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2023年05月27日21:59
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量子力学、量子脳理論、シュレーディンガーの猫等 追悼！ZARD坂井泉水17回忌、2023年第8回目5月21日（日）丹沢山麓秦野市を中心に旅する〜遠い日のNostalgia〜
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＜坂井泉水 17回忌 量子力学 2023年8回目 丹沢山麓秦野市を中心に旅する 5月21日（日）＞
過去の坂井泉水の命日となる5月27日の日記
2022年 マルチバース理論から坂井泉水の今を考察 https:/
前回 2023年5月19日付け 揺れる想いリリース30周年記念
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5月27日(土)、ZARDの坂井泉水の17回忌を迎えた。彼女がこの世をさってはや16年、今なお人々の心の中に残っている。
写真＝2023年 献花台 https:/
この世から突如旅立った坂井泉水は、果たして今どこへ行ってしまったのか、インドの哲学では、「輪廻転生」という言葉がある。人は何度も生と死を繰り返し、また新しく生まれ変わるという。今回物理学を駆使して、死期の世界を含め、坂井泉水の行き先について考察する。
第1章 量子力学
物質の最小単位素粒子を扱う量子力学は、20世紀に発展した分野である。実に奇妙な性質を持ち、相対性理論の産みの親であるアインシュタインを困らせた。我々の日常生活で、素粒子の役割について実感する機会はない。素粒子は、人の体を構成する原子の元になった。我々の体は、60％から80％は水で出来ている。水とは、化学式でH2O水素原子と酸素原子が、それぞれ不対電子を出し、共有電子対を作ることにより、結合する。物理学では、「共有結合」という。
画像 掲載元 分子と共有結合 https:/
原子の世界を分解すると、実は密度が低くスカスカなのである。甲子園球場を原子に置き換えると、原子核は1円玉程度の大きさにしかならない。1円玉程度の大きさの原子核を球場の中心に置くと、さらに小さな電子は客席を周回運動している。原子核と電子は、一見距離的に近いように見えても、実は大きく離れていた。
量子の世界では、我々の一般常識はあてはまらない。あるときは物質として、またある時は波のように振舞う。奇妙な動きをすることにより、物理学者は、異なる世界を開く扉があるのではないか推論をたてた。
なぜなら、粒子と波動の二重性を持つ素粒子は、ＳＦの世界に出てくるワープ航法の理論を裏付けているからである。物質としてその場所にあった素粒子が、波動になると、消えていく。つまり、我々人に当てはめると、第三者から観測されることにより、物質として確定し、この世に存在することになる。
量子の性質を理解するうえで、二次大戦前に科学者が考案した二重スリット実験が、1961年に初めて行われた。https:/
ＡＢ二つの穴が開いた板に向かって電子を飛ばすと、奥のスクリーンはどう映るのか、電子の数に応じて、点が現れた。センサーで計測すると、通った穴がＡかＢか判明しなかった。次にひとつずつ大量の電子を連続で打つとどうなるか。スクリーン上には点が増えるとはいえ、均一ではなく、波の干渉による縞模様がきざまれていた。通常、波が二つの穴を通過すると、二つの穴から出たときに半円の波が二つできる。二つの波はお互いに干渉し重なりあった結果、高くなる。実のところ電子一つのみでも、波の干渉が現れるのである。ニュートン力学では説明できない現象だった。
もし病気や老衰、不慮な事故で亡くなるなどした場合、体はその場に残っていても、魂は波動となり、行方不明になる。その魂の行方が、死後の世界といえる。量子もつれと呼ばれる現象を説明すれば、納得がいきやすい。素粒子が、距離に関係なく、互いに影響をし合うとの説である。例えば地球と、5800万光年離れたＭ87銀河に属する恒星の周りを回る惑星に、それぞれ一つずつ箱を置いたとする。光の速度では5800万年を要するとはいえ、二つの箱の中身同士は瞬時に通じてしまう。素粒子の世界では地球の箱を開けて、中身が物質Ａとすると、5800万光年先の惑星の箱では物質Ｂと確定する。我々日常の世界では、箱の中身は見えなくても、入っている物はわかっている。素粒子の世界では、箱の中身を開けたことにより、物質が確定するのだった。
量子もつれによる遠隔作用により、距離に関係なく、物質同士が相互作用を及ぼしていた。かの有名なアインシュタインは「奇妙な遠隔作用」と呼んだ。なぜなら、量子の世界では、相対性理論は通用しないからである。現に光速不変の原理を打ち破り、数千光年離れた粒子同士でも、影響し合うのである。ユダヤ教の教えに従い、彼は偶然性を信じなかった。「神はサイコロを振らない」との言葉で、量子力学を批判した。
量子もつれと呼ばれる現象を実験で証明したジョン・クラウザー博士、アラン・アスペ仏理工科学校教授、ウィーン大のアントン・ツァイリンガー名誉教授は、2022年のノーベル物理学賞を受賞した。
量子論の世界は、心理学とも共通している部分がある。我々は、潜在的に身近な物や遠くの銀河の位置を知りたいとの欲求から観測を行う。見えない物質や人や動物の魂の行方については、科学的な知見や神の教えに基づき、推論する。観測や推論には、必ず「意識」が介在している。
量子もつれの現象と死後の世界を関連付けたのは、量子脳理論の提唱者アメリカ人の麻酔科医師「スチュワート・ハメロフ（1947年7月16日生まれ）」と「ロジャー・ペンローズ（1931年8月8日生まれ）」である。
写真（右ハメロフ氏、左ペンローズ氏） 掲載元 量子脳理論について リンク ヤギコーチ 死後の世界は量子物理学で証明できる！あの世を量子論で説明しよう https:/
スチュワート・ハメロフは、以下の仮説を立てた。
・宇宙には、ビッグバン発生時には既に存在していたであろう「原意識」というものがある。
・人は死ぬと脳内の意識が「量子もつれ」によって、宇宙空間に存在する「原意識」とつながるのだ。
原意識とは、いわゆる神様のことをさす。我々の肉体が死を迎えても、脳内の意識は、量子もつれにより、宇宙空間に存在する神様と初めて顔を合わせる。
もう1人の提唱者ロジャー・ペンローズは、2020年にノーベル物理学賞を受賞した大物である。彼は、量子力学の標準的な「コペンハーゲン解釈」に異を唱えていた。
コペンハーゲン解釈の理論
�� 測前にものは波として広がりを持っていたこと、��観測時点にものは粒子として一点に収束したこと、��どこにどの様に収束するかは、波動関数より確率で求められることの三点以外は考えない
l
コペンハーゲン解釈によると、波動関数は観測によって収縮する。彼自身は異なる考えを示した。新たに発表した客観的収縮論では、波動関数の収縮と観測の関係性を否定した。あくまでも重力によって波動関数の収縮が起こると主張したのである。
波動関数の収縮とは、素粒子の一つ原子核の周りを回る電子が、「波」であり、「粒子」であるとの見方を繋ぐ理論である。電子は、我々その位置を観測しないうちは「波」として振る舞う。写真乾板に焼き付けるなどして「観測」すると、「粒子」としてはっきりと決まった場所にとどまる。いっけん矛盾する「波」から「粒子」への「波動関数の収縮」（*17）の過程を通して、電子がどこで観測されるかの「確率」が決まる。量子力学は、観測の「確率」を弾き出す。
詳細 考える人 ロジャー・ペンローズ インタビュー 2020年10月22日付け https:/
丁度16年前に、我々の世界から旅立った坂井泉水は、歌を通して、バブル崩壊後、世の中が暗い雰囲気に包まれる中、一筋の希望を灯した。
今は、神のような存在として、我々の世界でも生きつづけている。2019年9月18日（水）に、ZARDの意思を告ぐトリビュートバンドの「SARD UNDER GROUND」が、1st ALBUM 「ZARD Tribute」でデビューした。彼女たちを支えるプロデューサーや、ディレクターを含むスタッフの多くは、ZARD時代から引き継がれている。デビューに至った経緯も、運命的だった。当時メンバーは4人、メジャーデビューを夢見て、ZARDが属した音楽グループ「B-ZONE(2023年3月31日迄の名称B-ing )」が開校したGIZA MUSICに通っていた。それぞれ、個別にレッスンを受ける中、講師の紹介により、ZARDのプロデューサーであり、B-ZONEの代表取締役を務める長戸大幸（ながとだいこう）氏の目にとまった。4人は、それぞれZARDの作品に共鳴し、レッスン生時代から、過去の名曲を練習していたという。量子もつれにたとえると、遠い彼方の世界へと旅立った坂井泉水とSARD UNDER GROUNDのメンバーは、共通点がある。互いを結びつけるのは、音楽だったのである。彼女たちの原意識の中にある坂井泉水と通じていた。2021年5月28日に、体調不良を理由にギターリストの脱退に伴い、3人での活動を続けている。
写真＝SARD UNDER GROUNDのメンバー 神野友亜ツィッター 2023年5月26日付
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外部リンク 量子もつれ No＋e
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<ZARD坂井泉水が育った丹沢山麓秦野市を中心に旅する 2023年第8回目 5月21日（日）遠い日のnostalgia ＞
2023年5月21日、午前中は、神奈川県伊勢原市へ、午後から西隣の秦野市へと移動する。
朝一番訪れた伊勢原運動公園の帰り道、「片町十字路バス停」前のアジサイが、花を咲かせていた。
午前9時代には、由緒ある史跡が点在する三ノ宮町に向った。小田急線の伊勢原駅から北西へおよそ5ｋｍ、20日（土）と21日（日）には、比々多神社にて、勾玉祭が開催されていた。周辺の360ある古墳から出土した遺跡は、境内の博物館で保管されている。ネックレスのみ撮影が認められた。周囲の古墳群は、慣れた人と同行しない限り、見つかりにくいという。
詳細 トラベルjp https:/
神社の周りには、レンゲの花が育っていた。幹線道路から離れ、古くから農業が行われてきた三ノ宮町は、日本の原風景といえる我々ヒトが自然の中に溶け込んだ里山が残っていた。
高校時代の3年間、伊勢原市へ通ったZARDの坂井泉水は、故郷を懐かしむ青年を描いた歌詞を発表した。92年9月2日に発売された4ｔｈアルバム「HOLD ME」に収録された遠い日のNostalgiaは、まさに里山を彷彿とさせる曲である。
Ｂメロの冒頭の歌詞：「ひっそりと、息を止めたアルバムには、途切れた幸福のHistoly」
写真＝遠い日のNostalgia BメロのＭＶより
都会へ出て、故郷に戻ってきた青年が、アルバムをめくるうちに、心の中の針が止まっていることに気付かされる。
続く歌詞：「二人とも明日の行方知らない笑顔、無邪気な昔 胸が痛い」
将来何が起こるか、見当がつかない。歌詞が発表された92年、バブルの絶頂期が過ぎて、日本経済にもかげりが見えてきた。悩みがなく、学生時代を送っていると、気になった男女が出会い、恋に落ちる。いざ就職が迫り、社会人として歩もうとすると、互いに生活スタイルの違いから、別れるきっかけになりやすい。
坂井泉水は、サビヘ繋がる歌詞で次のように表現していた。
歌詞：「やっぱりだめだよ、今でも気になっているから 話せばゆるしてくれた？」
一度恋に落ちると、簡単には相手のことを忘れられない。正直に全てを打ち明ければ、今でも仲が続いていたのかもしれない、と自問自答する。
古来より「運命は全て決まっている。すべては起るべくして、起った」との見方はあった。いわゆる運命論は、ギリシア悲劇、中国の天命説、仏教の因果応報思想、イスラム教やキリスト教の予定説などにもある。
物理学からも、運命論について語れる。あの万有引力の法則、自由落下の法則を含め「ニュートン力学」によると、我々目に見えるマクロの世界では、原理的に運命は決まっている。対して、量子の世界では、運命は分からないのである。あの1928年に発表されたハイゼンベルクの不確定性原理によると、位置と運動量を同時に正確に計測することはできない。つまり、何が起るのか、予測不可能である。
写真 掲載元 高校物理を諦める前に 円運動の方程式よりhttps:/
マクロな世界を構成する物質をさらに細かくすると、ミクロな世界にいきつく。二つの世界を繋ぐ学問のことを「統計力学」という。統計力学では、物質を構成する無数の粒子（分子，原子など）の性質・行動を確率論的に処理することによって巨視的な諸現象を説明しようとする物理学の一部門。 気体分子運動論に始まり，ボルツマンとギブズにより体系が確立された。
運命は例え決まっていても、我々は知る術がない。坂井泉水は、39歳で子宮頸がんを発症し、摘出手術の成功により、一端は快方に向った。翌年には肺に転移し、抗がん剤投与を余儀なくされた。癌に罹患するリスクは、いくつかある。お酒を飲み、タバコを吸う人ほど、発生率が高くなる。遺伝子検査により、将来の疾病リスクを明らかにすることにより、食事メニューの見直しや睡眠のとり方を改めるなど生活習慣の改善を含め、対策を練りやすい。また定期健診も欠かせない。早い段階で病巣を見つけると、手術後の経過も良く、再発や転移のリスクも減らせる。現在遺伝子検査は、固形癌の患者のみ対象になっている。
もし我々が予め、未来を知ることが出来たら、運命に恐ろしさを感じて、希望が持てなくなるかもしれない。遠い先のことよりも、現在置かれた自分の立場を理解し、最大限能力を発揮することが求められている。
第2章 戸川公園へ
午後から訪れたのは、神奈川県立はだの戸川公園である。園内一体黄緑のパステルカラーに染まっていた4月中旬と一転して、緑が一段と濃くなっていた。バス停大倉側から風のつり橋を挟んで反対側では、センダンの木が花を咲かせている。
風のつり橋の麓の茶店の敷地内とすぐ外で、センダンの花が丁度見頃を迎えていた。水辺には、ヒメウツギも咲いている。
風のつり橋を背景としたセンダンの花の写真から、戸川公園らしさをアピールできる。
麓では、水遊びをする親子連れの姿があった。川遊びとはいえ、水量は踝程の高さになる。大雨の日には、立ち入り規制が入るとはいえ、増水の危険性はなく、安心して子供たちを遊ばせておける。下流側へ進むと、滑り台と階段を備えた昇降型の遊具を使う子供たちの姿があった。
青年期進路に躓くと、子供時代を振り返る。
サビの歌詞にも現れていた。
歌詞：「あの日言えなかった言葉は今も この胸の中で眠っている」
気になった人へ、思いを伝えられず、つらい胸のうちを抱えていた。人は、自己の言動に対して責任を持つ。学生から社会人へ、人生の一歩を踏み出すとき、将来家庭を気付くことを現実的に考えるようになる。時はバブル崩壊時、経済が下向きになる中、人生設計を立てにくい。決断を先延ばしにしたことにより、気持ちを引きずってしまった。
続く歌詞：「あの時 もう少し大人になれば 後悔は半分ですんだのに It’s too late 遠い日のNostalgia」
過去に立ち戻った青年、結末はＣメロのサビに書かれている。
第3章 今泉名水桜公園 渋沢丘陵・今泉町の高台からのトワイライト夜景
夕方訪れた今泉名水桜公園では、アジサイの花が色づき始めていた。坂井泉水が好きだったカラーの花は、水際に育っている。花期は6月から7月であるものの、昨年12月でも一部咲いていた。
秦野駅から徒歩5分の立地にある公園は、日本名水百選「秦野盆地湧水群」に含まれている。無料の駐車場も南側に12台、北側に5台設けられ、遠方からの家族連れも訪れやすい。北側のやや奥まった箇所にある東屋に腰を落ち着けると、足元を流れる水音が、耳によく響く。
人の人生は、全て決まっているのか、20世紀に量子力学が登場する前、フランスの数学者ピエール＝シモン・ラプラス（1749年3月23日―1827年3月15日）は、世の中の出来事は、起こるべくして起こったと、考えていた。ニュートン力学（古典派物理学）の信望者の彼は、因果律に基づいて、未来の決定論を論じた。1812年に発表した著書「確立の解析理論」に、独自の理論を説明している。
物理的に解析能力を持つがゆえに、未来まで完全にわかってしまう。人の人生を左右する見えない存在を「ラプラスの悪魔」と呼ぶ。
ラプラスの時代から1世紀後に生まれた量子力学では、ミクロの物質がランダムに変化することにより、確率的にしか決められないと、新たな学説が発表された。
オーストリア出身の物理学者シュレーディンガー（1887年8月12日 - 1961年1月4日）は、思考実験を重ねた末、ある一つの奇妙アイディアをひらめいた。一般の人々にも分かりやすくミクロな世界の性質を説明した。思考実験の中で用意するのは、2匹の猫、放射線検出器＆ハンマー、毒ガスである。もう一つの鍵を握るアイテムは、ウランやラドンなど放射性元素である。未確定な動きをする量子を2匹の猫に例え、一匹ずつそれぞれ箱の中に閉じ込めた。それぞれの箱には、放射線検出器に装着したハンマーの前に、放射性原子を置く。
2つの箱のうち、一つの箱では放射性原子が崩壊し、検出器が反応すると、振動によってハンマーが振り下ろされる。ガラス瓶が割れて、毒ガスが流出したことにより、密閉状態の箱の中で猫は窒息死した。対照的にもう一つの箱では、放射性崩壊は起こらず、毒ガス自体も瓶に閉じ込められたままだった。従って猫は、箱を開けられた瞬間、生還を果たした。
写真 掲載元 理論物理入門 「シュレディンガーの猫」の解説｜量子論のパラドックス」2021年8月25日付け https:/
シュレーディンガーの猫の理論から、生きている猫と亡くなった猫の世界へ分岐することにより、新たに「多世界解釈理論」へと発展した。コペンハーゲン解釈では、観測することにより、波動関数が収縮すると説く。一方多世界解釈理論では、量子的に振る舞い続け、いくつかの世界に分岐する。1957年に、当時プリンストン大学の院生だったヒュー・エヴェレット三世(1930年11月11日―1982年7月19日)によって提唱された。多世界解釈によると、いくつもの宇宙が泡のように誕生する。いわゆる並行宇宙マルチバースである。
以下 多世界解釈理論と共にビッグバンについて書いた日記 2022年5月20日（金）
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我々の世界では、坂井泉水は2007年5月27日に、闘病中の転落事故により、息を引き取った。12年の時を経て、レコード会社B-ZONEにより、後継バンドの結成に向けて、プロジェクトが進んだ。2019年9月18日にデビューした「SARD UNDER GROUND」によって、過去の名曲が歌い継がれた。一方の世界では、転落事故が起きずに、そのまま治療を受けて、癌を克服し、無事に音楽活動を続けている可能性もある。現に我々の世界では、闘病中、ノートに歌詞を書き、同2007年秋から3年ぶりのツアー計画を練っていたという。
量子力学的にいえば、光の速度に関係なく、離れた場所と通じ合う。坂井泉水とSARD UNDER GROUNDのメンバーは、確かに思いを共有していた。
舞台の最後は、今泉名水桜公園から、およそ2ｋｍ弱、震生湖へと繋がるハイキングコースの途中にある、標高190ｍ渋沢丘陵・今泉町の高台である。
秦野駅周辺の町並みと共に、丹沢山塊の峰々が背骨のように連なる。丘陵地の天辺の畑地には、人影がなく、静寂に包まれていた。畑地の合間を走る道路に身を置き、撮影する。5月21日のトワイライトタイムはちょうど午後7時から始まった。
この日雲がかかっていたとはいえ、空気が澄んでいたことにより、空は青みを帯びていた。秦野の町と若干距離がある分、トワイライトタイム開始時は、全体的に青っぽく写りやすい。暗くなっていく空と街明かりと溶け合う午後7時5分ごろからシャッターを切る。
19時5分撮影
遠い日のNostalgiaのＣメロのサビの歌詞
「あの日言えなかった言葉は今も この胸の中で眠っている。あの時もう少し勇気を出せば、君を失わずにすんだかも It’s too late 遠い日のNostalgia．．．」
19時10分撮影
静かな高台から、盆地の明かりを眺めることにより、いくらか救われた気持ちになる。
19時14分撮影
宇宙スケールにおいて、この先の出来事が全て見えるとの考え、いわゆる未来を見通せる悪魔の存在は、現代物理学者によって否定された。ラプラスの悪魔は、ＳＦのモチーフになるとはいえ、架空の存在といわれている。量子力学においては、予測不可能に粒子が、変化することにより、未来は分からないことになる。
我々人は、過去に戻ることはできない。未来を100％予測することは出来ないとはいえ、行動次第によっては、変えることができる。
坂井泉水は、社会情勢や未来への展望などを物語の中に織り込んでいた。遠いNostalgiaが発表された92年、日本は経済成長が止まった時期と重なる。国際情勢もまた一つの時代の終わりを迎えていた。旧ソ連圏では、通貨ルーブルの暴落による3桁のインフレ時代に入った。同年4月26日には、東欧の旧ユーゴスラヴィアの社会主義体制が終焉した。旧ユーゴスラヴィアは、各共和国間で領土問題を巡る争いが起きたとはいえ、現在は落ち着いている。旧ソ連内では、ロシア軍によるウクライナ侵攻を初め、アルメニアとアゼルバイジャンの係争地ナゴルノ・カラバフ紛争など、領土を巡る攻防が続く。京都府程の広さに15万人が暮らすナゴルノ・カラバフ問題は、2023年に進展があった。5月22日に、アルメニアのパシニャン首相が、現地に暮らしているアルメニア人の安全と引き換えに、アゼルバイジャンの実行支配地域を認める発言をした。2022年以降、ＥＵが仲裁に入ることにより、領土問題は少しずつ解決に向っている。対照的にロシア軍によるウクライナ侵攻は続く。2022年末から激戦が繰り広げられていたドネツク州バフムトでは、5月25日付けで民間軍事会社ワグネルが、撤退を表明し、ロシア正規軍に引き渡すと表明した。一方ウクライナ側は、ゼレンスキー大統領が5月に、欧州やアラブ地域、サミット開催地日本の広島を訪れ、積極的な外交により、支援を訴える。アメリカからはＦ16戦闘機の供与を受けた。NATO諸国から戦車を含め、戦闘機を受け取り、反転攻勢へ向けて準備を整えている。
平和憲法の下、日本の高度経済成長期の1967年2月6日に平塚市で産まれ、秦野市で育った坂井泉水は、何不自由なく暮らし、読書や詩を書く以外にも、スケッチをする習慣を持っていたという。
写真 掲載元 Boooo shit http://
写真に写った坂井泉水は、清楚な姿から花に例えられるほど、透明感が漂う。彼女の思いは、曲や詞（し）を通して、この世界に残されていた。16年前突如別れを告げた後も、人々の心の中で生き続けている。
過去の坂井泉水の命日となる5月27日の日記
2022年 マルチバース理論から坂井泉水の今を考察 https:/
前回 2023年5月19日付け 揺れる想いリリース30周年記念
https:/
5月27日(土)、ZARDの坂井泉水の17回忌を迎えた。彼女がこの世をさってはや16年、今なお人々の心の中に残っている。
写真＝2023年 献花台 https:/
この世から突如旅立った坂井泉水は、果たして今どこへ行ってしまったのか、インドの哲学では、「輪廻転生」という言葉がある。人は何度も生と死を繰り返し、また新しく生まれ変わるという。今回物理学を駆使して、死期の世界を含め、坂井泉水の行き先について考察する。
第1章 量子力学
物質の最小単位素粒子を扱う量子力学は、20世紀に発展した分野である。実に奇妙な性質を持ち、相対性理論の産みの親であるアインシュタインを困らせた。我々の日常生活で、素粒子の役割について実感する機会はない。素粒子は、人の体を構成する原子の元になった。我々の体は、60％から80％は水で出来ている。水とは、化学式でH2O水素原子と酸素原子が、それぞれ不対電子を出し、共有電子対を作ることにより、結合する。物理学では、「共有結合」という。
画像 掲載元 分子と共有結合 https:/
原子の世界を分解すると、実は密度が低くスカスカなのである。甲子園球場を原子に置き換えると、原子核は1円玉程度の大きさにしかならない。1円玉程度の大きさの原子核を球場の中心に置くと、さらに小さな電子は客席を周回運動している。原子核と電子は、一見距離的に近いように見えても、実は大きく離れていた。
量子の世界では、我々の一般常識はあてはまらない。あるときは物質として、またある時は波のように振舞う。奇妙な動きをすることにより、物理学者は、異なる世界を開く扉があるのではないか推論をたてた。
なぜなら、粒子と波動の二重性を持つ素粒子は、ＳＦの世界に出てくるワープ航法の理論を裏付けているからである。物質としてその場所にあった素粒子が、波動になると、消えていく。つまり、我々人に当てはめると、第三者から観測されることにより、物質として確定し、この世に存在することになる。
量子の性質を理解するうえで、二次大戦前に科学者が考案した二重スリット実験が、1961年に初めて行われた。https:/
ＡＢ二つの穴が開いた板に向かって電子を飛ばすと、奥のスクリーンはどう映るのか、電子の数に応じて、点が現れた。センサーで計測すると、通った穴がＡかＢか判明しなかった。次にひとつずつ大量の電子を連続で打つとどうなるか。スクリーン上には点が増えるとはいえ、均一ではなく、波の干渉による縞模様がきざまれていた。通常、波が二つの穴を通過すると、二つの穴から出たときに半円の波が二つできる。二つの波はお互いに干渉し重なりあった結果、高くなる。実のところ電子一つのみでも、波の干渉が現れるのである。ニュートン力学では説明できない現象だった。
もし病気や老衰、不慮な事故で亡くなるなどした場合、体はその場に残っていても、魂は波動となり、行方不明になる。その魂の行方が、死後の世界といえる。量子もつれと呼ばれる現象を説明すれば、納得がいきやすい。素粒子が、距離に関係なく、互いに影響をし合うとの説である。例えば地球と、5800万光年離れたＭ87銀河に属する恒星の周りを回る惑星に、それぞれ一つずつ箱を置いたとする。光の速度では5800万年を要するとはいえ、二つの箱の中身同士は瞬時に通じてしまう。素粒子の世界では地球の箱を開けて、中身が物質Ａとすると、5800万光年先の惑星の箱では物質Ｂと確定する。我々日常の世界では、箱の中身は見えなくても、入っている物はわかっている。素粒子の世界では、箱の中身を開けたことにより、物質が確定するのだった。
量子もつれによる遠隔作用により、距離に関係なく、物質同士が相互作用を及ぼしていた。かの有名なアインシュタインは「奇妙な遠隔作用」と呼んだ。なぜなら、量子の世界では、相対性理論は通用しないからである。現に光速不変の原理を打ち破り、数千光年離れた粒子同士でも、影響し合うのである。ユダヤ教の教えに従い、彼は偶然性を信じなかった。「神はサイコロを振らない」との言葉で、量子力学を批判した。
量子もつれと呼ばれる現象を実験で証明したジョン・クラウザー博士、アラン・アスペ仏理工科学校教授、ウィーン大のアントン・ツァイリンガー名誉教授は、2022年のノーベル物理学賞を受賞した。
量子論の世界は、心理学とも共通している部分がある。我々は、潜在的に身近な物や遠くの銀河の位置を知りたいとの欲求から観測を行う。見えない物質や人や動物の魂の行方については、科学的な知見や神の教えに基づき、推論する。観測や推論には、必ず「意識」が介在している。
量子もつれの現象と死後の世界を関連付けたのは、量子脳理論の提唱者アメリカ人の麻酔科医師「スチュワート・ハメロフ（1947年7月16日生まれ）」と「ロジャー・ペンローズ（1931年8月8日生まれ）」である。
写真（右ハメロフ氏、左ペンローズ氏） 掲載元 量子脳理論について リンク ヤギコーチ 死後の世界は量子物理学で証明できる！あの世を量子論で説明しよう https:/
スチュワート・ハメロフは、以下の仮説を立てた。
・宇宙には、ビッグバン発生時には既に存在していたであろう「原意識」というものがある。
・人は死ぬと脳内の意識が「量子もつれ」によって、宇宙空間に存在する「原意識」とつながるのだ。
原意識とは、いわゆる神様のことをさす。我々の肉体が死を迎えても、脳内の意識は、量子もつれにより、宇宙空間に存在する神様と初めて顔を合わせる。
もう1人の提唱者ロジャー・ペンローズは、2020年にノーベル物理学賞を受賞した大物である。彼は、量子力学の標準的な「コペンハーゲン解釈」に異を唱えていた。
コペンハーゲン解釈の理論
�� 測前にものは波として広がりを持っていたこと、��観測時点にものは粒子として一点に収束したこと、��どこにどの様に収束するかは、波動関数より確率で求められることの三点以外は考えない
l
コペンハーゲン解釈によると、波動関数は観測によって収縮する。彼自身は異なる考えを示した。新たに発表した客観的収縮論では、波動関数の収縮と観測の関係性を否定した。あくまでも重力によって波動関数の収縮が起こると主張したのである。
波動関数の収縮とは、素粒子の一つ原子核の周りを回る電子が、「波」であり、「粒子」であるとの見方を繋ぐ理論である。電子は、我々その位置を観測しないうちは「波」として振る舞う。写真乾板に焼き付けるなどして「観測」すると、「粒子」としてはっきりと決まった場所にとどまる。いっけん矛盾する「波」から「粒子」への「波動関数の収縮」（*17）の過程を通して、電子がどこで観測されるかの「確率」が決まる。量子力学は、観測の「確率」を弾き出す。
詳細 考える人 ロジャー・ペンローズ インタビュー 2020年10月22日付け https:/
丁度16年前に、我々の世界から旅立った坂井泉水は、歌を通して、バブル崩壊後、世の中が暗い雰囲気に包まれる中、一筋の希望を灯した。
今は、神のような存在として、我々の世界でも生きつづけている。2019年9月18日（水）に、ZARDの意思を告ぐトリビュートバンドの「SARD UNDER GROUND」が、1st ALBUM 「ZARD Tribute」でデビューした。彼女たちを支えるプロデューサーや、ディレクターを含むスタッフの多くは、ZARD時代から引き継がれている。デビューに至った経緯も、運命的だった。当時メンバーは4人、メジャーデビューを夢見て、ZARDが属した音楽グループ「B-ZONE(2023年3月31日迄の名称B-ing )」が開校したGIZA MUSICに通っていた。それぞれ、個別にレッスンを受ける中、講師の紹介により、ZARDのプロデューサーであり、B-ZONEの代表取締役を務める長戸大幸（ながとだいこう）氏の目にとまった。4人は、それぞれZARDの作品に共鳴し、レッスン生時代から、過去の名曲を練習していたという。量子もつれにたとえると、遠い彼方の世界へと旅立った坂井泉水とSARD UNDER GROUNDのメンバーは、共通点がある。互いを結びつけるのは、音楽だったのである。彼女たちの原意識の中にある坂井泉水と通じていた。2021年5月28日に、体調不良を理由にギターリストの脱退に伴い、3人での活動を続けている。
写真＝SARD UNDER GROUNDのメンバー 神野友亜ツィッター 2023年5月26日付
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外部リンク 量子もつれ No＋e
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<ZARD坂井泉水が育った丹沢山麓秦野市を中心に旅する 2023年第8回目 5月21日（日）遠い日のnostalgia ＞
2023年5月21日、午前中は、神奈川県伊勢原市へ、午後から西隣の秦野市へと移動する。
朝一番訪れた伊勢原運動公園の帰り道、「片町十字路バス停」前のアジサイが、花を咲かせていた。
午前9時代には、由緒ある史跡が点在する三ノ宮町に向った。小田急線の伊勢原駅から北西へおよそ5ｋｍ、20日（土）と21日（日）には、比々多神社にて、勾玉祭が開催されていた。周辺の360ある古墳から出土した遺跡は、境内の博物館で保管されている。ネックレスのみ撮影が認められた。周囲の古墳群は、慣れた人と同行しない限り、見つかりにくいという。
詳細 トラベルjp https:/
神社の周りには、レンゲの花が育っていた。幹線道路から離れ、古くから農業が行われてきた三ノ宮町は、日本の原風景といえる我々ヒトが自然の中に溶け込んだ里山が残っていた。
高校時代の3年間、伊勢原市へ通ったZARDの坂井泉水は、故郷を懐かしむ青年を描いた歌詞を発表した。92年9月2日に発売された4ｔｈアルバム「HOLD ME」に収録された遠い日のNostalgiaは、まさに里山を彷彿とさせる曲である。
Ｂメロの冒頭の歌詞：「ひっそりと、息を止めたアルバムには、途切れた幸福のHistoly」
写真＝遠い日のNostalgia BメロのＭＶより
都会へ出て、故郷に戻ってきた青年が、アルバムをめくるうちに、心の中の針が止まっていることに気付かされる。
続く歌詞：「二人とも明日の行方知らない笑顔、無邪気な昔 胸が痛い」
将来何が起こるか、見当がつかない。歌詞が発表された92年、バブルの絶頂期が過ぎて、日本経済にもかげりが見えてきた。悩みがなく、学生時代を送っていると、気になった男女が出会い、恋に落ちる。いざ就職が迫り、社会人として歩もうとすると、互いに生活スタイルの違いから、別れるきっかけになりやすい。
坂井泉水は、サビヘ繋がる歌詞で次のように表現していた。
歌詞：「やっぱりだめだよ、今でも気になっているから 話せばゆるしてくれた？」
一度恋に落ちると、簡単には相手のことを忘れられない。正直に全てを打ち明ければ、今でも仲が続いていたのかもしれない、と自問自答する。
古来より「運命は全て決まっている。すべては起るべくして、起った」との見方はあった。いわゆる運命論は、ギリシア悲劇、中国の天命説、仏教の因果応報思想、イスラム教やキリスト教の予定説などにもある。
物理学からも、運命論について語れる。あの万有引力の法則、自由落下の法則を含め「ニュートン力学」によると、我々目に見えるマクロの世界では、原理的に運命は決まっている。対して、量子の世界では、運命は分からないのである。あの1928年に発表されたハイゼンベルクの不確定性原理によると、位置と運動量を同時に正確に計測することはできない。つまり、何が起るのか、予測不可能である。
写真 掲載元 高校物理を諦める前に 円運動の方程式よりhttps:/
マクロな世界を構成する物質をさらに細かくすると、ミクロな世界にいきつく。二つの世界を繋ぐ学問のことを「統計力学」という。統計力学では、物質を構成する無数の粒子（分子，原子など）の性質・行動を確率論的に処理することによって巨視的な諸現象を説明しようとする物理学の一部門。 気体分子運動論に始まり，ボルツマンとギブズにより体系が確立された。
運命は例え決まっていても、我々は知る術がない。坂井泉水は、39歳で子宮頸がんを発症し、摘出手術の成功により、一端は快方に向った。翌年には肺に転移し、抗がん剤投与を余儀なくされた。癌に罹患するリスクは、いくつかある。お酒を飲み、タバコを吸う人ほど、発生率が高くなる。遺伝子検査により、将来の疾病リスクを明らかにすることにより、食事メニューの見直しや睡眠のとり方を改めるなど生活習慣の改善を含め、対策を練りやすい。また定期健診も欠かせない。早い段階で病巣を見つけると、手術後の経過も良く、再発や転移のリスクも減らせる。現在遺伝子検査は、固形癌の患者のみ対象になっている。
もし我々が予め、未来を知ることが出来たら、運命に恐ろしさを感じて、希望が持てなくなるかもしれない。遠い先のことよりも、現在置かれた自分の立場を理解し、最大限能力を発揮することが求められている。
第2章 戸川公園へ
午後から訪れたのは、神奈川県立はだの戸川公園である。園内一体黄緑のパステルカラーに染まっていた4月中旬と一転して、緑が一段と濃くなっていた。バス停大倉側から風のつり橋を挟んで反対側では、センダンの木が花を咲かせている。
風のつり橋の麓の茶店の敷地内とすぐ外で、センダンの花が丁度見頃を迎えていた。水辺には、ヒメウツギも咲いている。
風のつり橋を背景としたセンダンの花の写真から、戸川公園らしさをアピールできる。
麓では、水遊びをする親子連れの姿があった。川遊びとはいえ、水量は踝程の高さになる。大雨の日には、立ち入り規制が入るとはいえ、増水の危険性はなく、安心して子供たちを遊ばせておける。下流側へ進むと、滑り台と階段を備えた昇降型の遊具を使う子供たちの姿があった。
青年期進路に躓くと、子供時代を振り返る。
サビの歌詞にも現れていた。
歌詞：「あの日言えなかった言葉は今も この胸の中で眠っている」
気になった人へ、思いを伝えられず、つらい胸のうちを抱えていた。人は、自己の言動に対して責任を持つ。学生から社会人へ、人生の一歩を踏み出すとき、将来家庭を気付くことを現実的に考えるようになる。時はバブル崩壊時、経済が下向きになる中、人生設計を立てにくい。決断を先延ばしにしたことにより、気持ちを引きずってしまった。
続く歌詞：「あの時 もう少し大人になれば 後悔は半分ですんだのに It’s too late 遠い日のNostalgia」
過去に立ち戻った青年、結末はＣメロのサビに書かれている。
第3章 今泉名水桜公園 渋沢丘陵・今泉町の高台からのトワイライト夜景
夕方訪れた今泉名水桜公園では、アジサイの花が色づき始めていた。坂井泉水が好きだったカラーの花は、水際に育っている。花期は6月から7月であるものの、昨年12月でも一部咲いていた。
秦野駅から徒歩5分の立地にある公園は、日本名水百選「秦野盆地湧水群」に含まれている。無料の駐車場も南側に12台、北側に5台設けられ、遠方からの家族連れも訪れやすい。北側のやや奥まった箇所にある東屋に腰を落ち着けると、足元を流れる水音が、耳によく響く。
人の人生は、全て決まっているのか、20世紀に量子力学が登場する前、フランスの数学者ピエール＝シモン・ラプラス（1749年3月23日―1827年3月15日）は、世の中の出来事は、起こるべくして起こったと、考えていた。ニュートン力学（古典派物理学）の信望者の彼は、因果律に基づいて、未来の決定論を論じた。1812年に発表した著書「確立の解析理論」に、独自の理論を説明している。
物理的に解析能力を持つがゆえに、未来まで完全にわかってしまう。人の人生を左右する見えない存在を「ラプラスの悪魔」と呼ぶ。
ラプラスの時代から1世紀後に生まれた量子力学では、ミクロの物質がランダムに変化することにより、確率的にしか決められないと、新たな学説が発表された。
オーストリア出身の物理学者シュレーディンガー（1887年8月12日 - 1961年1月4日）は、思考実験を重ねた末、ある一つの奇妙アイディアをひらめいた。一般の人々にも分かりやすくミクロな世界の性質を説明した。思考実験の中で用意するのは、2匹の猫、放射線検出器＆ハンマー、毒ガスである。もう一つの鍵を握るアイテムは、ウランやラドンなど放射性元素である。未確定な動きをする量子を2匹の猫に例え、一匹ずつそれぞれ箱の中に閉じ込めた。それぞれの箱には、放射線検出器に装着したハンマーの前に、放射性原子を置く。
2つの箱のうち、一つの箱では放射性原子が崩壊し、検出器が反応すると、振動によってハンマーが振り下ろされる。ガラス瓶が割れて、毒ガスが流出したことにより、密閉状態の箱の中で猫は窒息死した。対照的にもう一つの箱では、放射性崩壊は起こらず、毒ガス自体も瓶に閉じ込められたままだった。従って猫は、箱を開けられた瞬間、生還を果たした。
写真 掲載元 理論物理入門 「シュレディンガーの猫」の解説｜量子論のパラドックス」2021年8月25日付け https:/
シュレーディンガーの猫の理論から、生きている猫と亡くなった猫の世界へ分岐することにより、新たに「多世界解釈理論」へと発展した。コペンハーゲン解釈では、観測することにより、波動関数が収縮すると説く。一方多世界解釈理論では、量子的に振る舞い続け、いくつかの世界に分岐する。1957年に、当時プリンストン大学の院生だったヒュー・エヴェレット三世(1930年11月11日―1982年7月19日)によって提唱された。多世界解釈によると、いくつもの宇宙が泡のように誕生する。いわゆる並行宇宙マルチバースである。
以下 多世界解釈理論と共にビッグバンについて書いた日記 2022年5月20日（金）
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我々の世界では、坂井泉水は2007年5月27日に、闘病中の転落事故により、息を引き取った。12年の時を経て、レコード会社B-ZONEにより、後継バンドの結成に向けて、プロジェクトが進んだ。2019年9月18日にデビューした「SARD UNDER GROUND」によって、過去の名曲が歌い継がれた。一方の世界では、転落事故が起きずに、そのまま治療を受けて、癌を克服し、無事に音楽活動を続けている可能性もある。現に我々の世界では、闘病中、ノートに歌詞を書き、同2007年秋から3年ぶりのツアー計画を練っていたという。
量子力学的にいえば、光の速度に関係なく、離れた場所と通じ合う。坂井泉水とSARD UNDER GROUNDのメンバーは、確かに思いを共有していた。
舞台の最後は、今泉名水桜公園から、およそ2ｋｍ弱、震生湖へと繋がるハイキングコースの途中にある、標高190ｍ渋沢丘陵・今泉町の高台である。
秦野駅周辺の町並みと共に、丹沢山塊の峰々が背骨のように連なる。丘陵地の天辺の畑地には、人影がなく、静寂に包まれていた。畑地の合間を走る道路に身を置き、撮影する。5月21日のトワイライトタイムはちょうど午後7時から始まった。
この日雲がかかっていたとはいえ、空気が澄んでいたことにより、空は青みを帯びていた。秦野の町と若干距離がある分、トワイライトタイム開始時は、全体的に青っぽく写りやすい。暗くなっていく空と街明かりと溶け合う午後7時5分ごろからシャッターを切る。
19時5分撮影
遠い日のNostalgiaのＣメロのサビの歌詞
「あの日言えなかった言葉は今も この胸の中で眠っている。あの時もう少し勇気を出せば、君を失わずにすんだかも It’s too late 遠い日のNostalgia．．．」
19時10分撮影
静かな高台から、盆地の明かりを眺めることにより、いくらか救われた気持ちになる。
19時14分撮影
宇宙スケールにおいて、この先の出来事が全て見えるとの考え、いわゆる未来を見通せる悪魔の存在は、現代物理学者によって否定された。ラプラスの悪魔は、ＳＦのモチーフになるとはいえ、架空の存在といわれている。量子力学においては、予測不可能に粒子が、変化することにより、未来は分からないことになる。
我々人は、過去に戻ることはできない。未来を100％予測することは出来ないとはいえ、行動次第によっては、変えることができる。
坂井泉水は、社会情勢や未来への展望などを物語の中に織り込んでいた。遠いNostalgiaが発表された92年、日本は経済成長が止まった時期と重なる。国際情勢もまた一つの時代の終わりを迎えていた。旧ソ連圏では、通貨ルーブルの暴落による3桁のインフレ時代に入った。同年4月26日には、東欧の旧ユーゴスラヴィアの社会主義体制が終焉した。旧ユーゴスラヴィアは、各共和国間で領土問題を巡る争いが起きたとはいえ、現在は落ち着いている。旧ソ連内では、ロシア軍によるウクライナ侵攻を初め、アルメニアとアゼルバイジャンの係争地ナゴルノ・カラバフ紛争など、領土を巡る攻防が続く。京都府程の広さに15万人が暮らすナゴルノ・カラバフ問題は、2023年に進展があった。5月22日に、アルメニアのパシニャン首相が、現地に暮らしているアルメニア人の安全と引き換えに、アゼルバイジャンの実行支配地域を認める発言をした。2022年以降、ＥＵが仲裁に入ることにより、領土問題は少しずつ解決に向っている。対照的にロシア軍によるウクライナ侵攻は続く。2022年末から激戦が繰り広げられていたドネツク州バフムトでは、5月25日付けで民間軍事会社ワグネルが、撤退を表明し、ロシア正規軍に引き渡すと表明した。一方ウクライナ側は、ゼレンスキー大統領が5月に、欧州やアラブ地域、サミット開催地日本の広島を訪れ、積極的な外交により、支援を訴える。アメリカからはＦ16戦闘機の供与を受けた。NATO諸国から戦車を含め、戦闘機を受け取り、反転攻勢へ向けて準備を整えている。
平和憲法の下、日本の高度経済成長期の1967年2月6日に平塚市で産まれ、秦野市で育った坂井泉水は、何不自由なく暮らし、読書や詩を書く以外にも、スケッチをする習慣を持っていたという。
写真 掲載元 Boooo shit http://
写真に写った坂井泉水は、清楚な姿から花に例えられるほど、透明感が漂う。彼女の思いは、曲や詞（し）を通して、この世界に残されていた。16年前突如別れを告げた後も、人々の心の中で生き続けている。
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