mixiユーザー(id:140098)

2022年11月10日16:11

305 view

映画アーカイブ「東宝の90年」

11月2日(水)。三鷹から神田経由で京橋へ出て映画アーカイブへ。
フォト フォト
その前にカフェで時間調整。
地下鉄京橋駅から直結の商業ビルはよく横を通るけれど、お高い店ばかりだろうとスルーしていたのだが、初めて入ってびっくり。
お手頃で雑多な店があれこれ。カフェも幾つか。これから愛用しよう。

この日の目的は小ホールで19時からの「東宝の90年 モダンと革新の映画史(2)」から「13東宝教育映画秀作選」。
『すて猫トラちゃん』『卵は語る』『名探偵ヒロシ君』『こんこん鳥物語』の4本を上映。全て35mm。『名探偵ヒロシ君』の音楽は伊福部昭で、これが目的。
席は真ん中辺の良い場所が取れた。
私のスマホは時々固まることがあるので念の為にチケットは印刷して持参。

『すて猫トラちゃん』は既にお馴染みだが、何度観ても素晴らしい。細やかさに驚く。
お母さん猫がすて猫のトラちゃんにミルクを分け与える時の、ミルクびんから子猫たちそれぞれの水筒にミルクを注ぎ入れ、それからトラちゃんにミルクびんを差し出す。トラちゃんは驚き抗いつつミルクを飲む。
その間の猫たちそれぞれの動きの細やかさと柔らかさ。
初登場時のトラちゃんの、他の猫たちと違って服を着ていない、ポーズも擬人化されていない、見るからにすて猫そのものの姿。
この辺の描写は理詰めの高畑勲演出にも通じる。(『じゃりン子チエ』で、猫の小鉄が初めは四つ足で登場し、おもむろに二本足で立ち上がる)。
トラちゃんは戦災孤児を象徴、お母さん猫は戦争未亡人であろう当時の世相を反映しながら明るくモダンな映画に仕上がっている。白黒、21分、1947年、政岡憲三監督。

『卵は語る』は様々な鳥の卵の形状や色・模様を紹介し、何故こうなっているのかを実践的に解き明かす。いかにも教育映画。白黒、18分、1947年、太田仁吉監督。

『名探偵ヒロシ君』は元浮浪児の義弟・二郎君に対する兄・ヒロシ君の兄弟愛を描く児童映画。二郎君と元の浮浪児仲間との間で起こった級友のお金の紛失事件をヒロシ君が解決に導く。自分の本を古書店で売り、人知れず賄うというヒロシ君の行動は決して誉められた手ではないが、当時の社会問題となっていた戦災孤児の存在が伺える。
浮浪児仲間が彼らをまとめて面倒をみている夫婦に引き取られるというラストもよく考えると本当にこれで大丈夫なのだろうかとも思うが、東宝ならではの明瞭さが貫かれ、締めに伊福部昭の重厚なメロディが高鳴るとこれぞ大団円と納得してしまう。
白黒、35分、1949年、関川英雄監督。

『こんこん鳥物語』は鹿児島ロケ作品。地元で、こんこん鳥と呼ばれるタマシギと、ヨシゴイ。田んぼに巣を作り卵を産み育てる二種の水鳥の生態を児童を配したドキュメンタリータッチのドラマ仕立てで見せる。何度卵が駄目になっても営巣をやめない鳥に卵採りを反省する兄弟や、ひなが巣立つまで農作業をよける父親など心温まる展開。
白黒、29分、1949年、監督は野鳥生態映画で名高いという下村兼史。

「東宝の90年」の企画(〜12/25)はとても興味深く、面白い映画が多々上映される上に、7階展示室では「脚本家 黒澤明」の企画展が行われているのだが、今回は時間の都合上これのみで。
8 8

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年11月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930