mixiユーザー(id:7886422)

2023年07月29日00:36

152 view

新水戸市民会館「ピアノ開き」の水戸芸・学芸員の凡ミス

3週間前の7/2日曜、水戸芸術館の側に、伊東豊雄氏設計による水戸市民会館がオープンしました。別の場所にあった旧市民会館は311大震災で使えなくなり、この場所に再建することを水戸市長が決めました。その日の午前中は開館記念式典があり、午後はピアノ選定に関わった作曲家の野平一郎氏による「ピアノ開きミニコンサート」がありました。

建築のこと、音楽会のことについて感想をすぐに書きたかったのですが、ある思いがあって、このコンサートを企画した水戸芸術館音楽部門の対応を静観していたのですが、3週間経ってもまったく動きがないので、私はかなりガッカリしました。仕方がないので、顛末を記します。

このピアノ開きミニコンサートは無料で、誰でも入場が可能。私は開演30分ぐらい前に大ホールへ入場しました。その時、ステージ上のピアノが調律中でした。調律師が叩く音がとても抜けがよい。ステージを見ると、多目的ホールなのにプロセニアム・アーチがなく、ステージと客席が連続的につながって一体化した空間になっています。だからスピーカー設備は宙に浮いた形になっていました。残響は満席で2.0秒、観客なしで2.4秒ということは訊いていました。調律師の調律する音を聴きながら、音響的に私が好む音が聴けそうな席を歩きながら捜しました。いいネ…と思ったのが、左手の中央からちょっと下がった通路側。直接音と反射音のバランスがよい席だと思いました。左右の壁面に取り付けられた音響反射板は、上野の東京文化会館にある彫刻家・向井良吉がデザインした音響反射板と似ていますが、意匠的には水戸偕楽園の梅の形象であることは、茨城県民なら誰でも分かります。このホールでフル・オーケスラも、それなりの音響で聴けそうだ…と思いました。

フォト


ピアノ開きコンサートは、野平一郎氏のトークと演奏で約1時間程度。プログラムは当日発表でした。

バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より第1番ハ長調、第8番変ホ長調
モーツァルト:ピアノソナタ イ長調K331(トルコ行進曲付き) 
シューベルト:即興曲 変ト長調 作品90-3
ドビュッシー:月の光
武満徹:ピアノ・ディスタンス
ショパン:華麗なる大円舞曲
(アンコール)ビートルズ&武満徹編「ゴールデン・スランバー」

プログラムは、バロックから現代音楽までの歴史を俯瞰しながら、その響きの特徴を分かりやすく解説しながらの演奏だったので、クラシック音楽を聞き慣れない方でも楽しめるように工夫されていたと思います。私は野平一郎氏の演奏は何度も聴いていますが、演奏の主語は常に作曲家に軸足があり、演奏者は作曲家に奉仕するという誠実なスタイルは相変わらずでした。それでも冒頭のバッハの平均律・ハ長調は、彼もかなり緊張していたようで、軽やかなはずの上昇する音の粒が、やや重めに感じられました。

ところで私が冒頭で記したガッカリした点に、皆さんは気づきましたか?
演目にあったバッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻の第8番は

✕変ホ長調→◯変ホ短調

プログラムを開いた時、8番が短調のはずなのに長調とあるので、私はオヤッ?と思っていました。長調と短調のたった一文字の違いですが、太陽と月、白と黒ぐらいの違いがある…と私は思っています。この演奏会は水戸市民会館で行われていますが、企画は水戸芸術館音楽部門がしました。しかもプログラムの執筆は音楽部門の芸術監督N氏。後日、彼に電話で問い合わせをしたら、「私のチェック・ミスです」と認めました。こういう曲名の間違いは稀です。(演目変更はよくありますが…)私がこの日記を3週間、この筆記を書くをの留保したのは、この凡ミスをどんな形で訂正するのか静観していたのですが、まったく動きがありません。この音楽会のイベント・アーカイブにも、曲名が間違ったままでHPにUPされています。間違ったままでも平気とは、実にみっともない。時が自分のミスを帳消しにしてくれると思ったのか?学芸員として、最低限の演目のチェックさえできない、しかも修正さえしないという態度って、どーよ?

私が尊敬する水戸芸術館の前館長だった故吉田秀和氏は、文化勲章を受賞した音楽評論家でした。彼の著作の中で、あるピアニストのレコードを聴いてたいへんに良いと感じたので、雑誌にかなり好意的な感想を書いたけれど、後日、実演を聴いて、とてもガッカリ。自分の文章で読者を扇動してしまって、申し訳なかった…とお詫びを書いてしました。そういう高潔な前館長の薫陶を受けているはずの水戸芸・学芸員が、自分のミスをそのまんまにしていることに、私は落胆しました。

フォト


フォト



9 17

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年07月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     

最近の日記