観ると、確かになかなか面白い。
「呪い」を「ウイルス感染」として扱うのは原作からあった要素なので、原点回帰とも言えます。

監督らしい笑いと、主役を務める小芝風花の魅力をしっかり見せながら、意外な展開と驚愕のラストへと誘います。
このラストの展開は、かなり面白い。
面白いのですが、完全にお笑いとして演出してしまっているので、本当に呆れてしまいます。
完全に「バカバカしい!なんだこれ」な気持ちになってしまうのです。

演出次第では、かなり気持ちの悪い終わり方にも出来るし、それが見たかったので残念です。
「呪い」が「奇妙な日常」へと変化していく。
コロナ禍で日常を変化させられた我々には、このラストもあながち「お笑い」にはならないと思います。

ハシカン主演なのに面白い?「カラダ探し」

映画館で様々な予告を観ていると「オイ、またハシカン(橋本環奈)が出ているぞ。もう3本目だ」と驚く事があります。
日本映画界において、もっとも仕事を選ばない、依頼にはすべて応える仕事人の様な存在が、彼女なのです。
「私は何に出ても私。それで良ければ何でも出るわ」
そんな気風の良さを感じますが、映画自体は事故、災害レベルの駄作がほとんどです。

そんな彼女の主演したホラーですから、映画館へ向かうのは台風の日に田んぼを観に行く様な危険行為と思われます。
「みんな酷い罵声を浴びせているのだろうな。面白そうだ!」
そんな醜い気持ちでこの映画の感想を見てみると、なぜか良い評判が少なく無い。
ちょっと興味を持ってしまいました。

観てみれば、なるほど面白い。
学校で突然、少女幽霊に「私のカラダを集めて欲しい」とダルい依頼を受けたハシカンですが、いつものごとく快諾。
同じく選ばれしメンバーと共に学校内を探しますが、ダラダラやっていると幽霊が来て皆殺しに。
すると時間が戻っている?
この仕事をクリアしないと、同じ日が延々とループしてしまうのでした、というお話。

最初はホラーですが、夜になるまでは自由時間なのでみんなで海に行って遊んだりします。
ここは完全に青春映画の演出で、時空が歪んだのかと思います。
さらに、後半は幽霊が怪獣になって、ループするというルールの中に「ロスト」の危険性が加わる等、手を変え、品を変え、最後まで楽しませます。
ハシカンも良いですが、ギャルっぽい山本舞香も良いですね!
男にバイクで学校まで送らせるとか、昭和かよ!

東京オリンピック。大阪万博。「それがいる森」

最後に、非常に暗い気持ちにさせる映画を紹介してしまって申し訳ありません。
これが日本の現状を最も反映した映画と言えます。
夢も希望も正義も未来もない。
誰もが他人事の様な顔のまま、なす術もなく沈んでいく日本という国。
これを象徴するのが、あの無様な東京オリンピックであり、これから大惨事になる大阪万博であり、この映画なのです。

この映画には、この映画を少しでも良くしよう、面白いものにしようと思う人間は一人もいません。
もしいれば、退場させられたのでしょう。
和を乱すから。
ただロボットの様に自分の役割をこなし、さっさと家に帰りたい。
きちんと報酬がもらえれば、それで良い。
そんな意識が充満しているのです。
きっと健康的な、明るく朗らかな現場だったのでしょう。

地獄は、すべて観客に降りかかってきます。
映画館で映画なんか観ようとするから、こうなるんだ!
お前が自分で決めて、自分の足で劇場に入ったんだろう。
これがその結果だ!
噛みしめろ!
そんな厳しい、鬼の様な試練を、観客にだけは叩きつける映画が「それがいる森」です。

なんで素直に映画を楽しみにして、高い料金を払った人間に対して、ここまで酷な事が出来るのか。
本当に不思議です。

最初は「アッ、宇宙人が出た!」とそれなりに楽しもうとはしましたが、無駄でした。
この映画に出ている人間も、スタッフの作成した特殊効果も、すべてが観客から目を逸らしている。
そんな強烈な疎外感を感じて、笑いが凍りついてしまったのです。

ここには何も無い。
これは虚無です。
テレビではこんな虚無が延々と排出され、映画館もやがてそうなるのでしょうか。
つらく苦しい仕事や生活を、つかの間忘れて現実逃避したい。
そんな庶民のささやかな希望すら、捻りつぶしてしまうのです。
国民の心を完全に無にし、ただぼんやりと動くだけの物体にしてしまいたい。
それが美しい国なのです。

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