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2023年02月01日11:46

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昨年の令和4年早々に公開の日本映画を代表する今泉力哉=城定秀夫のコラボ2本、「愛なのに」「猫は逃げた」

 1月24日(火)に昨年の令和4年3月公開の日本映画「猫は逃げた」を観る。

「猫は逃げた」(今泉力哉)
「愛なのに」に続き今泉力哉=城定秀夫コラボの第2弾。今回は前作のポジションを逆転させ城定の脚本を今泉が演出した。女に妊娠を告げられ別れることを考えた男が、ひょんなことから子猫を拾い、女と二人で育てることから始まって結婚に至ってしまう。子供が出来たのが不協和音になり、ペットの存在が結びつきを強めてしまうとの、如何にも21世紀的な恋人関係が興味深い。結局のところ妊娠は嘘で、その程度の関係だからすぐにW不倫の関係になるが、そこに愛猫が巻き込れ「猫はかすがい」状況(時に「逆かすがい」)となり、4人の男女が繰り広げる人間喜劇が、才人・城定の溢れるアイディアでメチャ笑える展開となる。現代の若者の実態がホントはこうかどうかはさておき、今泉演出には相変わらずリアリティと説得力があった。前コラボ作「愛なのに」は性の深淵に迫った秀逸な今泉脚本に対して、ピンク出身の城定演出としては意外と濡れ場がおとなしめで逆に効果的だったのに対し、「猫は逃げた」の方は城定脚本に忠実なのか、今泉作品としてはかなり濡れ場が粘っこいが、こっちは空振りにしか見えなかった。いずれにしても、このコラボ作品2本、早々にして令和4年の日本映画を代表する傑作続きとなった。(よかった。ベストテン級)

 1月26日(木)に一昨年2021年3月公開の外国映画「野球少女」を観る。

「野球少女」(チェ・ユンテ)
リトルリーグで天才少女として大活躍したが、年を重ねれば男女の体力差も顕著になり、高校野球になると女子部員はたった一人。それでもそこそこの実績は残すものの、卒業後にプロ球団から指名交渉が来る訳もなく、韓国ではプロ選手に性別の制約は無いにせよ、トライアウトすら受ける自由も暗黙のルールでうまく進まない。それでも一筋にプロ選手に挑戦し、周囲はその道を活かした就職先も斡旋して、中にはかなり好意的なものもあるが、あくまでもコケの1年でプロ選手を目指す。ラストはハッピーともアンハッピーとも見えるが、魅惑的なのはヒロインを演じたイ・ジュニョクの一点を見詰めて揺るがない面魂だ。野球経験が無かったのを、特訓でここまで魅せたのもお見事。そこがこの映画の魅力のすべてと言える。実話が基だそうだが、彼女のその後はどうなったのだろう。(まあまあ)

 同26日(木)にピンク映画「神ってる快感 絶頂うねりびらき」も観る。

「神ってる快感 絶頂うねりびらき」(渡邊元嗣)
スナックでバイトしつつ作家を目指す津田篤。大学時代から才能を信じて編集長にプッシュする編集者の桜ちなみ。近くの神社に津田が神頼みしたらそこの女神・あかね葵がその一途さにうたれ惚れてしまい、現実世界に降臨するが、嫉妬深い男神・小滝正大が後を追って続いて降臨。津田のバイト先のママ・横山みれいの夫・ケイチャンはエロス神で津田の救出に走る。ママも神を夫にするくらいだから、そこそこ超能力があるみたいだ。ここまで紹介すれは判るように男女優各3人のピンクパターンの内、人間離れの存在が4人を占める例によっての元嗣流ブッ飛び映画であることが想像できよう。達者な男優陣の個性を活かした渡邊元嗣の手慣れた職人芸である。脚本がお馴染みの山崎浩治でなく、波路遥とのことだが新顔なのだろうか。(まあまあ)

 1月27日(金)に一昨年2021年6月公開の外国映画「1秒先の彼女」を観る。

「1秒先の彼女」(チュン・ユーヒュン)
何をするにもワンテンポ早いアラサー女子が、運命の恋に出会い素敵なバレンタインデーを迎えるはずが、その1日が消えて目覚めたら翌々日に…。そこまでが第1部。全く別人の視点から語り始められる第2部で、その真相が明かされて行く。それ以上はもう言うまい。全く異なる視点で語られる同じ1日の描写の、粋なこと粋なこと…。センスオブワンダーとはこういうのを言うのだろう。台湾アカデミー賞=金馬奨も納得の佳作であった。(よかった)

 1月28日(土)にピンク映画「たわわな気持ち 全部やっちゃおう」を観る。

「たわわな気持ち 全部やっちゃおう」(古澤健)
自主映画出身の古澤健ピンクデビュー作とのことである。巨乳ヒロイン松本菜奈実はエロライター。同棲相手の男が風俗通いをしていることを知り、そのリサーチを始めたことをキックにして、男女が輪舞関係に円環していく。脚本も古澤自身で、ピンク的な語りが達者であると思えた。続編と触れ込みの「たわわなときめき あなたの人生変わるかも」も前に観たが、続篇といっても菜奈実が自主映画監督の設定に変更されただけで連続性は無いけれど、こちらも男女優各3人のピンク定番で(終盤の変なゲージュッ気取りはさておき)キッチリ語られていた。有望新人の登場と言えよう。(まあまあ)

 1月29日(火)にピンク映画「大人の同級生 させ子と初恋」を観る。

「大人の同級生 させ子と初恋」(竹洞哲也)
高校時代にヤリマンで同性に嫌われていたなつめ愛莉と、陰気な性格で女友達がいなかった香山亜衣。東京に出て彼氏に振られ田舎にもどってきたなつめが、そこで出会った幼馴染とのあれこれ。過去の関係が微妙に交錯するあたりのキメ細かさは、深澤浩子脚本ならではだろう。ピンクの青春スター(という程に実は若くないだろうが)折笠慎也と細川佳央が、共に良い味を出している。(まあまあ)

 同じく29日(火)に一昨年2021年9月公開の外国映画キネ旬ベストテン第9位「MINAMATA−ミナマタ−」を観る。

「MINAMATA−ミナマタ−」(アンドリュー・レヴィタス)
ユージン・スミスの実話に基づき、ブラッド・ピットがスミスを演じた映画。「ライフ」の専属カメラマンだったが、商業主義傾斜に嫌気が差し、契約も解除されアルコール依存症に堕ちていく彼が水俣病を知り、社会正義に目覚め立ち直るまでの物語。地味な老けメークでもジョニデはジョニデ、時に現実の厳しさに嫌気も差すが、最後は信念を貫くハリウッド調のエンタテインメントになっている。陰で支えるビル・ナイの編集長に加え、日本の活動家として溌剌とした姿を見せる真田広之の他、日本サイドもオールスターの趣き。このド暗い題材を巧みに纏め上げるハリウッドはさすがである。原一男の大傑作「水俣曼荼羅」を知る身としては、深味にかなり欠けると思うが、環境破壊の恐ろしさを世界に訴える価値はあったろう。事実に基づくと言いながら、ハリウッド流盛り上げのセレクトだろうが、これでは日本が無法後進国にしか見えないのは、上手く纏めるテクニックとはいえやや不快である。(まあまあ)

 久々に自宅以外で映画を観た。といっても大した話ではない。自宅から600mほど離れた国分寺市立いずみホールで1日限定上映会があったので出向いただけである。(入場料500円)

 映画は「歎異抄をひらく」で、「善人なおもって往生を遂ぐ。いわんや悪人をや」に象徴される親鸞聖人の教えを、弟子達との(多分)劇的なフィクションを交え、解かり易く解説したアニメだ。平成元年公開のこの映画の存在は私の記憶になかったが、チラシによれば38週連続上映となっており、それなりのヒット作だったようだ。こんな映画もあったんですね。

 親鸞聖人の死後、その教えが異なり間違って流布され、歎いた弟子の壮賢がこの表題「歎異(異なるを嘆く)抄」を記したとのことだが、仏教でも聖書のように弟子が記した物があったのが興味深かった。もっとも、この程度の知識で感激していては、仏教に造詣の深い方には一笑に付されるかもしれない。

 チラシで石坂浩二(親鸞聖人の声を担当)が、「美しい画面」と評していたが、確かに京の景観の絵柄をスクリーンで観られたのは、自宅モニター画面とは一味ちがったと思う。

 前回日記から1月末までに観た映画は次の10本。

「葬式の名人」「猫は逃げた」「野球少女」「神ってる快感 絶頂うねりびらき」
「1秒先の彼女」「初恋」「たわわな気持ち 全部やっちゃおう」
「大人の同級生 させ子と初恋」「MINAMATA−ミナマタ−」
「歎異抄をひらく」

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