mixiユーザー(id:371669)

2022年12月20日14:30

202 view

今年の公開映画のCS放送が本格的にボチボチ始まる。気が早いが早くもベストワン候補の城定秀夫「愛なのに」。

 ボチボチ今年2022年公開映画のCS放映が始まったようだ。12月12日(月)に1月公開の「コレクダーズ〜ソウルに眠る宝刀を盗み出せ〜」を観る。

「コレクダーズ〜ソウルに眠る宝刀を盗み出せ〜」(パク・ジョンベ)
天才盗掘師と父親と妹の一家が、財界の大物で歴史的遺品・美術品の闇の収集家の財界の大物と美人遣り手秘書と取引して、伝説の歴史的刀剣を盗むミッションに挑戦するピカレスク・コンゲーム。展開はアレヨアレヨなので、内容の詳細は観てのお楽しみ、ここでは一切触れない。韓国映画がここまで洒落たエンタメが創れるとは、ホントに洗練されてきた。しかもドラマのベースに「恨」を置いているあたり韓流ならではの魅惑もキッチリ盛り込んでいる。天才盗掘師一家の協力者で、インディ・ジョーンズ気取りの学者と炭鉱夫あがりの穴掘り達人の相棒に加えて、遣り手美人秘書のチームとはまたお目もじしたい。続編も匂わせるエンディングだが、このメンバーの次のミッションは、朝鮮から日本が持ち出した歴史的遺品・美術品の奪還のようで、そうなると最近の盗品仏像を韓国が素直に返還しないニュースを想像させて日本人として気分はよくないが…。(よかった)

 12月13日(火)日に令和3年12月公開キネ旬ベストテン日本映画第3位「偶然と想像」を観る。

「偶然と想像」(濱口竜介)
 濱口竜介の人間観察の鋭さ・人間描写の素晴らしさは、私の眼を一瞬たりとも離すことを許さぬ魅惑的なことを以前に記したが、残念ながらの私の乏しい言語ではそれを表現不能だ。本作品の素晴らしさもその例に洩れないが、ここでは濱口作品の優れた映画的時間の適切さについて述べたい。

 私が最初に濱口作品に打ちのめされたのは、東京藝大修了作品の「PASSION」だった。5人の男女の日常の延長にある一夜の複雑な遣り取りを、概ねこういう作品はノンスターであると、誰が誰やら混乱させてしまうのだが、それがキッチリと描き分けられている演出に舌を巻いた。上映時間は今の映画のスタンダードである1時間45分である。

 この後、我々は6時間越え3部作「ハッピアワー」に出遭うのだが、私は少しも長いとも退屈とも思わなかった。この映画の主要人物は十数人、「PASSION」と同じ密度で人間描写を積み上げれば、この映画の長さは必然であった。

「偶然と想像」は40分前後の短編集3部作で、主要人物が第1,2部はいずれも3人、第3部は2人だ。濱口演出の魅惑を十二分に味わうのは、この長さが適切ということだろう。今回も私はタップリ濱口映画の人間描写の妙を堪能した。やつぱり、濱口映画はヘンな小細工のドラマ設定抜きで、日常を淡々と綴る物の方が、私は好きだ。

 最後に私の無い者ねだりの心情を吐露しておこう。第1,2部共に三角関係の映画であり、1部は男1人に女2人、2部は逆転して女2に男1人の筋立てだったので、第3部でどう大団円に持っていくか大いに期待したのだが、残念ながら最終章は女2人のドラマで、監督の意図ではそんな意味での連作のつもりはなかったようだ。まあ、好短編3本、続けて観られて満腹したことで良しとしよう。(よかった。ベストテン級)

 12月14日(水)に今年の令和4年2月封切の最新作「愛なのに」を観る。

「愛なのに」(城定秀夫)
 ピンク映画の偉才・城定秀夫は、自身の脚本作品でも十分に実力を発揮するが、他者の脚本家とのコラボではさらに十二分に魅力的になる。「アルプスタンドのはしの方」で、ついに一般映画のキネ旬ベストテン入選監督になったが、今回は今泉力哉との脚本コラボでそれ以上の傑作を誕生させた。

 SEXに対峙する姿勢において、乱暴に言えば男は2種のタイプに分けられると思う。人は精神の安定を求めるが、SEXもその延長上にあり、その障害になりそうならば躊躇するタイプである。もう一つは、まずは機会があればSEXに突入し、その後の想定される不安定状況には躊躇しないタイプだ。

 淡白(!)な私は、当然ながら前者であるが、この映画の古書店番の瀬戸康史も同タイプであろう。常連客の女高生・河合優美に突如「愛してます。結婚してください」とコクられて迫られる。(多くはないにせよ、女子高生が突然年上の男にを想いを寄せるのは珍しくないらしい)また、昔の勤め先で好きだった女・さとうはなみに、婚約者・中島歩が浮気したからと報復のための浮気も迫られる。

 瀬戸康史は、河合優美に対しては読書感想や手紙の受け取りなど丁寧に対応するが、機に乗じてフラチな行為に及ぶことはない。さとうはなみに対しては「それは良くないことだ」と拒絶するが、結局コンドーム2枚装着でイヤイヤ要求に応じる。

 こんな風に積極的に据え膳を喰おうとしないのは、男として駄目だと私は思わない。ヤルことにより精神の安定か揺らぐと思えば、精神の安定性を優先するのである。私はこの男を単なる事なかれ主義とも思えない。俗物的常識で本人の気持ちを無視して、援交と決めつけ詰問してきた河合優美の両親(母親は現役ピンク女優・佐倉萌が顔をチラリと見せているのが城定映画らしく楽しい)に対し、人を愛する心の大切さをぶつけ怒りを露わにするのである。

 私の乏しい経験では、妻以外では精神が安定せず、良いと思えなかったのは事実だ。(それ程に不倫経験があるわけじゃありません。為念)でも肉食系(失礼!)の荒井晴彦さんや池島ゆたか監督には、阿保な男としか見えないんだろうな(笑)。

 これと対照的なのが、さとうはなみの婚約者の中島歩だ。自分の結婚式のウェディングプランナー向理祐香とも、結婚祝いに集まった元同僚の集まりでコクられたらヤッッちゃうし見境無しだ。多分、彼は精神的安定とSEXは別物でしかないのだろう。

 城定作品は、さらにその奥に踏み込む。風俗経験も豊富だった向理祐香は、中島歩のSEXが超ヘタと決めつけるのである。彼の身勝手さがもたらした故なのか、その理由は不明瞭でホントかどうかも判らないので、我々は想像するしかないのだが、ならば精神の安定性を優先していた私のSEXは、身勝手ででヘタだったろうか。妻も亡く後期高齢者にして身体障害者になった身としては、もうどうでもいい世界だが、それでも昔の家内とのソノ件に関する会話(夫婦って結構アケスケにその話題で語り合うんですね)を思い出しつつ、ホントはどうなったんだろうと、回想と想像、いや妄想に耽るのであった。

 さとうはなみが、イヤイヤ応じられた瀬戸康史とのSEXに「感じた」のはどうしてだろう。単にフィアンセの中島歩がホントにヘタだっただけなのか、イヤイヤでも瀬戸康史に、昔好きだった女への想いが溢れていたからか。

 いずれにしてもコメディタッチも交えながら、プロレス同様の「底の丸見えの底なし沼」(元「週刊ファイト」I編集長の名言)であるSEXの深淵に想いを馳せさせてくれた城定秀夫の大傑作である。気が早いが、本年度公開日本映画(まだ5本しか観てないけど…)ベストワン候補と言ってもいいかもしれない。(よかった。ベストテン級)

 mixi日記を覗いていたら、マイミクのallusionさんが「いやぁ、ひさしぶりに笑った笑った」と「マイ・スパイ」を紹介している。私がCS録画してこれから観ようと思っていた作品だから、気難しい(スミマセン、私の勝手な思い込みです)allusionさんが、そんなに笑えるのはどんな映画だろうと思い、とりあえず表題だけにして観賞後の熟読を楽しみにする。

 いやぁ、面白い、楽しい映画でした。それこそ、こういうのはベストテン末席に置きたいなと思える快作でした。(ただ、この年の私のベストテン末席には「スター・ウォーズ」最終章がデンと座っていますので、テンが揺らぐことはありませんが…)その楽しさはallusionさんの日記で、ほぼ網羅されているので、ここではやや別の角度で述べたいと思います。

 冒頭の「あり得ない大活躍が笑え」るのは、正にallusionさんのおっしゃるとおりですが、私が予備知識無しで観て仰天したのは、主演デイヴ・バウティスタが、プロレスラーでWWEスーパースターのバティスタだったことです。

 WWEスーパースターのハリウッド進出はここのところ顕著で、ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンはもはやプロレスラーの枠を大きく超えたハリウッドスターだし、バティスタにしても「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のメンバーに参加しているけれども、ここまで芝居心があるとは思わなかった。

 WWEスーパースターとしてのバティスタは、善玉ヘビーフェースも悪玉ヒールも越えた存在で、どちらかと言えば凄玉と呼べる存在であり、最近は「ロック様」同様に特別出演的参加が多いが、ここまでハリウッドで柔軟に活躍の場を拡げているとは想像していなかった。ま、ブロレスラーはエンターテイナーでなければ務まらないのだから、この程度をこなせるのは当然かもしれない。

 この映画は一昨年1月に<未体験ゾーンの映画たち2020>で公開されたようだが、こんな快作が地味〜に紹介されていたのですね。

 前回日記から19日(月)までに観た自宅観賞作品は次の10本。

「スキャンダル 愛の罠」「ゴールド・パピヨン」
「コレクダーズ〜ソウルに眠る宝刀を盗み出せ〜」「リッチー・リッチ」
「偶然と想像」「愛なのに」「喜劇 大安旅行」「スパイ・バウンド」
「チャイルド・プレイ」「マイ・スパイ」

3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年12月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031