を読んだ。
フィリップ・K・ディック著/浅倉久志訳
第二次世界大戦で枢軸軍が勝利した世界の1962年頃。
日本に統治されているアメリカの西半分地域のアメリカ美術工芸品商会では、古き良きアメリカの歴史的遺物が美術品として人気を博している。
その店主のロバート・チルダンは、田上大日本帝国政府太平洋岸第一通商代表団代表に届けるはずだった南北戦争の徴兵ポスターの入荷が遅れたために田上氏の不興を買い、機嫌を取るために早急に代替品を探す必要が生じて焦っていた。
そこにインテリの日本人夫婦が来店する。
ユダヤ人である素性を隠して働いていたフランク・フリンクはオーナーに啖呵を切って工場をクビになり、出ていった愛する妻のことを思い出したりしつつ途方に暮れていた。
田上信輔大日本帝国政府太平洋岸第一通商代表団代表は、もうすぐドイツからやって来る顧客をどうやってもてなしてよいのか頭を悩ませていた。
そこで易を立ててみることにする。
フランクの妻であり柔道のトレーナーであるジュリアナは、コロラド州で頭上をドイツのロケット船が飛び去ってゆくの見上げつつ、シャワーが空くのを待っていた。
彼らと更に数人の人々が出会うベストセラー小説「イナゴ身重く横たわる」には、枢軸軍が敗北した世界のことが真実味たっぷりに描かれており・・・。
てな感じの群集劇っぽい作品で、とりあえず面白かった。
しかし読む前にぼんやりと想像していた内容とは全然違った。
順番に書いていくと、まず枢軸軍が勝利した世界のリアリティが見事で、確かにそんなことになってそうだ〜〜〜っと思わされた。
ちらちらと出てくる枢軸軍がどうやって勝ったのかの説得力も納得の行くものだった(ヒトラーが精神を病んで直接の指揮をしなくなり、バトル・オブ・ブリテンでのロンドン爆撃をしなかったとか/笑)
また日本人とドイツ人の描写も実にそれっぽく(ただし「易」以外)違和感を感じるところはほとんど無かった。
もちろんそれはあくまであの戦争に勝ったドイツ人と日本人だが。
「イナゴ身重く横たわる」(デビュー作のタイトルもこの関連だが、ディックは聖書のこのくだりにこだわりがあるのか、それとも単に響きが好きなのか/笑?)の内容は枢軸軍が敗北した歴史なので要するに我々の現実の世界・・・と思いきやこれまた違う歴史を歩んでいるのが実に意外だった。
それを知ったときにこの物語は化夢宇留仁の想像していたようなものではないとわかった。
化夢宇留仁のこれまで感じていたディックの筆致とは異なり、実に地に足をつけた描き方だったのも印象的だった。
その分設定から予想する内容と比べると実に地味とも言える内容で、こんな設定でそんなところにこだわってどうするの(汗)?と思っても不思議ではないくらいなのだが、世界の構築のレベルが非常に高いので単に現実とはちょっと違う世界の普通の物語として読まされてしまう。
しかしここぞというところで突然放り出される感はいつもの感じだった(笑)
「易」の存在感の大きさは違和感があったが、最後まで読むと納得。
そもそも「易」がメインだった(笑)
というわけで感想が実に散漫なうわごとみたいになったが(汗)、こうでもしないと書けなかったのだ。
よくこの原作をドラマ化しようと思ったな・・・・まあストーリーはぜんぜん違うみたいだけど、無理もない(笑)
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