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2023年05月22日00:51

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見所は犯人逮捕のあと!「聖地には蜘蛛が巣を張る」

観たいなあと思っていた映画でしたが、最近ちょっと迷っていたのです。
前回レビューした「TAR」がほとんど楽しめなかったのに疲弊したのと、「聖地には蜘蛛が巣を張る」の監督の前作が「ボーダー 二つの世界」だと知ったからです。
「ボーダー 二つの世界」は、エグいシーンは確かに凄かったですが、全体的にはどうも自分に合わないと感じました。

結局、予定通り観たのですが、これは良かったですね!
実際にイランであった娼婦殺人事件を元にしたスリラーなのですが、事件自体はそれほど奇抜なものではありません。
娼婦を「不浄な存在」として世直しのつもりで殺人を行うサイコ野郎と、事件を追う女性ジャーナリスト。
この2人の視点で交互に事件を描いていくというものです。

犯人は最初から明かされている、というどころじゃなく、主役の1人です。
幼い子供達の良きパパとしての家庭生活の合間に、「ちょっとパチンコ行ってくる」レベルで殺人を行う!
全然すごい犯罪者でも何でも無いので、バイクでブラッと走って娼婦を探し、後ろに乗せて帰り、なんと自宅で殺害をするのです。
顔も丸出し。
でも、全然捕まらない!

まあ、映画では大体警察は無能です。
警察が活躍したら見せ場が無くなるからです。
「犬神家の一族」で、金田一が旅館で坂口良子とダベりながら飯を食っている間に、さっさと警察が犯人を逮捕してしまったら。
地井武男の生首をはじめとした楽しい場面がすべて無くなったあげく、金田一が日帰りですよ。
加藤武(警察)がバカを演じたから名作になったのです。
「ヨーシ、分かった!犯人は松子夫人だ!」
こんな事を言ったら、角川春樹に絞殺されていたでしょう。

対する女性ジャーナリストも、頭脳明晰でテキパキとした推理をする、わけじゃありません。
メチャクチャ気が強くて危険を顧みないというだけなので、当然危ない事になります。
この2人の泥仕合の様な対決、果たして・・・?

結果から言うと、犯人は逮捕されます。
こんな事を書くと、ネタバレ警察が猛スピードでやって来て、集団で羽交い絞めにされるかもしれません。
逮捕されなきゃ、それはそれで怒るくせに!
でも、この映画の見所はここからなのです。

正直、逮捕までの展開は予想の範疇でしたが、その後はグングン予想を超えてきます。
ここから先はもちろん、一切ネタバレはしません。
でも、監督が本当にやりたかった「意地の悪さ」満点な展開とシーンは、必見です。
特にスタッフロール前の、あの一連のシーンの凄さときたら。

はっきり言って、笑ってしまいました。
いや、結構笑っちゃう人はいるのではないですか。
こんな酷いシーンはなかなか見られないと思いますよ!
ここだけでも観た甲斐があったと思います。

もちろん、この映画の根底には、格差、ジェンダー、宗教といった社会問題が込められています。
でも、そんなテーマ等気にしなくとも、娯楽作品として楽しめる内容なので、「難しい映画かも」と躊躇している人には安心して欲しいと思います。
途中までは定石通りの面白さを、途中からは見た事の無い展開を、それぞれ楽しめると思います。
貧困&カルトの国ニッポンに住む我々には、結構身近な内容だと思いますし。

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