を読んだ。E・R・バローズ著/厚木淳訳
鉱山主ディヴィッド・イネスの出資によって、アブナー・ペリーの設計した地下試掘機が完成し、2人は試運転を開始。
ところが地中の圧力を甘く見ていたのか、一切進行方向を変えられない。
高熱地獄の中を延々と進んだ彼らがたどり着いたのは、地球の中央部を含む地底に広がる広大な世界ペルシダーだった。
そしてその世界にも人間が住んでいたが石器人並みの技術しか持ち合わせておらず、彼らは爬虫類のマハール族に支配されていた・・・。
地上の様子をほとんど語ること無く、いきなり地底へ潜っていくのにびっくり仰天。
ペルシダーに着いてからは火星シリーズでもおなじみの大冒険が繰り広げられるのだが、実はこちらの方が火星シリーズよりも過酷な条件になっている。
まず主人公ディヴィッドは上記の通り鉱山主であり、身体は鍛えているもののせいぜいスポーツマン止まりで、カーターのように戦士ではない。
またペルシダーは中央に地球の中心核が太陽として輝いている世界なので、ひたすら昼が続く。なので夜闇に乗じてというのが一切できないのだ。
そして仲間は頭はいいが老人のペリー以外は現地の原始人だけで、文明化されているマハール族と戦うにはあまりにも頼りない。
というわけで火星シリーズよりも絶望的な状況に陥りがちなのだ。
本書で再認識したのはバロウズが王道のSF作家だということでもあった。
上記ペルシダーの設定は荒唐無稽以外の何物でもないが、太陽の位置が変わらず東西南北さえ無い結果、時間の概念自体が無い世界になっているとか、地球の地底にある世界なのだから当然面積は地上よりは小さいのだが、陸地と海の関係が逆になっている(例えばアメリカ大陸の直下はほぼ同じ形の海になっている)結果、陸地の面積は地上よりも大きいとか、地底世界は重力が地表とは逆に働いているので地平線がなく、海は視界内でせり上がった挙げ句に空と溶け込んでいるという超ビッグスケールのスペースコロニーみたいな描写とか、マハールに聴覚がないのでテレパシーに似た能力で意思の疎通を行っているが、そのせいで音声による会話という概念が理解できておらず、人類に知能があるのにも気づいていないとか、全く異なる環境、生物は人間とは全く異なる常識を構築するのを実にうまく描いているのだ。
化夢宇留仁的にはこれが描けることがSF作家の1つの条件ではないかと思っている。
最後にもう1つこの作品の特徴を挙げておく。
それは作中に究極のツンデレヒロインが降臨しているということである(笑)
彼女は勿論本作のヒロインである<美貌のダイアン>で、勿論<美貌の>も名前の一部なので自己紹介でもそう言う(笑)
それはいいとして(笑)、彼女のツンデレぶりはまさに究極と言えるもので、主人公ともども読者を憤慨の渦中に放り込むのだ。
決め台詞は「あなたなんか大嫌い!」である(笑)
ログインしてコメントを確認・投稿する