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2023年09月01日11:00

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意外な拾い物、令和2年の「クレヨンしんちゃん」。バカリズム・脚本、大九明子・監督のテンポ良い快作「ウェディング・ハイ」。こうして8月が終り、1年の2/3が終わった。  

 8月21日(月)に昨年2022年3月公開の外国映画「ガンパウダー・ミルクシェイク」を観る。

「ガンパウダー・ミルクシェイク」(ナヴォット・パブシャド)
凄腕の女殺し屋カレン・ギレンが、皮肉にも父親を殺してしまったその8歳の娘を庇い、2つの組織から見捨てられて追い廻される顛末となり、絶体絶命の中で派手なガン・ファイト、カー・チェイス、生身の格闘を繰り広げて、タップリ楽しませる映画で、細かい事はどうでもいい。殺伐描写も結構少なくないが、闇組織の図書館を装った武器庫とか、ウェイトレスが入り口で武器チェックして取り上げる闇組織の交渉場とか、浮世離れした舞台設定がファンタジー色を醸し出し、後味はスッキリしている。後段で、ヒロイン同様の殺し屋の母親や、凄腕のいずれも女性図書館員(?)4人がヒロインに加担し、ウーマン・パワー全開となる。図書館員に東洋のミシェル・ヨーや黒人も加わり国際色豊かで、そのあたりも時流に乗った痛快アクション篇だった。(よかった)

 令和2(2020)年は、私が1年を通じて健康寿命だった最後の年であり、コロナ禍の中にも関わらず関東一円を飛び回って目ぼしい作品を追い続けられた最後の年でもあった。でも年明けには、脳梗塞の予兆が発生し、コロナ禍の拡大でさらに外出自粛となり、翌年の落穂ひろいがままならなくって、キネ旬ベステトン入選昨「アンダードッグ」を押さえそこなったが、最近CS放映で観ることができ、ほぼ戦後から令和2(2020)年までは邦洋共に主要作品を押さえ切ったと思っていた。

 そんな令和2(2020)年の日本映画に、ここに来てベストテン級作品に出遭えるとは思わなかった。それが、全く私の好みではない「クレヨンしんちゃん」の「激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」とは相当に意外であった。この年は、私の御贔屓の「STAND BY ME ドラえもん2」を6位にランクインさせているので、ベストテンが揺らぐことは無いが、以下それに並べても遜色がない「クレしん」令和2年版について語ってみたい。

 天空に落書きエネルギーで浮上しているラクガキングダム王国で、最近は地上の子供のゲーム三昧により落書きが激減し浮力が失われつつある。そこで奸臣が地上侵略を画策し春日部に襲来、大人達を特殊カメラ撮影で壁絵として磔にし、子供達を一箇所に浚って集め、無理矢理に落書きを強要する「ウキウキカキカキ作戦」を開始する。これは写真と絵との対比寓意なのかなと、ここまででは思えてくる。

 これまでの落書きが最もエネルギーを発していたとされ何とか逃げ延びたしんちゃんに、奸臣の王国軍に対抗する忠臣から、描いた物がすべて実体化する伝説の秘宝「ミラクルクレヨン」が授けられる。しんちゃんのデタラメぶりが最高の落書きエネルギーとは、大いに笑わせ納得である。

 しんちゃんが書いた3人の落書きが実体化してタイトルの4人の勇者と相成る訳であるが、これが擬人化されたブリーフにぶりぶりざえもんと憧れのお姐さんのななこさん。落書きがベースだから、ぶりぶりざえもんもななこさんも落書き風でしかなく、特にななこさんは本人と似ても似つかないさしずめ「ニセななこ」といったところだ。

 ここまでくると、あまり寓意とか意味付けをしても意味がなく、奔放なイメージを楽しめばいいのかなと思えてきた。元々がアニメの魅力はヴィジュアルにあり、そこを楽しむのが最優先で意味付けは、どうでもいいと思っている私である。そして、この奔放なイメージ乱舞は「クレしん」ワールドならではのピッタリ感で、これが私の愛する「コナン」調でもジブリ・ワールド調でもシックリこない気がする。

 私が「クレしん」が好みでないのは、落書きみたいな画風(作者の方々、失礼!)にあまり愛らしさが感じられないからだ。だが、この奔放な落書き世界となれば話は別だ。その奔放さにドップリ浸れる楽しさを感じたのだ。

 だから、春日部に墜落しかかったラクガキングダム王国が、再び浮上に転じる顛末も、泣かせるし一応SFロジックとしても納得するが、自衛隊出動などのリアル世界との整合は完全に取れていないし、そんなことはどうでもよいと思わせる奔放さですべて納得した。

 私が「クレしん」の評判作にもう一つ乗れないのは、例えば「オトナ帝国の逆襲」あたりアニメとしての面白さよりも、ヘンな大人流の意味付けに毒されているあたりである。「戦国大合戦」が好きなのは正統派お姫さまキャラの愛らしさにあるからだ。「夕陽のカスカベボーイズ」の西部劇へのノスタルジーは泣かせるが、これが好みでないクレしんキャラでなく、愛らしいドラえもんキャラだったらどんなに良かったろうと思ってしまう。要するにアニメはキャラでありヴィジュアルの好みであるということだ。

 8月22日(火)に昨年の令和4年3月公開の日本映画「ウェディング・ハイ」を観る。

「ウェディング・ハイ」(大九明子)
結婚式を迎えた関水渚と中村倫也は、式の準備に余念がない。結婚式準備には二人で決めなければならないことが無限にあり、神経が磨り減ることこの上ないが、そのあたりのあるある感が、意外や昔とそう変わらないことにハウトゥー物としてこれだけで充分に楽しく観られた。しかし、主役はウェディングプランナーの篠原涼子であり、これが単なる助走に過ぎないあたりに、映画の満腹感がある。準備段階エピソードが見事な伏線となって、式の終了時間がどんどん押してくる。プランナーとしてのプライドから、すべての式次第をカットせずに遂行する奮戦が見物だ。式終了時間厳守に何とか漕ぎ着けるが、ちょっと待って、すでに紹介されていた元彼の花嫁掠奪の陰謀はどうなったの?となるが、そこは才人バカリズムの脚本に抜かりはない。時間が過去に巻き戻され、式の間に思わぬ展開を見せていたもう一つの事件が、並行して描かれ、抜けだと思っていた伏線のオチがすべて回収されハッピーに納め、エンタテインメントとしての満腹感は文句無しだ。幸福な式は必ずしも幸福な結婚につながるわけではないとのクールな視点は、いかにも21世紀的だが、それでもブランナーとしての誇りで納めるエンディングの、テンポ良い大九明子の演出もお見事でした。(よかった。ベストテン級)

 8月23日(水)に昨年2022年5月公開の外国映画「狼たちの墓標」を観る。

「狼たちの墓標」(ユン・ヨンビン)
平昌オリンピック直前のリゾート地の利権を巡って、昔ながらの義理を重んじる組織に対し、新興勢力に手段を選ばない男が乗り込み、抗争勃発して3人の義兄弟の関係もズタズタになっていく韓国ノワール。全体に日本ヤクザ映画に酷似しているのは興味深い。まずは「兄弟仁義」がべースにあり、新興勢力の暴走男は「仁義の墓場」か「孤狼の血 LEVEL2」かといった按配。警察組織も絡んでくるあたりは「県警対組織暴力」の要素もある。東映ヤクザのファンとしてはスンナリ馴染める面白さである。韓流ならではの特徴としては、抗争の中でも主要人物が簡単に一発で死なず、しぶとく生き続ける事だ。そういえば香港ノワールの「毒戦」の銃撃戦でも一発や二発が当たっても、しぶとく撃ち合っていた。日本の場合、刺殺でも銃殺でもあっさり死んでしまう。ここに日本の散り際の美学があるのかなと、関係ないことが頭を掠めた。(まあまあ)

 8月26日(土)に一昨年2021年3月公開の外国映画「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」を観る。

「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」(トッド・ロビンソン)
1966年のベトナム戦場で、負傷兵救出のためにヘリ降下したが、部隊の軍医負傷が確認されたので、ヘリに戻らず代わって負傷者救護にあたり戦死した兵士に、その現場にいた者達から名誉勲章授与の請願が度々なされるが、何故か認められず30年が経過してしまう。そして1999年、空軍省のエリートが調査を命じられる。最初はさして重視せずお座なりに済ませる気だったが、退役軍人の証言を集めていくと、闇の真実が次第に浮き上がってくる。これは部隊の犠牲も辞さずと遂行された囮作戦であり、作戦立案者は今や上院議員で政府の要職につく見込みの存在だから、あまり表沙汰にしたくないということだ。エリートの彼に調査を命じたのは、どうせ本気でやりはしないだろうとの忖度が背景にあり、それに気付いた主人公は、エリートとしての将来を棒に振って、全力を注ぎ名誉勲章授与にまで辿り着かせる。実話に基づくそうで十分に感動的なはずが、もう一つ乗れないのは、ベトナム戦争への歴史的疑義と、名誉勲章に対する価値観絶対化があるからだろう。(まあまあ)

 前回日記から8月末までに観た映画は次の13本。こうして8月が終り、1年の2/3が終わった。

「ガンパウダー・ミルクシェイク」
「映画 クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」
「ウェディング・ハイ」「狼たちの墓標」「ヘル・レイザー」「ヘルレイザー2」
「ヘルレイザー4」「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」
「Burn the Stage:the Movie」
「BRING THE SOUL THE MOVIE」
「BREAK THE SILNCE:THE MOVIE」「ミス・ワイフ」
「女の復讐」

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