幼いころ毎年夏は熱海の温泉ホテルでというのが我が家の定番であったが、ある時期対岸の錦ヶ浦に建設された立派な建物は景勝地ということもあり評判を呼んでいた。宿泊費も高値でとても庶民が泊まれるようなホテルではないと父親がぼやいていたのを思い出す。
時を経て、経営母体も変りようやく我が家にも手が届く価格になったころ父と訪れることになったのだが、当日は台風が来襲し海の絶景など楽しむ状況にないのを知って強行したのだが到着した土曜日はまだしも夜になって吹きすさぶ強風にサッシの風切り音で熟睡できず真っ黒い景色を肴に酒を飲むという何だか分からない旅行になった。
よく朝目覚めると父がいないので身支度を整えガラガラの館内を巡りロビーにいってみると・・・・
断崖に高く張られた強化ガラスに打ち寄せる高波。その直下にあるソファに寛ぎコーヒーを片手に新聞を読んでいる父の姿。その間も次々と打ち寄せる高波。シュールな光景に目を疑いつつも結構これは危険な状況なのでは?と従業員に問うと「そうですね〜」と言いながら親父が腰を上げたあとは閉鎖スペースにしてしまった。
閑散とした朝食バイキングの味は覚えていないがそそくさと帰路についた思い出がある。憧れの施設を満喫できなかったのは残念ではあるが閉館は寂しいニュースだった。
ここへきて再オープンのニュースに触れ、天国に行った父の想い出とともにぜひ再訪したいものだ。
熱海のシンボル「ホテルニューアカオ」復活にTwitterで喜びの声 一度営業終了した昭和の面影を残す大型ホテル
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=7482342
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