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2024年05月23日11:47

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後味スッキリ系の不条理SF!「トランス・ワールド」

SNSで面白そうな映画を知って、アマプラで確認したら、もうウォッチリストに入っていた・・・。
そんな経験、よくあるのではないでしょうか?
この「トランス・ワールド」もそうで、しかもなぜか吹替版だけが無料で観られるのですが、それも数日で終了してしまうと知ったので、慌てて観てみました。

なるほど、面白い!
ウルトラ低予算のシチュエーション・スリラーですが、よく出来ています。
SFと言ってしまうと若干のネタバレにはなってしまうのですが、そういう展開であるとしらないと序盤で視聴を止めてしまう可能性がある(最初は退屈だしワケも分からない)ので、言っておいた方が良いでしょう。

内容については触れない方が良いでしょう。
「パルプフィクション」のパロディーみたいなシーンから、一気に寒々しい森の中へと変わります。
登場人物は少しずつ増えていきます。
徐々に謎が増えていきます。
ここは一体どこなのか。

いきなりラストについて書いてしまいますが、後味は実にスッキリ。
こういうジャンルの映画では、結構珍しいのでは。
ハッピーなのかバッドなのかは言いませんが、どういう話だったのか、そしてどうなったのかについては、キッチリ描かれます。
なんか、ゲームをクリアした様な、爽快な気分です。

アイザック・エスバン監督の「パラドクス」が、実はかなり似たシチュエーションなのですが、見所は「パラドクス」の方がたくさんあるものの、面白さはこちらの方が上回ります。
余計なものを排除し、見せる順番が考慮されているからでしょう。
ただ、あの「パラドクス」には突き抜けたものを見せる場面がいくつもあるので、インパクトはあちらが上。
是非見比べて欲しいです。

個人的な好みとしては、こういう短編SF的な物語は、ラストでモヤッとさせて欲しいのです。
ミステリー映画というのは、謎に対しての解答を見せるものです。
対して、SFというのは問題提起をして終わるジャンルだと思うのです。
これは一体何を描いた話だったのか?
この終わり方が本当に正しかったのか?
この後、彼らはどうなってしまうのだろう?
そもそも、一体何が起きたのか。

例えば「ミッション:8ミニッツ」は、ユニークな設定の一種のループもので、メインのお話はなかなかスリリングかつ感動的な話なのですが、ラストで「ハァ?」となってしまう映画です。
なにか、それまで納得して観ていたものがグニャリと歪んでしまった様な・・・。
このラストは公開当時には結構批判されていましたが、個人的には面白いと思いました。
ただの感動SFじゃ終わらない、急に理解できない話に豹変して終わってしまう感じが、ちょっと痛快に感じました。

また、「アナザー プラネット」という映画は、ほとんどがSF的ではないヒューマンドラマで構成されているのですが、ラストのワンシーンで一気にSFとなる作品です。
それまで何となく語られていたこの世界の設定がいきなり重要になり、その結果これまでのドラマを含めてもう一度全体を再認識する必要を迫られます。
ラストシーンまで観る事で、ようやく映画の内容を理解する事が「始まる」。
観終わった後からが面白いというタイプの映画なのです。

SFというものは、現実の枠から解放されたジャンルです。
ただし、必ず現実から地続きとなっているものでもあります。
今ある社会問題だけでなく、もっと普遍的な「この世界とは?」「人間とは?」「生命とは?」といったものを考えるきっかけって、普段忙しく暮らしている我々にはSF映画を観る時くらいじゃないかと思います。

だったら、スッキリさせずに困惑させた方が、より長く考え込ませる事ができるでしょう。
そもそも、SFにおける問題定義には、明確な解答の無いものばかりです。
「どうなんだろうなあ」と考えさせ、「こういう事なのかな」とそれなりに腑に落ちたり、他人の考えを聞いてみたり、全然理解出来ずに叫んでみたりする事自体が、一番の娯楽なのじゃないかと思います。

「トランス・ワールド」が置き去りになってしまいましたが、そう考えるとこの映画はSF的な現象を描いた作品ではありますが、構造としてはミステリーだと言えますね。
真犯人もいるわけだし。

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